家族
レスターのお披露目会で贈られた各国からのプレゼントの中に絵本があって私は飛び上がって喜んだ。
(サーザンランドの黒豹王子からだった。あの王子、絶対いい人)
需要がないのか絵本はあまり無い。
読み聞かせが出来きずにさびしかったので、早速サーザンランドにお礼の手紙を送ったら、どこかの国の絵本を私がいたく気に入ったという情報が流れて各国から絵本が沢山送られてきてしまった。
離れの一部屋が子ども図書館の様になり大満足だ。
毎日庭で子供達に読み聞かせる。
読み聞かせを始めるとツキとケイもなぜか寄ってきて座るのが可愛い。
クローバーの咲く庭の上に布をひろげ、子供達二人は私の膝の上で大人しく聞いている。
サワサワと気持ちのいい風が離れの庭を渡っていく。
時折りレスターは膝から出てツキと遊び始めるけれど、物語のクライマックスで同じ動作をしたり、可笑しい所でツキともつれあって笑ったりしているので耳では聞いているのだろう。
クロム君は目をキラキラさせて食い入るように絵本に夢中。二人とも聞き方は違うけれど楽しんでいる事は変わらなそう。
私は翻訳された日本語を読んでいただけなので気が付かなかったけれど、二人には色々な言語で聞こえていたらしく、気がついたら二人とも五つある言語すべてを体得していた。なぜかツキとケイも。
先日リヒト様に連れていかれた国際パーティーの席で、二人が通訳を介さずに別言語の方達の挨拶を受けていて発覚し、ユアンさんにめちゃくちゃ詰められた。しらんがな。
「お前は軍神を育てたいのか天才を育てたいのかどっちなんだよ…………腹黒いので有名なハイエナ国王の独り言まで報告してきやがったぞ」
眠ってしまった子供達を縁側の座布団に寝かせてくれながらリヒト様が言う。
「ええ……?絵本読んだだけだよ。軍神にも天才にもならなくていいの。優しい子になれば」
「ツキとケイも理解してるんじゃあ戦場に送っても敵の指示全部聞き取って馬が勝手に動いてくれるな。信じらんねぇ」
「テトもわりと聞いてるから、もうわかるかもしれないよ?」
「………………………………」
テトは聞きにくるけどルルは来ない。私がツキとケイを子守している間は自分の時間だと決めているみたい。
「そんな事よりもね、今朝またルルのお腹が光ったの……」
「そんな事………………光る……?は?また?」
「楽しみ~~今度の仔馬は何色かな~~~!?」
「………………うちは牧場かよ………………」
呆れたような声を出すくせに、目は眩しいものを見るように優しく細くなっている。
リヒト様の紺色の瞳に金の光彩は夜空の星みたいで綺麗。
私を甘やかす時はトロッと溶けて蜂蜜みたいな色になる。
「俺の番はすげえな。何頭天馬を繁殖させるつもりなんだよ」
「私は何もしてないよ?離れで、子供達とリヒト様がいて、幸せに暮らしてるだけだもの」
「聖女の力を使う時みたいに、何かしてるわけじゃないのか?」
何か?特に何もしていない。
キョトンとした私に苦笑して、優しいキスが贈られる。
「幸せなら、いい。俺も紬が離れにいるのは気分がいい」
「そうなの?」
「合意的監禁!最高だな!!鎖も付けれたらなおよし!!」
また意味わからんこと言い始めたな。
「鎖なんか付けても、息子二人がすぐに切っちゃうよ」
「チッ……クソガキどもが」
「逃げるような事、しなきゃいいのに………七股とか」
「…………………………スイマセンデシタ……」
「同じ様に私が七股したらどうするの?」
「全員殺す」
聞かなきゃよかった。物騒だな。目が本気なんだよ。こわ。
「そんなに見せたくないの?私の事」
「ああ。奥に大切にしまって、自分だけの物にしたいっつー願望は常にあるな。お前がこの離れを気に入ったのは俺にとってはラッキーだった」
閉じ込められてるつもりはないけれど、番って大変だなぁ。
「まぁ、お前に嫌われたくないしマジで監禁はしないけど、外に出る時はちゃんと護衛をつけろよ」
「子供達にも?」
「あいつらはその辺の大人よりすでに強いからいらん!」
「じゃあクロム君とレスターがいればどこに行ってもいいの?」
「…………………………」
あ、これだめなやつか。わかりやすいなぁ。
「どこかに行きたい時はリヒト様にお願いするね?」
「ああ」
わかりやすく相好を崩したリヒトさまが私を膝に抱き上げてキスを落とす。
私の、好きな時間。




