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7.教会と……?

「次にフェーブちゃんは……じゃじゃ馬、悪食、共食い……三つってことは最高レア度! さすが裏ボス! あ、でも、このスキルって使えるのかな? なんか不穏な感じだし……

 えっと、じゃじゃ馬はランダムで敵を攻撃、敵が単体ならば威力がランダムで変わる。お、敵に騎乗されている場合は優先的にそちらを攻撃し相手を気絶状態にするって、面白いね!

 悪食は敵が状態異常にする特性や装備でも影響を受けず攻撃ができ、このスキルで敵を倒した場合、減らしたHP分を回復できる。これは、当たりの部類なのでは……?

 うふふ、ここまで良い感じばかり、最後の共食いは…………味方を攻撃してHPを回復する」


 やっぱり、最後のこれはハズレスキルだよね。ガッカリしながらもスキルを攻略サイトで調べてみれば、じゃじゃ馬は普通、悪食は当たり、共食いはまさかの普通だった。

 じゃじゃ馬は騎乗可能な召喚獣がランダムに持っているもので、敵に騎乗されると敵の言うことを聞くようになるのであれば便利。でも、なくても再召喚すれば敵を下ろすことができるのでその手間が省けるかな?程度の当たりよりの普通。

 悪食は汎用性が高くて当たり。基本的には集団で居るレア度の低いモンスターが持っていることが多いスキルだけど、まれに単独で居るレア度の高いモンスターが持っていることがあり、その場合は大当たりだそうだ。

 共食いは悪食と同じようなモンスターが持っているものだが、こちらは組合せ次第では使い勝手が良いらしくハズレよりの普通。


「食べ物モチーフのモンスターと組み合わせるのがオススメか。でも、イベント限定とかレア度高いのばっか! あ、最低レア度にスライム入ってる! あれ、でも、これ普通のスライムじゃ、ない?」


 私のジェリーと比べると見た目が違う。名前を見るとスライムの進化系みたい……で、でも、スライムが覚える分裂ってスキルが相性良いらしいからジェリーでも問題ないはず。

 とりあえず、ジェリーが分裂が覚えるまでは転職せずに頑張ってみよう。

 

「スキル覚えさせるには懐かせる必要があって、懐かせるには戦闘で()()()()最後まで使うこと……と、うーん、戦闘、かぁ……うーん、とりあえず、今日は教会の場所覚えるところかな?」


 普通ならすぐにストーリーを進めるところだろうけど、戦闘は苦手だし、せっかくのVRなのでじっくり見て周りたい。

 RPGのゲームでは新しい村についたら入れるところは全て入って、話しかけられる人には全て話すタイプの私だけど、流石にカブでそんなことすればクリアするのに何年かかるか分からない、なので、最低でも有名どころは周りきるつもりだ。


「よーし、レッツゴォォ、ォ……そうだった、扉開けたらすぐ外だった」


 勢い良く部屋の扉を開けて外に出れば、そこはレンガが敷き詰められた道と細かい装飾がされた建物が並ぶファンタジーって感じの町並みだった。

 レンガと言ったら赤いものを想像するが、ここで使われてるのはクリーム色の可愛らしい色のレンガ。建物の屋根の色は水色やミントグリーンと言った淡い寒色系で纏められ、道の両端は人が二人通れるくらいのレンガ(こちらは灰色だ)ででき、真ん中に流れる川を船が行き交っている。


「わあ……すごい」


 まるで海外にでも来たような光景にため息を漏らしながらフラフラと町へ足を踏み出せば、ウマにヒツジ、たまにトナカイの獣人が目に入り、ここがゲームなのだと実感させられる。

 キョロキョロと辺りを見渡せばたまに頭上に白いハートマークが表示されている獣人が居る。プレイヤーかな?と思ったけど、雰囲気がNPCっぽい?

 気になる。すごーく気になるけど、どう話しかければいいか分からないので大人しく教会に向かいまーす。

 

 川の横、歩道みたいになった所をのんびり歩きながら町を見渡し、色々な店の看板を眺めながら歩く。


「ん? あそこもパン屋?」


 店の看板を見ていて気づいたのだけど、武器屋や薬屋と言ったものはほとんどなくて、お店の半分近くがパン屋、次に多いのが八百屋とか果物屋さんで食べ物系……と言うよりかは材料系が多い感じ。


「うーん、綺麗な町だけどずっといるのは不便って感じ……ハッ、まさかそう思わせるためにこんなラインナップにっ?」


 初めは綺麗だから(リアル時間の)数日はここで過ごそうかと思ったけど、教会までの道すがら見てまわった感じは綺麗だけどお店が素材系ばかりで過ごしにくそうだった。もしこれが“最初の町に留まらせない”って言う運営の思惑なら凄いと拍手を贈るしかない。


「むむむ、これは教会に寄ったら次の町を目指すしかないぞ……拠点は便利なとこが良いもの……」


 できれば薬屋とかが多い町が良い。理由はもう少しレベルが上がって覚えられる召喚士の職業スキルの中に“蛇ノ道ハ蛇”と言うヘイトの()()()()()()()と言う素晴らしいスキルがあるからだ。

 流石に攻撃したらヘイトの対象にはなるけど、それ以外ではヘイトを集める装備とかをつけてない限り、モンスターは私を無視して召喚獣とだけ戦うパッシブスキルだ。そのスキルさえ覚えられれば、私は完璧なサポートにまわることができるの。

