支援者1
ぱちぱちと時折、残り火がはぜる音がする。
ヒカリは、地面に寝転んで、空を見上げていた。
赤い、満月。
人の血を吸って、ふくらんだ月だ。
誰の声もしない。
アザミ族は、みんな焼け死んでしまったのだろう。
こんなこと、望んではいなかった。
なにもさえぎるものがなくなった今、本当にこの先に行くべきなのだろうか?
屍を踏み越えてまで。
そんなこと、人として許されるのか?
「ヒカリ」
ヒカリの視界を、ぬうっと、なにかがさえぎった。
ヒカリは、わあっ、と飛び起きた。
夜明け前の薄青の空を背に、見慣れた姿がたたずんでいる。
「師匠!」
師匠は、杖をとん、と地面に打ち付けた。
「何をしている、ヒカリ?
立ち上がりなさい。
もうすぐ、ここは修羅場になる。
ここにとどまることは死ぬことと同じだ。
さあ、進もう!」
「師匠……」
ヒカリは、師匠のマントの裾をにぎった。
「ほんとうに、師匠? 夢じゃないのかな?
師匠、おれ、もう、なんだかもう……」
涙が、後から後からあふれだした。
話したいことがたくさんあった。
どれから話そうかと逡巡していると、師匠がヒカリの腕を引き上げた。
「つらい思いをしたのだね。
大丈夫。これからは、わたしが一緒だ。さあ、立ちなさい。
ここはもうすぐ、巨人たちに踏みにじられてしまうから」
「巨人?」
「そう。アザミ族こそが、巨人から世界を守っていたのだ。
もう押しとどめるものがなくなって、巨人たちが解き放たれるのだよ。
日が昇れば、彼らも動き出すだろう。
さあ、今のうちに、少しでも先手を打たねば」




