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第2話 連戦

お久しぶりです。玖太です。

8月中旬となりましたので予告通り第9章(最終章)を開始したいと思います。

本日は2話投稿します。これは本日投稿の2話目です。

宜しくお願いします。









史郎達の作戦はこうだった。


まず能力やイギリア政府の力を借りイギリアに秘密裏に侵入。

そして周囲の人間に幻覚をかけケイエス大聖堂へ向かっていくわけだが、どうしても周囲に気が付かれないからこその難題もある。


周囲の人間は史郎達の存在に気が付かないからこそ、史郎達は彼らを避けて行かねばならない。

だからこそ作戦参加の数十名の生徒全員を一塊にするのは合理的ではなく、いくつかのチームに分散しケイエス大聖堂に向かう手筈になっていた。


そして各部隊にはそもそも生徒を守るに十分な戦力が備わっており、


史郎達のチームも同様だ。

史郎は


「お前ら!!? こんなところで何をしている!!??」


幻覚と解き史郎達の存在に気が付いた青年が即座に仲間に連絡を取ろうとした瞬間、


「フッ!」


テレキネシスを起動。

即座に彼の持っていた無線が史郎のテレキネシスで起爆し、その早業に「クッ!」青年は顔を歪め脱兎のごとく逃げ出そうとした時だ


「何!?」


間髪入れずその背後に迫り、


史郎の高速体術に目を見開く男。


涙が溜まるその男の首を容赦なく刎ね飛ばした。


空中に鮮血の花が咲く。


その光景を目の前で見て、メイを含む多くの生徒が息を呑んだ。


その周囲からの視線に若干の気まずさを感じなくもないが、史郎が容赦なく敵を殺害したのには意味がある。


イギリアにいる『第二世界侵攻』の現在の勢力は数百名だと推測されていた。

それはかつて『国境なき騎士団』が壊滅させられた際生き残った数名の能力者からの話や、その他、イギリア入国を果たしたと考えられる能力者情報からの推測だった。


そしてそれだけの戦力をイギリアという東京二十三区の三分の一ほどの面積しかない島に鈴木は配備しており、能力者の密度は非常に濃いと言える。


だが全員がベルカイラのように強者かというとそうではなく、これまでの各国から抜け出した能力者を見ると平均は『ArmS』程度の練度になるらしい。


だからこそ史郎初め今回世界中から招集された強者の能力者からすると敵ではないのだが、


中には当然強者も混ざる上に、

生徒達を守るという観点から気が抜けない。


だからこそ史郎達が取った策は電撃戦。

一気にケイエス大聖堂を強襲し、今回の策のキーとなっている『無効化能力者』姫川アイを回収するというもので、だから史郎は即座に敵の断頭を目論んだのだ。


全員を相手にする必要はない。


まばらに分散警備している彼らの輪を一気に切り裂けばいいのだ。



そしていくら無線を破壊し即座に敵を殺害したとはいえ、相手に完全に気付かれない、という訳にはいかない。



遠くでドンッと爆炎が上がった。

中世そのままの街並みに黒い爆炎が上がり、悲鳴が轟いてくる。


爆炎が上がったのはCチームの突撃ルートである。

彼らの方でも戦いが進行しているようだ。


そして史郎が彼らの安否を心配していると


「おやおや、シギーからの応答が途絶えたと思ったら案の定やられていましたか……?」

「存外、来てみるものですねぇ……」

「オレ、肉狩ル……!!」


中世のレンガ敷きの街並み。

その屋根の上から史郎達を見下ろす三人の敵がいた。


眼鏡をかけた長身の男、髪を長く伸ばした男と、マスクを被った巨体の男だ。

そしてその三人は、即座に史郎達に襲い掛かってきた。



「九ノ枝君ッ!!」


俄かに殺気立つ街角。

しかし


「大丈夫だ! 俺が倒す!!」


メイの悲鳴に史郎は即座に答え駆け出していた。


空中で史郎と三人の能力者が激突した。


◆◆◆


三人の内、一人は炎の鞭を打ち出す能力者だったようだ。


何十メートルというレンジを誇る業火の鞭が物凄い勢いで渦を巻きながら史郎に殺到した。

しかしそれを史郎は


「フンッ!」


『ジャック』。


圧倒的実力差がある時のみ使用できる、自身のテレキネシスを送り込み敵の操る物体の操舵を強制的に奪い取る力技である。


それにより腕を一振りし、炎の鞭を吹き散らし、


「嘘だろ!?」


一人の男を驚愕させ


「ハハハ!! だからケイジはイカン!! 直接殴ラネバ!!」


