一人旅1
「ここらで、一休みするか!」
ヒカリは、ことさらに元気な声で宣言すると、地表にむき出した、大きな岩に腰を下ろした。
すると、辺り一面生い茂っているカヤの中にすっぽりと潜り込んだようになった。
日当たりは悪くなるが、少しは涼しいし、身を隠すことができるのは、本能的にほっとする。
ヒカリは、腰に結わえつけていた竹筒を取り上げて、栓を抜き、ごくごくと喉を潤した。
これで、一本、空になった。
まだ二本、残っているけれど。
もうそろそろ水場を見つけないと。
ヒカリは、足元に目をやった。
鼻緒をはさんでいた指がすれて痛いのを、ずっとがまんしていたのだ。
慣れないものを履いたから。
師匠が強く勧めるから、仕方なく履いたが。
やっぱり、履かない方がよかった。
顔をしかめながら草履を脱いで、ひっくり返してみる。
底があちこち、すり切れていた。
草履がなかったら、切れていたのは、ヒカリの足の方だったのだ。
草履と竹筒を持たせてくれた師匠に心底感謝して、ヒカリは空を見上げる。
どこまでもぎらぎらと、空は、非情に晴れ渡っていた。
もう、歩き続けて何日になるだろう。
日が昇れば歩き始める。
西に向かって、日が沈むまで歩き続ける。
できるだけ川に沿って歩いてきたが、方向が合わなくなって、今日、川を離れた。
直後から、水の心配が、頭から離れない。
明日も、明後日も、次明後日も。
独りっきりでトボトボ歩くことを続けねばならないのだろうか。
だれもいない、からっからの荒野は、どこまで続くのだろう。
旅は始まったばかりなのに。
ヒカリはもう、泣きべそをかきたくなっていた。




