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天転星生〜異世界本の虫(ブックワーム)〜  作者: キノ
第四章 大戦編
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第三十八話 ホシ再び


 (おのれ…おのれ…賢者め!!)


 マナたちとアストラの戦闘が勃発し、世界に激震が走る中、ここにも地を駆ける一つの蒼き流星があった。

 彼の走る姿を目視で出来た人間はいない。

 ただ一筋の青い光が見えただけだ。


 そう、彼は村長ホシである。


 ケトスが全世界へと放った言葉を聞き、聖女ステラーの危険を悟ったホシは鬼の形相となりすぐさま村を飛び出し、単身でケトスたちが君臨する城へと向かっているのである。


 身につけたものは一本の剣のみ。

 そして首には過去にステラーから貰った首飾りがついていた。

 

 現在は森の中を駆け抜けており、木々が彼が通るたびにざわめいている。


 「おおっと?一人だけで大丈夫かなあ?ホシィィ!?」


 今までホシの姿を捉えることが出来た者が存在しない中、突如彼の前に何者かが立ちはだかる。


 「…きさまは。」


 ホシはその姿を一目見るだけで何者なのかが分かった 。


 あまりにも細すぎる体に纏った道化師のような白と赤のピエロ服、顔にも化粧が施されており赤く口紅を塗られた口からは鋭く光る邪悪な歯がにんまりと並んでいた。

 そして背からは細い背格好に似合わない黒く淀んだ大きな翼。

 コイツは…悪魔だ。

 

 「久しぶりだねぇホシィィィィ!」


 ケタケタと不気味に笑うこの悪魔。


 「…まだ生きておったかフラフラ…!」


 「ウフフ…!ボクがすぐ死ぬわけないでしょォ?なんせボクは天下の大魔族サマなんだからァ!!」


 ホシの目の前に現れたのはこの世界で名を轟かす''凄惨''のライザックと同様、大魔族である''嘲笑''のフラフラなのである。


 かつてホシもステラーと共に剣を交えた相手でもあるこの悪魔は見た目にそぐわず凄まじい実力を秘める業者なのだ。


 「それで俺になんの用だ?」


 「やだなあ、遊びに来たに決まってるでしょォ?殺し合いをねェ!!」


 ギュオオオン!


 フラフラがホシに向けた大きな手から突然爪がグンっと伸びてくる。


 ザンッ!


 サッと避けたホシは空へと飛び上がる。

 すると飛び上がったホシの方へ大きな口をガパリと開けるフラフラ。


 「ウエッヘエエ…!!」


 シュンシュンシュン!


 鋭く立ち並ぶ歯の一つ一つがトランプのカードのようになり、凄まじいスピードでホシを刺し殺そうとする。


 「相変わらずめんどうな戦い方をお…!」


 空中で身動きの取れないホシは体に勇者の力を纏い、カード全てを体に触れる前に消滅させる。


 「キミもその力…!健在だねェェ!!」


 「キサマに負けるほど老いぼれてはおらぬ!」


 青く輝くオーラを纏ったホシは剣を抜き刀身にオーラを通わせる。


 「ふうん…!受けて立とうじゃないかァ!」


 ひょろりとした腕を構えて立つフラフラ。

 どうやらホシの一撃に対抗するようだ。


 ガキイイイイイン!!!


 ホシの一撃とフラフラの爪が激しくぶつかり合い、周囲の空気が震えると同時に大きな金属音のようなものが鳴り響く。


 「やっぱりだ!やっぱりだねェェ!ホシィィィ!」


 「……!」


 「キミは昔より弱くなってる!ウヘヘッエエエエ!!このボクが!キミを殺してあげるよォ!ホシィ!」


 空中で静止していたホシ。

 しかしフラフラとの大きな体格差を活かして剣を弾き、器用にも懐へと潜り込む。

 そして体に纏っていた全てのオーラを剣に注ぐ。


 「そうだな。確かに俺は弱くなったさ。今使ってるこの力もじきになくなる。」


 「ならァ!ボクが今楽にしてあげるよォ!」


 スパッ……


 「だからこそお前如きに時間を割く事は出来ないという事だ。」


 フラフラの体に美しい青色の光の筋が無数に走る。


 「大口叩いてもキミはボクに負け………」


 グシャア……!


 フラフラが口を開きかけた瞬間、その肉体は音を上げて粉々となり、肉片だけが地面に転がった。


 「しょ…しょぉんな…ボクのぎゃぁ…ちゅよいはじゅなのにぃ……!」


 「フラフラ、お前にはかつてかなりの仲間を殺された。手加減はしない。」


 ホシは剣についたピンク色の血をピッと一振りし落とす。

 そして再び目的の地へと体を向けて走り出そうとするが……。


 「ふうーん。まだまだ強いねーホシ。」


 天より一つの声がホシを呼び止めた。


 「……!」


 すかさず上を見るホシ。

 彼の額には一粒の汗が溢れていた。


 現れたのは一人の魔族。


 十二対の純白の羽を持ち、空であぐらをかいている者。

 頭の上には光り輝く輪が浮かんでおり手にはそんな容姿に似合わない黒く、うねる不気味な剣が握られていた。


 「ルシフェル…!」


 「やあやあ。久しぶりだねホシ。悪いけどあの城に近づけさせないのがオレの仕事だからさ、キミ死んでよ。」


 ''堕天使''ルシフェル。

 この存在はまさにこの世界の頂点である三魔王と賢者ケトスに引けをとらない、いや互角たりうる実力を備えた大魔族たちの統率者。


 チャキ…


 剣を構えて戦闘体制に入るホシ。

 今のホシでは勝てない相手なのは重々承知。

 しかし…彼は行かねばならない。

 聖女ステラーが待つあの城へと…!


 「おお?オレと戦うつもりなの?キミは実力の差には気づけるヤツだと思ってたけどやっぱそんなに大切かあステラー。」


 ''ステラー''の名が出た瞬間、ホシがピクリと動き剣を振る。


 ズワアアア!!


 剣圧がルシフェルへと飛ばされた。

 空をも切り裂くホシの飛ぶ斬撃は命中はした…しかしルシフェルにはなんのダメージもなかったのだ。


 「さて…オレもキミのことは買ってたから殺すのは少々気が引けるが仕方ない。じゃあねホシ。」


 ここでも始まる戦い…。

 ホシとルシフェルの勝負の行方はどうなるのだろうか…?

久々の更新です!

よろしくお願いします!

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