表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜  作者: 雨香
婚約者編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/89

嫉妬



 離れへの道が分かるわけもなくざっくりとした方角のみを見て庭伝いに歩くと、パーティー会場に行きあたってしまった。


 もう始まっているはずの夜会が、ザワザワとしたおしゃべりだけの会になっている。


『王陛下の容体が急変したとか…………』


『まあ!それで王弟殿下もお姿が見えないのですね?いよいよかしら……怖いわ?』


『ここのところずっと調子が良いとおっしゃっていたじゃないか。何かのまちがいでは?』


『この夜会はどうなるのでしょう?陛下も王弟殿下もおられないなんて……』


 周りの貴族達のお喋りから、大体の事情が分かった。王様の容態が急変したから彼は呼ばれて行ったんだ。

  

 それならもうここには来ないかもしれない。どのみちパーティーどころではないだろう。


 人混みの中、フラフラと離れの方角へ歩く。

不意に大きな男性に肩をぶつけられてよろめくと、力強い手に腕を掴まれて倒れずに済んだ。

お礼を言おうと顔を上げて息を呑む。


「っ——!ユリウス様……!」


「つむぎ、会いたかった」 


「何故ここに!」


「本当はこの国にいるラディアンの大使が招待を受けていた」


ユリウス様は私の腕を掴んだまま話す。

 

「成り代わったという事!?何のために!」


一瞬泣きそうな顔をしたユリウス様は、私の目を見て優しい声で話す。


「つむぎの置かれている状況は調べて把握している。貴方が蔑ろにされているのは見るに耐えない。私にやりなおしの機会を頂きたい。共にこの国を出ましょう。ラディアンでなくてもかわまない」


「私は貴方の気持ちには応えられません!!」


 なぜこんなにこんがらがってしまっているのだろう。


 なぜみんな私の思いを無視するの。



 その時、大きな怒鳴り声が私を襲った。


————「何をしている!!」





◇◆◇





 国王が臣下の前に顔を見せる事は国内の安定に繋がる。容体が安定していれば多少無理してでも皆の前に出て気丈な態度を示さねばならない。


 ここ最近安定していた兄上の容体が今日になって急激に悪化したことをうけて、パーティー自体が宙に浮いた状態になっている。


 皆動くに動けずパーティー会場でザワザワと戸惑いながら待機している


(紬、どこにいる。まだここらにいるはずだ)


 パーティー会場から番の匂いはするものの、人が多く小さな紬を見つけられずにいると男と紬の声が聞こえた。


——「貴方が蔑ろにされているのは見るに耐えない。わたしにやりなおしの機会を頂きたい。共にこの国を出ましょう。ラディアンでなくてもかわまない」


——「私は貴方の気持ちには応えられません」


「何をしている!!!」


 意図せず大きな声が出てしまう。相手がヴィクトランだった事に俺の中で最大の警鐘が鳴って、いち早く俺の番を取り返さねばという感情が押し寄せる。


「二人で逃げるつもりだったのか」


 地を這う様な声が出て、紬が怯むのがわかった。


「そんなわけない!!今の話、聞いていたでしょう!?」


「そもそもなぜヴィクトランと共にいる!お前は俺の番だ!身体に触らせるなと言ったはず!よりによってヴィクトランに!」


 掴まれていた手を振り解き、なおも怯えた顔をする紬をみてどんどん自分が抑えられなくなる。なぜそんな目で俺を見る!


「お前にはやることがある、こちらへ来い」


 手を出したがつむぎはその場から動かない。


————ヴィクトランの(そば)から、動かない。


 全身の血が沸騰していくのが分かる。怒りで手の中の銀の髪留めを無意識に握りしめ、バキッと音がして手の中で壊れた。


「は!つむぎは俺を信用できないんだろ!そんなに狼の野郎がいいなら、そいつについていけばいい!!」



 紬の絶望した様な瞳と目が合う。



————「貴方がそれを言うの?この国に私を連れて来た、貴方が。そっか、七番目だったしね」


 紬の言葉にざあっと血の気がひいていき、自分の言った言葉の残虐さに後悔が押し寄せる。 


 ヤバいと思った時には既にもう紬の表情から光が失われた後だった。


「違う、そうじゃなくて!違う!俺は!」


 お前の事が大事だと伝えたい。

初めて女を好きだと思えたと分かって欲しい。


「いや、もういいや。良く分かった」


「違う!つむぎ!まて!」 


「私に王様を治して欲しいんでしょう?行きましょうか」


「っ………………後で……ちゃんと話そう」  


「………………」 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