表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/111

第6話 休暇

それからチームで動かしていた大プロジェクトがようやく成果を結び、会社の総売上の10%を占める大事業が終結した。

次回からはリピートも出るだろう。

彼がやっていたことは大きな形となり、社長に呼ばれた。


「失礼します」

「かけたまえ」


身が埋まるほどのソファーに腰を下ろすと、社長は見たこともないような笑顔で彼の前に座った。


「聞いたよ。大成果だったな。私が見込んだ通りだった」

「いえ。まだまだです」


「うん。辞令より少し早いが来年からは次長になってもらう。将来は幹部だな。多村」

「次長! ありがとうございます」


部長から聞いて分かってはいたが、社長の手前驚いてみせた。

次長ともなると、会社の会議に参加できる。

若手のホープだ。鷹也は嬉しさをかみ殺した。


「それからなぁ。総務から聞いたがキミは会社にずっと寝泊まりしているらしいじゃないか」


突然の話だった。鷹也は会社のために当然のことだと思いそれをしていたのだ。


「それはマズイ。会社はキチンと休日も帰る時間も与えている。部下もそれをみならったらブラック企業そのものだ。キミの忠誠心は分かっているがそういうことは控えたまえ」


「し、しかしお言葉ですが社長。全ての車が法廷速度を遵守していたら日本の経済は成り立つでしょうか? 多少、危ない、危険なことをしないと社益に繋がりません」


その言葉を聞いて社長は膝を一つ叩いて笑った。


「はっはっは。キミは小気味いい男だな。その通りかもしれん。だがダメだ。キミを見習うヤツがでるのを恐れる。今回の功績と今までの代休にキミにひと月の休暇をやる。たっぷり休養したらまた頑張って欲しい。いいな。引き継ぎに二日ほどかけてもいいが、それからは休め」


「は、はぁ……」


今まで働きずくめの鷹也には青天の霹靂だ。

しかし、休暇……。それはそれで嬉しかった。

子供も小さい。今のうちにたくさん遊んでやりたい。

貯まった金で旅行にも行きたい。今の貸家は狭い。家を建てる相談もしたい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