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目が覚めて

初投稿です。

いろいろミスも多いと思いますがよろしくお願いします。


 鬱蒼とした森に、2つの箱があった。


 森に相応しくないその異物は、比較的新しく見える。


 しばらくすると箱に変化が起こり、2つの箱が同時に内側からゆっくりと開かれた。


 これが一人の少女とメイドの旅の始まりだった。


◆ ◆ ◆



「ミア様、おはようございます」


「うん。おはよう、イリス」


 イリスのメイド姿が、懐かしく思える。



「う~ん、今は20年後ということでいいのかしら?」


 眠りにつく前は、20年後だと聞かされていた。


「そのはずですが……別の場所なのでしょうか。このような森は近くには無かったと思いますが」


 確かに、眠りについた街の近くには森は無かったはず。だとすると、眠りについた場所から全く別の場所に飛ばされたのかもしれない。



「ひとまず近場の街を目指しましょう。ミア様、近場の街を探していただけますか?」


「分かったわ」


 イリスの言葉に、私は目を閉じて探知の魔法を唱える。


 自分を中心に光が走り、意識が周囲に広がっていく感覚を覚える。一番近い人の集まっている場所は……東かな。



「東の方角に、多くの人の気配が感じられるわ」


「では、東を目指してみましょう」


 イリスと二人で東を目指して歩き始めた。



 目覚めた場所は、かなり深い森の中だったようだ。獣道どころか小川や岩場も無く、草木を掻き分けながら東に向かう。



 4時間ほど歩き続けただろうか。

 森を抜けた先に、大きな外壁が見えた。


「街のようですね。しかし……見覚えのない街並みです。他国まで飛ばされてしまったのでしょうか。20年で変わっただけかもしれませんが」


 最後に見た街の景色は、戦後という事もあり、所々に戦争の爪痕が残っていた。倒壊した建物や外壁、これらが20年で復旧されたとすると、街の景色が変わっていたとしても不思議ではない。



「ひとまず、あの門まで行ってみましょう。他国だと困りますので、話は私が行います。ミア様は横で待っていてください。それと、小さな魔石をいくつか出してもらえますか?」


「分かったわ。魔石……魔石ね」


 意識を集中すると、目の前に空間の歪みが現れた。その中から小さな魔石をいくつか取り出し、イリスに手渡す。


 そして門の前まで歩き、イリスと共に列の最後尾に並ぶ。



 並んでいる人はそれほど多くはない。ちょっと待つと、私達の順番が回ってきた。順番が回ってくるまでイリスは周りの人と話していたみたいだけど、何を話してたのかしら?


「ようこそ、オリオンへ! 身分を証明できるものはお持ちですか?」


「ありません」


「それでは、通行税としてお一人様大銅貨1枚を頂きます」


 イリスは袋から銀色の物を取り出した。


「こちらを」


「はい、確かに。こちらがお釣りとなります。よい旅を」


「あぁ、そういえば、今日は何年の何月何日だったでしょうか?」


「今日ですか? 復興歴503年の4月5日になりますが……」


「……そうでしたね、ありがとうございます」


 受け取ったものをイリスが袋に仕舞った。身分証明って軍の身分証明じゃダメなのかな?大銅貨?ってなんだろう。あんなお金あったかな?


 ――あれ、ちょっと待って。

 復興歴503年?



「イリス」


「ミア様、話は宿に着いてからで」


 復興歴は戦争終結を祝って新たに生まれた暦だ。どうやら、この時代は終戦から503年後になるらしい。だとすると……知人は一人も生きてはいない。



 宿に着き、二人部屋へと入る。

 柔らかいベッドに腰を下ろした。


「ねえイリス、これからどうするの?」


「そうですね。ミア様はどうしたいですか?」


 イリスは窓の外を眺めながら聞いてきた。


「私? 私は――――」



 私はイリスの視線の先を見た。

 空は高く、あの時代の色と変わっていない。



 胸を張り、言い放った。


「私は、戦争を起こしたいわ!!」


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