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王花  作者: 小野島ごろう
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一人旅13

 アザミ族たちは、ひどくあわてて、大声で叫び合っている。

 誰もかれも、ヒカリの事なんぞ見ていない。


 みんな、奥の方に体をひねっては、足を地中から引っこ抜こうと大騒ぎしているようだ。


 奥の方がなんだか明るくなっているので、そんな様子が影絵のように見えるのだった。





 暗がりになじまない、白っぽい煙が、ヒカリのところまでも流れてきた。

 なんだか、焦げ臭い、かも。



 パチパチ、バチバチっと、派手な音が鳴り響き、いきなり大きな火柱が、闇を天まで切り裂いた。






 阿鼻叫喚。

 耳を覆いたいような、断末魔の叫び声。


 火の手は速かった。

 空気が乾燥しているせいか、燃えやすいものが多いのか、あっという間に、人々が炎に吞まれていく。



 密集して立っているのがあだになって、次々に隣、またその隣へと燃え移る。

 きまぐれにはじけ飛んだ火の粉が、新たな火種となって、燃え広がる。



 逃げることができない、強い人々が。

 棒切れか何かのように、いともたやすく燃えている。

 手を上げ、天を仰いで、ゆらめき、のたうち回る。




 コロニーは、すぐに火の海となった。

 炎火の大波が寄せては返し、夜空をなめる。







 ヒカリは、ぼうぜんと立ち尽くしていた。


 ごう、っと強風が巻き上がり、熱気と火の粉を運んできた。

 思わず、暗がりに逃げる。

 


 なにが起こったのか、理解できなかった。



 雷が落ちたら、火が燃え広がることがあるのは、小さいころに見て知っている。

 だが、雷なんて、落ちていない。



 ひどい(にお)い。

 人の焼ける臭いだと気づいて、ヒカリは鼻を覆って地面に突っ伏した。



 涙が噴き出す。



 こんなこと。

 こんな、恐ろしいことが。

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