 ふんふんと気合いを入れながら歩いていれば、角を曲がった先にドーンと真っ白な建物が目に入った。


「あ、ついた……の、かな?」


 教会って聞いた時、マリア像とか十字架とかがあるものだと思ってたけど、目の前にある建物にはそれは見当たらない。

 他の建物と同じようにレンガ造りではあるけれど、色は真っ白で、凸型のよく想像するような形をしていて、真ん中の飛び出たところは下から上まで抽象化された大木のようなデザインになっていて、出入り口は木の根元にある穴を通るような見た目になっていてちょっとファンシー。


「お邪魔しまーす」


 中は……特に細かく説明しなくても、よく想像する教会の中と(おんな)じ感じだ。

 高い天井に、ズラリと並んだベンチ、唯一違うのは一番置くの説教(?)とかをするための舞台みたいなところや十字架とかがなくて、天井すれすれまでに白い木のオブジェがそびえ立ち、その根元には半円形に水が溜まった池のようになっている。


「タイジュ教ってのタイジュって、()()ってこと?」


 代表的な宗教はタイジュ教とサイトに載ってたけど、ここまで木を推してる感じだとは思わなかった。


「お祈りをしていきますか?」


「ひゃいっ!?」


 突然、声をかけられてビックリして振り向けば、白と黒の地味……と、言ったら悪いけど、シンプルなデザインの神官服を着た男の人(NPC)がこちらを見ながらニコニコと笑っている。

 

 えっと、こういう場合は――視線をさ迷わせれば視界の下の方に選択肢を見つけた。

 チュートリアルではみっちゃんが説明してくれたので使わなかったけど、基本的にカブでは(一部のNPCに限るけど)AIを組み込んでいるのである程度の会話は可能なの。

 キャラになりきって話しかけてみたら会話不可なNPCだったと言うアイタタタなことになりたくない人や、会話が苦手な人用にNPCとの会話には選択肢が用意されている、この選択肢には“絶対”反応するように設定されてるのでアイタタタなことになることはないのです。


「えっと、“お祈りって何?”」


「初めての方でしたか。お祈りはこちらの聖水を聖樹にかけることで一時的な加護を賜ったり、聖水を飲むことで呪いの解除ができるのです」


 そう言って取っての付いた小さめの壺で木の根元の水をくんで私に差し出してきた。


――聖水を手に入れました。


 お、おお……終盤で手に入るようなアイテムを始まりの町で手に入れてしまった。渡された壺の中を覗くと、淡い光を放ちパチパチと小さな泡が弾ける音をたてている。

 なんか、炭酸みたい? あれ、でも、ソーダってアイテムを貰った記憶が。


「えっと、あったあった――ふーん、ソーダはMP回復だけで、聖水はMPと状態異常の回復か」


 ふむ、攻略サイトで見たとおり、HPを回復するには食事か水属性の魔法しかないのは本当みたい。

 とりあえず、お祈りしてみようと手に入れた聖水を聖樹――木のオブジェにチョロチョロとかけてみる。聖水の最後の一滴までかけ終わるとポンッと軽いエフェクトと共に壺が消えた。


「これで、良いのかな……わっ、光った!?」


 恐る恐る木のオブジェを見ているとオブジェの下の方から順に、上に向かって幹が淡い光を放ち始める。

 一番上、枝葉まで行くと葉っぱが赤く光り、その内一枚がヒラヒラと落ちてきて、私の目の前でフワフワと浮かんだ。これをとれば良いのかな?とそっと手を伸ばせば聖樹の加護(赤)を受けました。とアナウンスが流れた。


「赤……他のもあるのかな?」


「あるヨー」


「っ!!?」


 ポツリと溢した一人言に返事が返ってきてビックリして振り向けば、赤い頭巾を被ったオオカミの少女がこちらを覗き込むようにして立っていた。


「あ、えっと」


「はじめマシー! 新しい冒険者サーン!」


「え、初めまして」


「ギルド決まってルー? うちんとこドウー? 新人サン歓迎ヨー!」


 独特なイントネーションで話す彼女は『新人サン大募集! 来ませい、ガルグルフ!!』と書かれた立て札をピョコピョコ揺らしながら、ニンマリ笑顔を浮かべた。

 NPCじゃなくて、プレイヤーさんのギルド勧誘か、ビックリした。


「え、えっと、まだ決まってない、です」


「オー! なら、ガルグルフどうネー? 今なら初期メン称号つくヨー!」


「え、えっと、私はのんびりプレイする……あ、エンジョイ勢?になるつもりなので!」


「エンジョイ勢になるぅ?」


 語尾を上げながら首をかしげ暫くピタリと止まった後、ケラケラと笑い出す。


「あは、あははっ、自己紹介で言うのは聞くけど、目指してるって人初めてみた~。あー、笑ってごめんネー、それならうちのギルド向かないから諦めるヨー」


 先程とは違って、年上っぽい声と話し方でそう言った後、また、独特なイントネーションに戻って話し始めた。

 これが、ロールプレイってやつね……少しビックリしたけど、人の良さそうな彼女はまたネーと手を振りながら今度は別の人に話しかけていた。


「ロールプレイ……かぁ」

風景の描写が苦手で遅くなりました…

これからも、のんびり、ゆったりな更新になるでしょうが、完結はさせたいのでがんばりますっ

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