第33話 究極を名に持つ者
「静まれ!!」
エクストリムが急に声を上げ、最初に立っていた場所に移動する。その声に反応し、残る二人が彼の元に集まる。その様子に、一行も一度距離をとる。
エクストリムが階段に向け膝をつき頭を垂れる。スゾーとパラプリュイもそれに続く。すると、階段上から一人の人物がゆっくりと降りてきた。
「あれって、アルカンダイン?」
「それはこの身体の名前かい?残念だけど、ぼくは違うよ。まぁ、この身体に入ったのはただ単に話しというものをしてみたかったからだけど・・・・前回は失敗してしまったからね。ちょうどよく、ぼくを呼びだそうとしてくれていたから使わせてもらっただけさ。」
マレーンの問いに、アルカンダインの姿をした〝それ〟が答えた。
「主、御顕現おめでとうございます。」
「エクストリム、待たせてすまない・・・・騎士団はまた減ったのか?」
「申し訳ありません。我々がいたらぬばかりに、同士を――――――」
「気にするな。盛大に減りはしたが・・・・新たに創ればいい。」
「そう・・・あなたが真の黒幕というわけね。」
その様子を一望しながら、アリスとチャトが現れた。二人はゆっくりと歩きながら、一行の列に並んだ。
「また増えたか。まぁ、どれだけ数が増えようと・・・・そうか、騎士団の数が減ったのはそう言うことか。」
一行を眺めると、勝手に納得したようだった。
「王の証・・・つまり、君たちがこの時代の護王というわけか。なるほど、前回よりは強そうだ。少しばかり数が多い。」
口元に下手な笑みを浮かべながらこちらを見下すアルカンダインであった人物。
「数?数ね・・・・本当にそうだと思う?だとしたら・・・・あなたちょっと、期待外れもいいところね?」
負けずに笑みを口元に浮かべ、悪態を返すアリス。
「ふ~ん・・・・自信あるんだね。たかだか500年経ったくらいで、ぼくを倒せるつもりでいるのかい?案外かわいいんだね、人間は。」
「倒せるつもり、ね・・・・倒すのよ。確実にね。」
笑顔混じりの表情から一変、真剣な眼差しをアルカンダインの中のものへぶつけるアリス。
「・・・・ふぅ。君たちは過去の歴史から何も学ばないのかい?」
「歴史?」
その単語にいち早く反応したのはネージェ。
「そう。なぜ、ぼくが今ここにいるのか。それは、過去の護王がぼくを倒せなかったからに決まっているじゃないか。」
『ドッ!!』
突如、闇の一行の後ろ、城を貫き一本の黒い塔がそびえ立つ。
「「!?」」
驚きは一様。その黒い塔を仰ぎ見る。
「これが答え。君たちではぼくに勝てない・・・・ね。」
不敵な笑みで笑うアルカンダインの姿をした闇の主。
「・・・いったい・・・あれは、何?」
マレーンが怪訝な顔をしながら言葉を洩らす。
「あれは・・・ぼくの本体?いや、力の全てというのが正しいのかな?あれがある限り、ぼくが負けることはありえない。」
そう言いさらに深い笑みを見せると同時、空に大きな影がよぎる。一人ともれず空を仰ぐ。そこには、大きな2枚の黒い翼と、同じく大きな黒い砲身を左手に携えた赫い少女の姿があった。
「バハムート!?」
「ルージュ!!」
エクストリムとアリスの声が重なる。その声をよそにルージュは砲身を塔へと向ける。
「アルティメイティエストーーーーーー!!」
砲身についた3枚の翼が天を仰ぎ、光が灯る。それと同時、銃先にも灯りがともる。
「〝ソル・フレア〟ーーーーー!!」
言葉と同時、紅い閃光が発せられる。一直線に塔へと向かう特大の光。しかし、その直線状に黒極騎士団の3人が立ち塞がる。
「主の邪魔はさせん!!」
光が騎士団にぶつかる。だが光は止まることなく、わずかに減速したかと思える程度のまま、3人を呑みこみ塔へと到達した。轟音と爆塵が巻き起こる。
一行は、その様子をただ呆然と見つめていた。数秒が経過したのち、アリスの隣に降り立ちバハムートを解除するルージュ。
「ルージュ・・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・どう?」
荒い息を立て、いまだ粉塵に包まれる塔をみつめる。しかし、闇の主はこちらをみたまま動かない。
徐々に粉塵が薄まる。それと同時、一行の顔が驚愕に変わる。その反面、主の顔が笑みで歪む。一行の視線の先には、塔が先ほどまでと変わらぬ姿で立っていた。
「あれで・・・ダメなの―――――」
「いや、そうでもなかったさ。」
悔しさを顔に表し言葉を洩らすルージュに、淡々と返事をする主。
「今のは惜しかったよ。彼らが邪魔しなければ・・・・ちょっとくらいは傷を負わせられたんじゃないかな?」
くすくすと笑いながら自分の腹を押さえる。しばらく笑った後、大きく息を吸い顔から笑みを排除する。
「さて・・・騎士団もいなくなったし、ぼくが戦わなければいけないわけか。」
そう言って、いままで見せた事のない眼光をこちらへと向けてきた。一行は、その様子に戦闘態勢をとる。
「アルティメイティエスト――――――」
「その名を呼ぶのかい・・・・誰に聞いた?」
ルージュがこぼした言葉に、主が反応する。
「まぁ、誰に聞いたかはどうでもいいけど・・・もう、そんな長い名前で呼ばれるのは嫌だな。せっかく人間の身体を手に入れたんだ。もっと呼びやすい愛称がいいな。」
「じゃぁ、なんて呼べばいいの?」
「そうだなぁ・・・・〝アルテ〟っていうのは?呼びやすいし、覚えやすい。」
「!?」
ルージュと闇の主の会話の中にあり、その名前に一番に反応したのはアリスだった。
「アルテ――――まさかとは思っていたけど・・・・そういう・・・ことだったの―――――」
「アリス、どうしたの?」
その様子に気付いたネージェがアリスに問いかける。
「みんな、ごめん―――――この戦い・・・・勝てない。」
「正気か、アリス!?何弱気になってんだ!!」
アリスの発言に、リアンが怒鳴りつける。アリスらしからぬ発言であるのは確か。リアンが不審に思うのも無理はなかった。
「事実よ。私たちでは・・・・・・・少なくとも、〝今の〟私たちでは、勝てない――――」
「なんでわかる!?」
「私が・・・・未来から来たから―――――」




