第31話 決戦に繋ぐ夜
ワラフ国主都『ワラフ』。今ここで、ノード同盟ホクト軍とワラフ軍が、明朝の進攻開始を待っていた。
彼女達がノードを出発して二カ月、各国をまわり協力を得ながらそれぞれの目標都市に到達。進軍開始と決めた日にちを明日に控え、身体を休めていた。
ブランネージュには、ブランネージュ軍とアルジャン軍、ネージェにリアン。
ガレには、ガレ軍とノード同盟モンテ軍及びデジュール軍、マレーンにボワ。
旧オランジュ国には、スディア軍とコート軍、ノード同盟サイ軍、フィユにラプ。
そして、ワラフにはワラフ軍とノード同盟ホクト軍、アリスにチャトである。
「アリス、大丈夫かニャ?」
外で一人、星を眺めているところにチャトが話しかけてきた。それに対し、「うん」とだけ答えると、また空に目を向けた。しばらく沈黙の時間が続き、今度はアリスが口を開いた。
「いよいよ・・・・始まっちゃうんだね。」
「うん。」
「いろいろあったね。」
「そうだニャ。あたしは、みんなとは短い方だけどニャ。」
苦笑いを浮かべるチャト。それに優しく微笑みかける。
「そんなことないよ。」
そう声をかけるアリス。その顔に、チャトは見惚れていた。しかし、その目が見ているのは、明らかに自分ではない事がわかった。
「ルージュの事・・・・かニャ?」
「・・・・うん。結局あれから、まだ帰ってきてない。大丈夫だとは思う。思うけど・・・・・」
「心配なんだニャ。」
「・・・・うん。」
アリスの顔からは、その不安がにじみ出ているようだった。何に対しての不安か。それはたぶん、自分に対してなのだろう。
ずっと一緒だった。一番長くそばにいた。だからこそ、こういうときにそばにいてほしい。アリスの不安は、チャトにも痛いほど伝わってきた。
「・・・・ア―――――んニャ?」
アリスに声をかけようとした時、チャトの目にそれは映った。目をこすりもう一度見直すが間違いない。というよりも、あの赫は見間違いようがない。
「・・・・アリス。その不安はもう終わりだニャ。」
チャトの言葉に顔を向けたアリスに、その方向を指差す。指の方向を辿ったアリスの顔が、目に見えて変わって行くのがわかった。それと同じく、前方に見える赫がこちらに向かって走ってきた。そして、
「アリスーーーー!!」
そのまま、アリスの胸に飛び込んできた。それを、ためらいなく抱き返すアリス。
「ん~。アリスの匂いがするー。」
「ルージュ・・・ルージュだよね。まったく、心配ばっかかけて。」
「うん。ごめんね。でも・・・ちゃんと帰って来たよ。」
「そうだね。おかえり、ルージュ。」
「ただいまぁー。ねぇアリス?」
「ん、なに?」
「お腹すいたぁー。」




