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王花  作者: 小野島ごろう
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支援者2

 ヒカリは、言われるがままに立ち上がり、師匠の後をついていく。

 師匠の足は速い。

 地面の上を軽く浮いて、すべるように進むマントを、ヒカリは、小走りでなんとか追いかける。




 焼け跡は、まだ熱い。

 地面も、空気も。



 そこここに、黒焦げの丸太が重なり、転がっている。

 師匠の足取りが、ゆっくりになった。


 まだ十分ではない薄明の中で、ヒカリはきょろきょろと辺りを見回した。

 丸太から突き出ている枝が手足だと気づき、ぞっとした。


 強烈な、ひどい臭い。

 死者に対して申し訳ないと思いながらも、ヒカリは鼻をつまんで通る。

 でないと、たちまち吐き気が襲ってきそうだ。




「わたしの後を、正確についてきなさい。

やけどしないように」

「はい、師匠」



 師匠は、遺体にも、凄惨な光景にも目を留めず、ひたすら先を目指す。


 ヒカリは、そろそろ空腹で倒れそうになってきた。

 師匠の後ろ姿が、膨らんだり縮んだりしている。


「師匠、ちょっと待って……」



 師匠のマントをつかもうと手を伸ばしかけて、ヒカリはそこに棒立ちになった。



 急に、耳が聞こえなくなった。

 と思ったら、地面がいきなり、(けもの)の背中のように盛り上がり、ヒカリを弾き飛ばした。


「あちっ!」

 熾火(おきび)の上に倒れ込んで、ヒカリは跳ね起きた。

 だがとても立っていられず、地面に手をついた。



「師匠!」


 這いつくばりながら、轟音(ごうおん)に負けないように叫ぶと、やはり地面に伏せていた師匠が、叫び返した。


「巨人だ!

さあ、急ごう!

ほら、すぐそこだ!」


 師匠が杖で示した先に、二人で這うようにして進む。




 黒焦げのがれきが山と積み重なっている前で、二人は止まった。

 倒れないように、大きながれきにつかまって伸び上がりながら、師匠は忙しく目を走らせる。



「師匠!

あれが……巨人……」




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