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王花  作者: 小野島ごろう
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一人旅4

「どう」

 どうしたんですか、師匠!


 あぶなく、そう叫ぶところだった。


 現れたのは、師匠の色違い。

 どろどろの肌は青く、目がオレンジ色だ。



 ヒカリは、すぐに悟った。

 こいつは、師匠のふたごの姉じゃないか。

 死神といわれている。



 ヒカリは、そろそろと後ずさりを再開した。

 逃げなければ。



 師匠は、あの姿からは想像しにくいが、とても身が軽いのだ。

 いつか、高い枝に飛びついて見せてくれたことがある。

 師匠とふたごなら、あのくらいのことはできるはずだ。

 



 死神と反対の方向に身をひるがえし、できるだけ身を低くして走り始める。



 

「おおい、待ちなさい!

冷たくて、おいしい水をもってきてるんだよ!

元気が出るよお!」



 冷たくておいしい水は、よだれが出るくらい欲しい。

 だが、それで釣ろうとするなんて、馬鹿にしてる。



 あの黒いマントの下には、ヒカリを切り刻む道具を隠しているに違いない。

 水で眠らせて。

 嬉しそうに、手や足や腹を切るのだろう。

 頭の中も見るかもしれない。


 そんな光景を思い浮かべると、走りながらでも、体の芯がぞぞっと冷えた。



 とにかく、あいつから、できる限り遠ざかろう。



 もう、足の痛みも忘れて、ヒカリは夢中で走った。

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