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1話 転生

「――――――――-」


 ん……なんだ……?声が聞こえる。


「―――――――――――――――」

 

 なんて言っているんだ?良く聞き取れない。


「―――――――――――」


 少しづつ、意識が覚醒する。ゆっくりと目を開くと、目の前には金髪の美女がこちらを覗き込んで微笑んでいた。


 誰だろう。顔立ちは、明らかに日本人ではない。木村のように髪を染めているようでもない。とても自然で合っている。

 

 周りを見渡すと、もう二人こちらを見る人が居た。一人は赤髪のがっしりした体格の男。顔に着いた生々しい傷跡が目立っている。クマにでも襲われたのかな?


 二人目は16歳位の美少女。こちらは正面で俺を見つめる美女と同じ金髪だ。俺が顔を向けると若干嬉しいような、戸惑ったような顔をした。めちゃくちゃ可愛いな。


「……ぁ……ぁう」


 とりあえず、今俺がどういう状況か全くわからないので、ここは何処なのか周りの人に聞こうとするが、出てきたのは言葉とは到底認識できないようなうめき声だけだった。


「――――!!」


 俺の意思が通じたのか、正面に居た美女がこちらに手を伸ばしてきた。

  

 そして……抱きかかえられた。


 (はぁ!?)

 

 俺の体重は80キロを超えているはず。この美女が木村程の怪力を持っているようにも思えない。

 もしかしたら、ずっと寝たきりで体重が落ちているのか?


 そもそも俺はどうして助かっているんだ?周囲を見渡す限り、ここは病院では無くウッドハウスと言った感じだ。もしかして、外国にでも売り飛ばされたのか?あの宗教団体が腹いせにでも……。


 あれ……宗教団体って……ナンダッケ?


 しかし、そんな疑問はすぐに吹っ飛んで、さらに訳が分からない疑問へと書き換えられた。

 

 鏡に映った、金髪の赤ちゃん姿の俺によって。





『戸惑っているようですね』


 なっ!?なんだ!?脳内に直接声が……。

 

『こっちですよ。窓の方』


 窓の方……猫っぽい生き物がこちらを見ているが……。


『それですよ、それ。それが私です』


 はぁ?冗談はよしてくれ。あの愛くるしい姿の黒猫が喋る訳ないだろう。アニメやラノベでもあるまいし。


『あ、愛くるしいって……ってそうじゃないです。本当にそれが私です。証明しましょうか?』


 おう、どうするのかは知らんがやってみろ。


『では、三回まわってにゃあ、と鳴きます』


 なんかそれ、屈辱的じゃないか?そう思ったが、自称黒猫さんは特に何も感じていないようで、本当にやってのけた。

 

『これで信じてもらえますか?』

 

 ああ、信じはするが……お前は何者なんだ?脳内に直接喋り懸けてくる猫なんて普通いないぞ。


『はぁ、やっと本題に入れます。私は神の使い。私の主、神神(しんじん)様より命を受けあなたサポートをいたします』


 は?神の使い?神神(しんじん)?サポート役?


『それは追い追い説明するとして、今はあなたが置かれている状況について説明しますね』


 お、おう。


『端的に言うと、あなたは転生しました。そして、何故かあなたは消えるはずだった記憶を残したままです。

 本来、記憶は神神(しんじん)さまにより完全に消去されるはずでした。ですが、神の神様の力ですらあなたの記憶は消す事が出来なかった。こんなイレギュラーは起きた事が無かったので、神神(しんじん)様は悩んだ末、私を近くに置いておく事を条件にこの世界に転生させたのです』


 なるほど、要は俺みたいなやつがまた出てきた場合、転生させても問題が無いかの検証って訳か。


『まぁそんなところです』


 しかしなぁ……なんで俺の記憶消えないんだ……?


『不明です。神の神様でさえ原因が分からない事を考えても無駄です』


 それもそうか。そういえばさっきから神の神様って言ってるが、なんなんだ?


『この世界には10柱の神とそれら全ての神、神神(しんじん)様がおられます。神神(しんじん)様は創造神とも呼ばれますね』


 へぇー、だから神の神様って訳か。


『はい。ちなみに神は、剣神、闘神、海神、獣神、龍神、冥神、魔神、邪神、天神、守護神が居ります。絵本とかに登場している神もいますので、言語を覚えるためにも読んではどうですか?』


 うーん、言語かぁ。俺、昔から外国語とか覚えるの苦手なんだよなぁ……


『大丈夫ですよ。あなたはまだ赤ちゃんですから、まだまだ時間はありますよ』


 何だかお前、笑ってないか?


『いえいえ、そんなことは、ありま、せんよ?」


 ふん、まぁいいや。それより、この世界って魔法とか無いのか?


『ありますよ』


 え!?マジで!?あんの?俺使えたりする?


『ええ、試しにファイアとでも唱えたらどうですか?』

 

 よ、よーし!!  ふぁいあ!!


   シーン

 

 何も起きねえじゃねぇか。


『ぷ、ぷぷぷ。ぷーはははは!!赤ちゃんで使える訳ないじゃないですか!!」


 この野郎……ふざけやがって……!!成長したら、ただじゃおかねぇからな!!


『すみ、ません。ぷふっ。お詫びと言ってはなんですが、いい事を教えてあげますよ。心の中でステータスって唱えてください』


 ふん、許しはしないが、なるほど。ステータスだな?

 

(ステータス)


【ステータス】

名前:フェルディナント・ルべルター

性別:男

年齢:0

種族:人間

職業:―

【能力値】

体力:1

筋力:1

俊敏:1

マナ:1

運:1

物理耐性:50

魔法耐性:50

【スキル】

絶対防御:Lv―/防御に関連する、スキル・魔法を全て取得し、LvMAXで使用することが出来る。

【装備】

毛布


 おい、何だこの〈絶対防御〉って。明らかに赤ちゃんが持っていいもんじゃねぇぞ。


『さぁ?何でしょうね』


 なんでしょうねって、分からんのか!?神の使いだろう?


『あなたはイレギュラーですから』


 そうか、なるほど。って納得できるかこの!


『そんなに怒っていると老けますよ?』


 俺はまだぴちぴちの0歳児だ!!


『ぷっ』


 なにが面白いのかこの黒猫は。


『黒猫じゃないです。私の名はクロです』


 いや、そのまんまだな。今時クロとか付けるやつ居ないぞ。


『付けたのはあなたの姉です』


 姉……あー、16歳位の金髪美少女か。あの人、俺の姉になるんだよな。と、すると今俺を抱いて鼻歌っぽいの歌ってるのが母親で、その隣の男が父親か。


『そうなりますね』


 そういえば、お前の名前は俺の姉が付けたそうだが、いつからここで飼われているんだ?


『たぶん、4年ほど前だと思われます』


 思われるってどういうことだ?


『この肉体は元々は私の物ではないのです。簡単にいえば私はこの肉体に憑依していると言う事なのです』


 おいおい、その猫かわいそくないか?


『大丈夫です。既に病気で死にかけだったので』


 そ、そうか。



 


ここまで読んでくださってありがとうございます。

次回は来週の土日に投稿いたします。

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