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御伽噺戦記  作者: ran
34/41

第31話 決戦に繋ぐ夜

 ワラフ国主都『ワラフ』。今ここで、ノード同盟ホクト軍とワラフ軍が、明朝の進攻開始を待っていた。


 彼女達がノードを出発して二カ月、各国をまわり協力を得ながらそれぞれの目標都市に到達。進軍開始と決めた日にちを明日に控え、身体を休めていた。


 ブランネージュには、ブランネージュ軍とアルジャン軍、ネージェにリアン。


 ガレには、ガレ軍とノード同盟モンテ軍及びデジュール軍、マレーンにボワ。


 旧オランジュ国には、スディア軍とコート軍、ノード同盟サイ軍、フィユにラプ。


 そして、ワラフにはワラフ軍とノード同盟ホクト軍、アリスにチャトである。


「アリス、大丈夫かニャ?」


 外で一人、星を眺めているところにチャトが話しかけてきた。それに対し、「うん」とだけ答えると、また空に目を向けた。しばらく沈黙の時間が続き、今度はアリスが口を開いた。


「いよいよ・・・・始まっちゃうんだね。」


「うん。」


「いろいろあったね。」


「そうだニャ。あたしは、みんなとは短い方だけどニャ。」


 苦笑いを浮かべるチャト。それに優しく微笑みかける。


「そんなことないよ。」


 そう声をかけるアリス。その顔に、チャトは見惚れていた。しかし、その目が見ているのは、明らかに自分ではない事がわかった。


「ルージュの事・・・・かニャ?」


「・・・・うん。結局あれから、まだ帰ってきてない。大丈夫だとは思う。思うけど・・・・・」


「心配なんだニャ。」


「・・・・うん。」


 アリスの顔からは、その不安がにじみ出ているようだった。何に対しての不安か。それはたぶん、自分に対してなのだろう。


 ずっと一緒だった。一番長くそばにいた。だからこそ、こういうときにそばにいてほしい。アリスの不安は、チャトにも痛いほど伝わってきた。


「・・・・ア―――――んニャ?」


 アリスに声をかけようとした時、チャトの目にそれは映った。目をこすりもう一度見直すが間違いない。というよりも、あの()は見間違いようがない。


「・・・・アリス。その不安はもう終わりだニャ。」


 チャトの言葉に顔を向けたアリスに、その方向を指差す。指の方向を辿ったアリスの顔が、目に見えて変わって行くのがわかった。それと同じく、前方に見える赫がこちらに向かって走ってきた。そして、


「アリスーーーー!!」


 そのまま、アリスの胸に飛び込んできた。それを、ためらいなく抱き返すアリス。


「ん~。アリスの匂いがするー。」


「ルージュ・・・ルージュだよね。まったく、心配ばっかかけて。」


「うん。ごめんね。でも・・・ちゃんと帰って来たよ。」


「そうだね。おかえり、ルージュ。」


「ただいまぁー。ねぇアリス?」


「ん、なに?」


「お腹すいたぁー。」

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