変わってマスクを被った巨躯の男がとびかかってきた。


「貴様、ニク、食ワセロ!!」


そしてその男が史郎の真上に落下する様に襲い掛かり、史郎の体がすっぽりとその影に覆われた時だ。


「ッ!!」


史郎は自身が立つ石畳にテレキネシスを掛けそれにより石畳が跳ね上がり


「ウオッ!!」


男に無数の石弾が襲い掛かる。

男はそれに顔面含め体中撃ち抜かれふっ飛ばされた。

そしてそこに目を光らせ史郎は跳躍し襲い掛かり


「ッ!?」


マスクを被った男が息を呑んだ瞬間


史郎のオーラ刀が男の首を両断した。


そして仲間がものの二秒で断頭されたことに度肝を抜かれながらも最後の一人の男がウェポン型能力で刀を生み出し、そこから無数のオーラの刃を放ってくるが、それを史郎は


「……遅い」


生み出していたオーラ刀で、全てを切り払う。

その光景に


「くっ!?」


と敵が息を呑んだ瞬間、史郎の操作する瓦礫が横合いから突っ込み


「ッ―――!!」


敵を殺害。

そして炎の鞭がやられたこと、相次いで仲間がやられるさまに呆気に取られている眼鏡をかけた男に、史郎の投げたオーラ刀が迫った。

そして眼鏡をかけた男は迫るオーラ刀に


(コイツ……ッ 強すぎる――)


と彼我の戦力差を悟った瞬間、それは到達し、男の命は消えることになった。


こうして戦いは数秒で終わり、その史郎の驚愕の戦闘性能に言葉を失っている生徒達を


「行くぞ!!」


史郎は一声で我に返し、生徒達と一緒にケイエス大聖堂へ駆け出した。


その後も能力者の襲撃は続いた。


どうやら完全に何らかのエネミーが侵入したことは気が付かれてしまったようだ。


しかしこれも作戦通り。


一国に侵入しておいて最後まで気が付かれない。

そのような事が起こるわけがない。


イギリアの政治家たちも作戦実行時は流石に鈴木も『悪意(サプレスコメント)』は使用しないだろうと読んだのだ。


そして実際に戦いが始まり爆炎が上がったり周囲から異音が轟くようになると何も知らない周囲の人間は慌てふためき逃げまどった。


そんな中を史郎達は『幻覚』と解かず、周囲の石畳や街並みに自身の『力』を飛ばしながら、敵の奇襲に備えながら走り続ける。


そうしながらも、言ったように無数の敵が史郎達に襲い掛かり、


「喰らえ俺の稲妻ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


時には稲光を見舞おうとする敵に、返し手で車をテレキネシスで操作し


「グフッ!!」


叩き込みふっ飛ばしたり


「では私のゴーレム達の餌食になって下さい!!」


敵が生み出す周囲の物体を飲み込み出来上がったゴーレムに、最近出来るようになった気体操作の応用で


「なに!?」


衝撃破を打ち込み、無数のゴーレムを粉々に破壊。息を呑む敵に勢いそのまま


「フンッ!!」


衝撃波を放ち


「グアアアアアアアア!!」


倒したりしていた。


史郎だけではない。

史郎が率いる隊にいたベテラン能力者達も生徒達を守るために必死に戦う。


水流カッターを飛ばす敵から


「クッ!」


生徒を守るために身を挺したり


風を操る能力者から


「下がって!!」


生徒達を守ったりしていた。

テレキネシスで気体を操作し風の侵入をカットする。



そうしながらも史郎達はただひたすらにケイエス大聖堂を目指し走っており


――だが強敵と会いまみえないわけにはいかなかった。


ある時先頭を走る史郎の前に


「おっ、こんなところにも団体様かぁ……」

「へっへ、兄貴、中には可愛い連中もいるようですぜぇ……」


のっぽの男と小太りの男の二人組が立ちはだかった。


そして両者の付けていた特徴的なリングですぐに存在を悟る。


ギアナ兄弟である。


個々の実力の高さもさることながら、その優秀な連携でその名を轟かせている、今回の作戦でも要注意人物に上げられていた能力者達だ。


だがこちらにも


「史郎ッ」


ナナがいる。

史郎の横に私の出番と主張する様にナナが立つ。


史郎とよくタッグを組み戦う史郎の『赤き光』の()()()()()であるナナが。


「あぁ行くぞナナ……!」


史郎とナナ。

生徒達が能力覚醒する遥か前から組んでいた二人とギアナ兄弟の戦いが開幕した。


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