【大きなカブ】種族ガチャの確率が渋すぎる(゜A゜;)【ノンノンチャンネル】
こちらはプロローグです。読んでも読まなくても物語には影響はないと思います。
私が書きたくて入れた話なので、キャラのテンションをお楽しみください。
『コンコン~始めましての人はよろしくさん、ノンノンチャンネルへようこそーっ』
『あ、早速、投げ銭おおきに。えっと……ミッチーは居らんのか?』
『ミッチーなら僕ん隣で寝てますよー』
『昨日、バ先でしつこく客に絡まれたらしいんで、二限まで寝るそうですー』
『大変そうやねぇ』
『他人事――冷たい――意外と仲悪い?――まあ、双子とは言っても僕らからしたら普通に同い年なだけで兄弟って感じやし。漫画やアニメみたいな特別感とか特にないからこんなもんやろ?』
『帰ってすぐご飯も食べず爆睡しとったから、起きた時に腹に入れれるように焼き飯は作ってやっとるけどな』
『――ま! 僕ん話はこんくらいにしといて、早速、配信の方進めていきたいと思いま・す・がー』
『なななんと、視聴者さん達に朗報やで、うちのギルドの検証班がついに、カブのランダム種族の大まかな確率を割り出しました~拍手~』
『投げ銭、おおきに! じゃあ、早速、紹介していくでー』
『あ、ちゃんと配信することは伝えとるし、一応、僕はギルドの広報担当なんで、そこんとこは安心しといてー』
『まずはR種族、ヒョウに似たゴロロウ族、リスに似たチッチ族、シカかトナカイかは不明の枝角のブゥル族。
これは――10%未満でした! 厳しい!!』
『初っぱなから10%未満は厳しすぎやしませんかね、運営さん。ちなみに、ブゥル族の角はベェア族と違って着脱可能、ゴロロウ族とチッチ族の模様はグルグウ族と同じで模様以外の色は変更できる仕様みたいですー。
うちのネコスキーさんが猫科揃えたいとゴロロウ粘ってたみたいやけど、それを知って普通のヒョウにするか、クロヒョウにするか、ユキヒョウにするかでずっと悩んでましたわ。
沼やね……これは』
『さてさて余談も入りましたが次行きましょう!』
『お次はゆめかわ種族ことSR種族、角の生えた兎のカロプ族と同じく角の生えた馬のユニン族。
こちらは――5%未満でした! 早くも一桁突入です!!』
『こちらは頭装備でプップ族やヒィン族に角つけたら真似できるので、確率低くても、まあ、何とか耐えられるレベルですが、厳しいのは厳しいですねー。
ちなみに、うちのギルドにはユニン族が一人居るけど、なんちゃってユニンと並ぶと見た目が全然違うかったんよね。
角の長さちゃうし、たてがみや尻尾の先がちょっとカールしとるし、スキル使うと角や蹄が光るんよ。ユニン族、すごい綺麗やったわ~。
そもそも、獣化した時に装備とれちゃうので、なんちゃってじゃ満足できん!って人は死ぬ気でリセマラするしかない感じやね~御愁傷様です』
『そして、皆さんが気になっている最後のUR種族、ファンタジー好きなら誰もが憧れるドラゴンに似たドラン族ですが……。
こちらは――1%未満でした! 引かせる気が感じられない!!!』
『種族のリセマラ自体が一時間以上かかる上に、VRゲームの規制で連続してのプレイが四時間、一日合計プレイ時間が十二時間までと考えると、リアル日数を何日かければひけるのか!?
