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天転星生〜異世界本の虫(ブックワーム)〜  作者: キノ
第二章 王国編
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第十六話 イカれたメンバーを紹介するぜ


 アルゴーと階段を降りてしばらく歩いた。


 俺たちがいた牢屋の下は小さな洞窟が掘られているようだがこれ、あの王子(イタイタス)は知ってんのか?

 

 いや、知らないから逃げれた訳なんだけどさ。

 なんであんな偉そうなだけのやつにみんなおそれをなしてるんだ?


 ベラクレスさんたちが戦力あげて戦えば普通に倒せそうだけど…。


—————


 「ほれ、もうすぐだ。」


 アルゴーが指差したところからは明かりが見えた。

 

 なんか村長と聖女様の洞窟に行った日を思い出すな。

 聖女様、逃げれてると良いけど…。

 早くここから出ないといけねえ。


 「俺たちはこれからどうするんですか?アルゴー。」


 「脱獄してイタイタスをぶっ殺す。そんだけだぞ。それ以外なんかあるか?」


 何言ってんのコイツ…みたいな顔で見てきても困りますよ…。

 

 脱獄して王子を殺す。ってなんか俺たちがテロリストみたいだな。


 「イタイタス王子ってそれほどまでの悪人なのですか?」


 「その通りだ。だかまあこれから聞くことになるだろうから待っとけ。」


 すると広い空間に出た。

 何人かが集まっており、その中にはベラクレスの姿も見える。


 他の奴らは全員黒いフードを被ってたから顔が見えねえが、ベラクレスもこっちに気づいたようだ。


 なんだあの怪しい奴ら…。


 「アルゴーにマナ君。無事で何よりだよ。体の方は?」


 「…おかげさまで良くなりました。」


 ベラクレスがニッコリと笑った。


 この爽やかイケメンには全てが見透かされてそうだ…。

 前世の俺と同じぐらいの歳だろうに…すごいな。


 「アルゴー、君の息子たちも無事だそうだ。」


 「ああ王子。ありがとうよ。」


 二人はガシッと握手した。

 仲が良さそうだな。


 「王子様、そこの人たちは?」


 ベラクレスといる連中…。

 なんかガラが悪そうなヤツらだな。


 「ああ、そうだね。それじゃ今から説明していくよ。僕たちの今後の作戦と自己紹介を兼ねてね。」


 「お願いします。」


 ベラクレス頷くとフードの連中の方を向いた。


—————


 「彼らについてだ………」


 「あがーーーーっ!!!」


 ベラクレスが説明しようとした途端、叫び声と共に羽織っていたマントが空へと飛び上がっていた。

 なんかついでに服みたいなのもあったけど?


 「これ着てると耳がかゆいー!!」


 そう言ってあががと暴れ出したのは…。


 綺麗だが少しボサついた髪を後ろで二つに結び、ボリボリと頭を掻いている少女。


 なんとその頭には…フサフサそうな猫耳が付いてるじゃない!


 それにチラつくシッポ…。

 彼女は獣人だ…!!


 「……oh…!!」


 しかしも、しかもだ。


 さっき飛び去る服を見たのは見間違いじゃなかった。

 

 俺は見た。


 聖女様にはなくて彼女にはあるものを。


 それは…大きくたわわに実った二つの果実…。

 強く主張する禁断の果実を…!!


 「こらこらベル。服は着なさい。」


 「いやにゃ!服好きじゃないもん!キライにゃ!」


 ベラクレスさん、余計な事言わんといてくれや。

 俺は今まで牢獄にいたんだ。

 少しくらいご褒美があっても良いだろ…?

