表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王花  作者: 小野島ごろう
27/49

支援者4

 師匠は、ヒカリをせきたてた。

 ヒカリはよろめきながら、なんとか入り口にもぐりこんだ。


 後から続いて入って来た師匠は、後ろ手にどこかをさわった。

 石の板がごりごりとずれて、入り口は隙間なくぴったりと閉じられた。




「まっくらだよ、師匠!」


 ヒカリの大声に、師匠はぼそっと答えた。

「しばらくじっとしていなさい。すぐに目が慣れる」


 轟音が(やわ)らいでいることに、ヒカリはやっと気づいた。

 かえって、耳が変に感じる。




 目が慣れると、階段の下の方はほんのりと明るいようだ。



「もっと下に行こう。ここは、巨人の重みに耐えられないかもしれない」


 師匠の言葉に呼応したように、ぱらぱらっと、小石が降って来た。



 あわてて階段を下りながら、ヒカリは、ぞっとした。

「入り口が埋まったら、ここから出られなくなるんじゃない?」



 日光が届かない地下にとじこめられたら、死ぬしかない。

 師匠はどうだかわからないが、少なくとも、ヒカリは生きられない。



「大丈夫。むこうに出口があるはずだ」

「本当に?」






 ヒカリはまた、師匠の後をついていく。


 大人が数人余裕で並べるくらいに、岩を穿(うが)って造られた、広い通路。

 なめらかに起伏している岩肌が、濡れたように光っている。


 何かが発光しているのだろう。

 足元が見えるのは助かるが、ヒカリの肌の感じでは、日光ではなさそうだった。



 ゆうべからこっち、日光を浴びたのはほんの一瞬だ。

 さっき感じた空腹が、痛いほどよみがえってきた。



「師匠……お腹が空き過ぎて、どうかなりそう……」

「もう少し、がまんして」

「がまんできないよ。もう、歩けない……」



 ヒカリは、よろめくと岩肌に背を預けて、ずるずると座り込んだ。

 少し前を行っていた師匠は、軽く舌打ちして、戻って来た。



「仕方ない。

口を開けなさい」



 師匠がヒカリのあごをとらえて、上向かせた。

 言われるがまま、ヒカリはぼんやりと口を開けた。


 師匠は頭からフードを乱暴にむしり取ると、顔を近づけ、ヒカリの口にいきなり吸い付いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