トーナメント試合6
肌にあたる優しい風を感じて目が覚めた。
夜の匂いがして、ぼんやりとした月明かりが室内に差し込んでいる。
「起きたか?」
「リヒト様…………子供達は?」
「そこにいるよ」
リヒト様の視線の先にはベビーベッドに団子の様に絡まって眠るニ匹の子竜の姿。
「ここ、は……?」
お城のお部屋じゃない、リゾートホテルみたいな内装のお部屋を見回す。
「サーザンランドの観光地のホテルだよ。世界一高い崖の上が高原の花畑になってて人気なんだと」
何でそんなところにいるんだろう。何日も眠ってしまって帰り道の途中だろうか。
「城にはまだ奴がいるからな。こっちの方がいいだろ。しってたか?獅子は高いところが苦手だ」
獅子という言葉にブワッと今日あったことが思い出され、リヒト様にしがみつく。
「こ、こどもを、始末するって、新しく作るからって……!」
カタカタとまた震えが止まらなくなり、リヒト様が背中を撫でてくれる。
「そんな事させないし、もう出来ないよ」
「わた、私の番は、いっぱいいるの?」
「俺だけにきまってんだろ。俺が一生離さない」
優しくすかれる髪が心地いい。
「もう大丈夫だよ、あの男も右手を失って失脚する。既に王位は別のものに移ったそうだぞ。ミラー国は弱肉強食の最たる国だからな」
リヒト様の腕の中で彼の匂いに包まれているのに、カタカタとした震えは止まらない。私のせいで子どもが殺される最悪な想像を頭から追い払えない。
「怖いなら、こっちに集中してろ」
優しいキスが降ってくる。頬に、額に、瞼に。
私を甘やかす顔。紺色の中の金が揺らめいて蜂蜜みたいに溶ける。この時だけは、いつも精悍な鋭いお顔が少しだけ幼く見える。
左肩を撫でられて、ずらした着物の間から象徴華に執拗にキスを落とされてやっと力が抜けた。
ファーストキスの時も私が怖がっていたのをキスで安心させてくれたなとぼんやり思い出す。
ベット脇のサイドテーブルに金の花輪が置いてあり、月明かりにキラキラと反射して女神の冠みたいに見えた。
「お前は誰にも渡さない。俺だけのものだ」
「うん……ぎゅってして」
「っあ?可愛いな!?子どもら預ける!?よし預けよう」
いつものリヒト様だ。また一つ力が抜ける。
「預けない、一緒にいる」
「どうやって我慢すんの!?俺無理!!!」
それには返事をせずに、横になったままリヒト様の首に手を回す。
「キスも、体を繋げるのも、私はリヒト様が初めてで…………リヒト様だけがいい。他の人は嫌」
仕込むと言われただけで体が全身で拒否をしていた。寒気がする程嫌で怖かった。
リヒト様だってしょっちゅうエロ竜発言はしてるのに、嫌だとも怖いとも思ったことはない
「リヒト様が好き、大好き」
「………………今ここでそれ言うか…………俺の理性可哀想…………」
「他の人にさわられたくないの」
「分かってるよ」
「もっとキスして」
「あいつら預け…………「ない」」
「嘘だろ………………」
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