 も少し堪能させて。


 「ほら…。マナ君も困ってるじゃかいか。」


 「いえ、眼福です。」


 即答。


 「え?」


 「にゃ?お前よく分かってるにゃ!」


 ベルという獣人が俺の近くにきて、体をすりすりしてきた。


 あ、ああ。幸せだ…。

 それに揺れる揺れる…。


 「…ですがこのままでは僕が死んでしまいます。良ければ何か着てもらってもよろしいですか?」


 「ム…。お前がそう言うならしょうがないにゃ。」


 するとベルの体の周りを魔力が包んだ。


 「これでどうにゃ!」


 「最高です。ありがとうございます。」


 最小限布面積が少なくされた服が身に纏われた。


 胸の少し下ぐらいまでの服は二つの山の大きさで布が浮き、空洞ができていた。

 そこに趣があるってもんだ…。


 妥協してフードはつけてくれたらしい。


 下は短パン。

 肉付きの良い太ももがくっきりと見える。


 「マナくん…君、ベルの扱いが上手いね。どうやったんだ?」


 「……王子はマジメすぎるのですよ。」


 真剣な顔して悩んでるぞこの人…。

 欲ってもんがねえのか。


—————


 「騒がしいなあ…もう。」


 俺たちのやり取りを聞いていたもうひとりもフードを取った。


 ちなみにベルは俺の横にいる。

 どうやら懐いてくれたらしい。

 勝ったな。


 そして目の前で素顔を現した彼女。

 眩しいぐらいの純白の白髪、長く美しいまつ毛に眠たそうな目。

 最大の特徴は長い耳。

 彼女は…エルフだ。


 「胸の小さい子は嫌いかな?」


 「俺は小さい良さも分かる男です。」


 「ふうん。幼そうだけど見る目あるじゃん。」


 エルフのねーさんが微笑んだ。

 実際にスレンダーでとても美しい。

 一言で表すならダウナー系エルフだな。


 「マナ君、こちらはカーフェ。見ての通り

エルフだよ。ちなみに僕よりもずっと歳上だから敬うようにね。」


 「王子は女の子の扱いが分かってないね。」


 「ですね。」


 「ま、マナ君!?」


 この男、こう言うのに疎い生活を送ってきたのか?まあ興味なさそうだもんな。


 「よろしくマナ?」


 「よろしくお願いしますカーフェさん。」


 俺とカーフェは握手をした。

 肌まですっごい白くて綺麗だ。


 獣人のベル、エルフのカーフェときて残るはあと一人。

 どんな人なんだろな。


—————


 「クックック…。君はおもしろそうだ。」


 そう言ってフードを取り顔を見せたのは…。


 黒色のサラサラとした髪を下ろし、その奥で瞳をギラつかせる男…。

 

 この目…まるでル○ーシュとヒ○カを足したような目…。


 これは間違いなくヤバいやつか独裁者の目だ。


 「彼はジャック。かなりの手練だよ。頼れる男だ。」


 「王子。ボクはまだまだ手練なんかじゃありませんよ。それに彼…マナ君と言ったかい?君はイイね。ボクと同じぐらい強いだろう?一度手合わせしたいものだね…♡」


 「お,お手柔らかに…。」


 い、いやこの人ヒ○カじゃん…。


 正直俺は好きで戦ってるわけじゃないからついてけねえな…。


—————


 「よし、全員の紹介が済んだところでこれからの作戦を言うよ。彼らは協力してもらうために囚人としてここに潜入して忍ばせておいたんだ。よろしく頼むよ。」


 なるほど。

 そう言うことだったのか。


 「今から僕たちはここを脱獄する。僕は王子権限で出入り自由だが君たちはそうはいかない。なのでルートは一つ。一層ずつ上がり外に出るのだ。」


 「つまり…正規ルートで突破するということですか?」


 「その通り。この地下牢獄は兄上の私物。ここを崩壊させればかなりの戦力を潰すこともできる。だから君たちには申し訳ないが一階ずついる看守(エリアボス)と戦ってもらうことになるよ。」


 その言葉に三人が喜んだ。

 喜ぶ要素あったっけ?


 「やったー!!!ベル戦うの大好きにゃ!」


 「同感だね。人の血を見るのは退屈しない。」


 え、このエルフさん怖…。

 ベルとの温度差がえぐすぎるでしょ…。


 「クックック…。ボクはキミとも戦いたいけどね…。」


 「そ、それはまた別の機会に…。」


 ヤベぇ…。ここ、戦闘狂しかいないのか…?


 「そうだな!立ち向かってくるものはぶっ飛ばす!」


 アルゴーさんもこの通り。

 どうしてこの人からあんなに優しいオシリスとアルルが生まれたんだ?


—————


 「よし全員okだね。ここは地下八階層だから全部で八人の看守(エリアボス)を倒すことになる。できるなら無力化して欲しい。できればここは鎮圧しておきたいからね。」


 つまりここは…イタイタスの趣味の悪い''ダンジョン''というワケか。

 各フロアにいるボスを倒し上へ。

 シンプルな作戦だ。

 まるでダン○ち


 「分かりました。」


 「では僕は先に上へ行き態勢を整えておくよ。」


 「あの…王子様。」


 「どうした?マナ君。」


 俺はふと聞きたいことを思い出した。


 「イタイタス王子は…そこまで危険な男なのですか?」


 するとベラクレスは苦い顔をした。


 「兄上は…恐ろしく強いとも。だから君もどうか油断しないでくれ。」


 「…はい。」


 曖昧な返事だが彼の言葉には重みがあった。

 だがイタイタスが強いということがわかっただけ十分だ。


 「さあ準備は良いかいみんな?」


 「準備バンタンにゃー!!」


 一同が頷く。


 「それでは作戦…開始!!!」


 俺たちは一斉に走り出した。

 目指すは地上だ!!






 

 

 


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