角を矯めて牛を殺す
悩みというのは小指に似ている。当たり前のことだが小指は小指だ。小指にあと1メートル伸びろだとか、発光しろだとか、人差し指になれだとかといった無茶な事を望んだところで何になろう。魔女でもあるまいし。もしも小指が小指以外の何物かに見えているのならば、改めるべきは小指ではないことは明らかだろう。もちろん小指には悪しき点もあろう。至らぬ点も気に入らぬ点もあろう。されど、知らぬ存ぜぬ気に入らぬで罷り通るような小指ではなかろう。なにせこれはあなたの小指なのだから。それをどうしようと「自由」だが、後ろ指を刺されるような振る舞いだけは避けねばならない。あなたではなく小指が悲しむのだから。悩みはあなたの影なのではない。あなたが悩みの影なのだ。それをよく肝に銘じておかなければならない。主人たれ!さもなくば、誰もあなたを主人とは認めないだろう。抜けた髪がこっちを見ている。