地獄の時間
食器を洗い終え二階の自分の部屋へ向かった。二階には部屋の扉が三つあり、ひとつが自分の部屋隣が妹の部屋。そして向かいにあるのが両親の部屋だ。両親は海外で仕事をしており、今は妹と暮らしている。
自分の部屋に入り机に座る。二時間ほどかけて宿題を終わらす。風呂に入り、歯を磨きベットによこになった。そのまま眠りについた。
――朝
ん?今何時だ?
時計を見ると短い針が8に、長い針が30を指していた。
「うおおー!やべ完全に遅刻だー!」
制服に着替え、鞄を持ち、妹の食べていたパンを奪い取りそのまま玄関を飛び出た。
やばいやばい!今日の一時間目は鬼教師の忍田じゃん!やばいー!
頭はところどころ寝癖がついていて、いつも長かった前髪が横に流され目がくっきり見えるようになっていた。そしていつもつけていたメガネがないことに気が付いたのは、教室の前だった。
はあー、いろいろやらかしちゃったよ。どうしよ今授業中だし……そうだ!後ろからこっそり入るか!
ドアを音を立てずにゆっくりと開け、恐る恐る教室に入る。しかし目の前には鬼の形相をした。鬼……ではなく忍田が待ち構えていた。
「おい!如月!お前なんでこんなに遅くなったんだ!」
こっ声がでない
「何も言わないんだったら俺の隣で授業を受けてもらうからな!」
そして地獄の時間が続いた。
* * *
放課後の廊下
「はっはー!それは災難だったな」
颯輝は笑いながら俺の背中を叩いてくる。
「うるせい!まさか新学期初めの授業で遅刻した恥ずかしさよりも、あの鬼に睨まれることが怖かったんだからな!」
「はいはい、わかったって」
「いいや!絶対わかってないって!」
そんなことを話していると……
「あっ!せんぱーい!」
マジかよ……
前からかわいい笑顔で向かって来るのは、そうあいつだ。
「先輩、今日遅刻してすっごく怖い先生に怒られたらしいですね」
「お前なんでそれを!?」
「ええーだってみんな言ってたから、あの鬼の授業に遅刻してきたやつがいるぞって。そして誰なのか聞いたら先輩だって」