検証班も色んなプレイヤーに聞きまくって調べたけど、ドランの人がほとんど居らんくて、見つけても課金で複数体でリセマラしてやっとって感じで、もう、本物の幻の種族!!』
『これ、ドランの種族の石持ってる人居るんやろか……?』
『ん? ――種族の石って何ですか?――ゲーム始めた時にアイテムの欄になかった? あれよ、あれ。サブアバター作る時にメインアバターの種族と同じ種族を選ぶことができる使いきりのアイテム。
課金でサブアバターを増やせるけど、その時に関係性っての選べるやろ? そこで親子とか選んだ時に種族違うてややこしくなるのを避けるために、種族の石を使えば一体だけやけどメインと同じ種族にすることができるんよ。
サブアバターでは貰えないから欲しがる人多くて、オークションとかでR種族や、まっれぇーにSR種族の種族の石とか売ってるで。
えげつない値段しとるけどな』
『視聴者の中で種族の石をまだ持ってる人でサブアバター作る予定ない人はオークションに出すのをすすめとくわ。
結構前に公式から種族の石はサブアバター作る時以外には特に使い道はないって発表されとるんで、記念に持っときたいとか以外なら売った方が得。
普通の種族の石だから売れない?――普通のでもそこそこの値段で売れるで?
種族の石を使わんと作ったサブアバターは無職、初期スキルなし、Lv1の三重苦になるからやな。種族の石使うとメインと同じく種族一つと職業からスキル二つ、職業Lv10から開始できるから、大抵の人は種族の石使うて作っとるから、基本的に値崩れすることないで』
『三重苦のサブアバターはどうやって職業につくのか?――転職の時と同じで、その職業のスキルを覚えた状態で転職すると職業につけるで。
ちなみに、無職のままやとパッシブスキルが種族スキル一つしか選択できないから激弱で、レベル上がるまでほとんど使えないらしいわ。最初に選べる職業の中にはそれに就くためのスキルにSPメッチャ使うやつあるらしいから通常種族を石なしで選択してる人は色んな意味で変態やわ。
ああ、うちの創造紳士さん? あの人は、わざと激弱なガオガウやグルグウ連れてるんよ。強そうなやつが雑魚敵にボコボコにされてるのが良いとかで、わざわざ課金アイテム使ってレベル上げないようにしてるしな』
『…………一緒に冒険するときは頼りになるんよ? ちょっと、性癖が歪んどるだけで』
『さて、ここまでの配信で話した詳しい内容は当ギルドが運営している攻略サイト“大きなカブ”にて掲載してます。
URLは動画の説明欄に載せてるので是非とも活用してな。
あ、大きなカブのギルメンは招待制やからそこだけはごめんな~』
『じゃあ、お知らせも終わったので今日の配信テーマを発表していくで――――』
待ってましたや楽しみにしてました等のコメントが流れる画面をボンヤリと眺める。
明るいスマホ画面の中でニッコリと笑う狐耳がついた兄の面影が残るアバターを見ながら、私もいつものようにコメントを打った。
――今回も楽しみにしてます!
それは、起きてきたもう一人の兄が立てたであろう生活音に気を取られて拾われることはなかったけれど、楽しげに笑って配信してる姿を見ていると、安心する。
あの日から会うことはなくなり、こうして、ゲームの配信としてでしか顔を見れなくなった優しい二人の兄達。
LINKでメッセージや電話はしても、あれから一度も顔を見たことはない。そのため、本当に楽しく過ごしているのか、元気でいるのか心配しては配信を見る度にホッとする。
「良かった、今日も二人は元気なんだね」
楽しくなって声を出して笑っていると、リリンと軽快な音と共に、叔父さんからLINKが来た。
「“プレゼントがあるから、リビングに来て欲しい”?
何だろう、前にテストで六位になったから、それのご褒美かな?」
配信を最後まで見ていきたくはあるけれど、見てるのをバレたら良い顔をしないのは分かっているので、私は今行くと返信を打ってから、ベッドの傍に立て掛けてある杖を手に取った。
「何だろうな、楽しみだな。ふふ」
そして、カーテンを閉めきり、蛍光灯の明かりで無理やり明るくした部屋から私はリビングに向かうべく出ていった。
配信動画は某動画サイトとチャンネルを足したイメージです。
05/22:種族名を変えました。
06/08:種族名が不適切、また、覚えにくかったので大幅に変更しました。
 




