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2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜  作者: 雨香
番編

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36/88

蜜月



 あの後二日間お部屋から出してもらえず、何度も何度も愛されて、今朝リヒト様がシャワーに行った隙に逃げ出した。


 本邸にいるのは分かっていたので庭伝いに離れまで逃げる。 


 すぐに離れの庭にテトがいるのが見えて、思わず駆け寄った。


「テト!テト!!いい子にしてた?心配かけてごめんね?まってて!今りんごあげるね!」


 ズキズキ痛む腰を叱咤して、勝手口から台所に入ってリンゴを沢山剥いた。


 切ったりんごをザルに乗せて縁側からテトを呼ぶ。すぐに駆け寄ってくれて、沢山のスリスリが送られた。


「ふふふ、テト、くすぐったい」


 立っていられないので縁側に座ってテトにリンゴをあげていると、すぐに微睡(まどろ)む様な眠気が襲ってきて柱に寄りかかってうとうとと眠ってしまった。


 沢山は眠ってないと思う。五分とか、そんな程度。起きたら膝にペトっとクロム君がくっついて眠っていて笑ってしまう。ふわふわの灰色の癖っ毛を撫でてもすうすう寝息がして起きそうもない。


 この子に沢山助けてもらった。クロードさんが私を気絶させろって命令した時も、実行しないでくれた。年齢より小さな体をしたこの子の大きな愛情が嬉しい。


「おい、俺から逃げ出して他の男を(はべ)らしてんじゃねぇよ」


「ぎゃっっ!!」


 上半身裸の髪から水がポタポタ垂れた壮絶な色気のイケメンが、タオルでガシガシ髪を拭きながら現れて全然可愛くない声が出た。


「てめぇ、蜜月から逃げ出すとはいい度胸だな」


「だって、リヒトさま全然終わってくれない!」


「終わらねぇよ!蜜月だぞ!ったく焦っただろ!!」   


 リヒト様はベリっとクロム君を剥がすと、ポイっとお庭に投げた。


「な!クロム君、だいじょう……!?」


 投げられたクロム君は空中で一回転してトンっと着地していた。すっごい運動神経!


「クロム!仕事行け!クソガキが」


「むぅ」


「むぅじゃねーよ!!」


 横抱きに抱かれて、ソファーに座って膝に乗せられる。


「体、大丈夫じゃねぇだろが」


「足、ガクガクする。リヒトさまのせい」


「~~~~!俺のせいなのは全面的に認めるけど、逃げんなよ、焦るだろ」


「テトに、会いたかったの」


 そう言うと、縁側でテトが高く鳴いた。


「クロムまで手懐けやがって」


「あの子がいたから、私、一人で寂しくなかった」


「……………………」


「園遊会の日も、私の事助けてくれたの」


「分かってるよ」


「叱らないでね?私が勝手に動いてクロム君は必死で止めて……」


「クロムの罰は、ルースとクロードからの手合わせ地獄に決まったから大丈夫だよ」


「ええ……全然大丈夫じゃ無さそう……」


「クロムは喜んでたぞ?手合わせはあいつらの遊びだ」


「なら、いい、けど……」


 紺色の瞳の中の金色がトロッと溶けて、目を細めて私を見る。リヒト様が私を甘やかす顔。この顔は、ずるい。またひょいと抱かれて奥の部屋に運ばれる。大きなお布団が用意されていて事態を察して、マゴマゴと何も言えなくなってしまう。


「まずは、逃げ出した仕置きだな」


「~~~~!?」


「俺はお前には甘いから、大丈夫だよ」


「ええ……?」


「甘い仕置きだな。俺得意だぞ」


「………………………………エロ竜」


「褒めてんのか?俺の番は可愛いなぁ?」




◇◆◇




 結局一週間まるまる蜜月なるものを過ごした。

本当は一ヶ月らしいんだけど、私の体が壊れてしまうとルルリエさんからリヒト様に雷が落ちた。


 ルルリエさん、どんどん強くなってる気がする。


「今日はちょっとだけ出てくる」


「お仕事?」


「まぁ、仕事といえば仕事か。ラディアンの見送りだよ。一応犯罪者の護送見送りになるから簡単に済ませて早く終わらせる」


「私も、行ってもいい?」


「いいけど、楽しいもんでもないぞ?」


 ユリウス様とレイス様を見送って、区切りをつけたい。もうあのつらかった日々は終わったと。


 リヒト様の指示でミリーナさんが来て支度をしてくれた。以前送られた反物で作った着物がズラリと並ぶ。


「このままでもいいのに」


「そういうわけにはまいりません!お嬢様を着飾るのは私の特権ですから!」


 結局、ふわふわとした裾の長い着物を何枚も重ねて合わせを作って、上から薄桃色のしっとりとした上品なジャガード織の羽織りをあれよあれよという間に着せられた。 


 この国の正装は天女風の様で、髪はまた左右に輪っかを作る様にゆわれた。

頭には生の蓮の花をつけられて、衣装よりも少し濃いめのピンクがすごくかわいい。


 シャラシャラ揺れる銀のピアスをつけて、沢山重ねて着た天女っぽい衣装の裾を各色が綺麗に見えるようにふんわり調整してやっと終わった。


「俺の嫁超可愛い。蓮の花に降りた天女」


 ノックもなしにズカズカ入ってきたリヒト様が言う。リヒト様は久しぶりに軍服を着ていてかっこいい。


「まだお嫁さんじゃない。付き合ったばかりでしょう?」


「人間は好きあって気持ちが繋がったあとに何日も我慢するのが普通なのか?我慢大会かよ」


「我慢大会…………?徐々に心をつなげて、本当に繋がったなって思ったら体も繋げるの!結婚なんて、何年か付き合った後だよ!」


「年単位の開催かよ!!無駄に我慢強い種族だな!」


 ひょいと片手で抱き上げられて、そのままスタスタと運ばれる。リヒト様の左腕に座る形になって思った以上の高さを感じて首に抱きつく。


「俺は我慢しない。もう死ぬほどした」


「ええ……」


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