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第10話 男女混合トーナメントバトル



「頑張ってー! 雛櫛さん!」

「押してるよー!!」

「頑張れー!」


会場では最終競技・バトルトーナメントが行われている。

戦闘で相手の致命加護(シュートポート)を発動させるか、相手をリング外に弾き飛ばしたら勝ちの男女混合トーナメントだ。


メイが代表選手なのにも理由がある。

メイは誰よりも懸命に修行を行った生徒の一人だ。

だからこそかなりの練度にはなっているのだが、メイ以上の戦闘力を有する者は他にもいる。

ならばなぜメイが代表に選ばれたのか。

その理由が『同行者(アシストパートナー)』。

史郎が欲するものをメイが想像し生み出す特殊なアビリティ型能力である。

行うのは能力バトルのトーナメント。

相性の悪い能力と当たれば即詰みだ。

だからこそ応用が効くメイの能力が選ばれた。


そのため試合前には


「じゃぁ、雛櫛頑張って。怪我はしない範囲で、だけど」


史郎はメイにそう声をかけ、史郎が『勝利を臨む』環境を作り出し


「うん、頑張って来るね!」


メイは顔を綻ばせ史郎に背を向けた。


そして試合内容自体だが――、晴嵐の思惑通りの展開になっていた。


『おぉ! 八木田の代表、寺坂さんの能力は炎系の能力だ! それもかなりの練度だー!』


二回戦、メイの相手は炎操作の『炎庭(ファイアガーデン)

野球ボールほどの炎弾を射出する能力だ。


射出する弾速自体は速くはない。

しかし着弾した炎が野火のように周囲に広がり範囲攻撃を仕掛けるという厄介な性質を持つ能力だった。

それこそが寺坂が代表に選ばれた理由であり、それにより一回戦では


「ちょっ、アツ!?」


熱で敵をコートの端まで誘導すると、隅まで追い詰められていることに気が付かない女子に寺坂は獣のように素早く駆け寄り


「セイ!」


蹴りを叩き込みリングアウト。


「「「おおおおおおおおおおおお~~~」」」


鮮やかに勝利し観客を沸かせて見せていた。

そのような相手と二回戦、メイは相対したのだが


『おおお! やはり『炎庭(ファイアガーデン)』! 雛櫛選手、手も足も出ません!』


案の定、周囲に広がる『炎庭(ファイアガーデン)』に手を焼く。


「アッツ」


メイは炎弾を回避するも地面を駆け巡る炎に顔を顰め、


「おおおおい! お前何してくれてるー!!」


周囲の観客に交じり焦った史郎の野次が飛ぶ。

だが実際に戦うメイは落ち着いていた。


「クッ……!」


炎弾は避けられる。

しかし周囲に伸びる火の手が鬱陶しい。

そう考えたメイは


『おおお!! 水を発生させました! 雛櫛選手は水も生み出せるようです!』


同行者(アシストパートナー)』で大量の水を発生させた。

それをどこに発生させたかと言えば、空中に、だ。


「「「え?」」」


浴槽くらいなら優に満たせそうな水塊が空中に現れ史郎を始め多くの観客が顔を固めた。


え、それで何をする気なん?雛櫛さん?と。


しかしメイが考えたのは単純なことだった。

それを『全身から被った』のだ。

ドサッと大きな音を立てて中空に浮いていた水塊が落ち、メイを水浸しにする。

要はドラマとかでよくある人が水をかぶって火事現場に飛び込むアレである。

それにより炎の熱への耐性と、


『『『『おおおおおおおおおおおお』』』』


体育着が透けてブラなどが見え出し周囲の男子の歓声と


「うおおおおおおおおおおおおお!!!」


史郎の歓声を得ると


「フッ!」


メイは一気に寺坂に駆け寄った。


「うっそだろお前!」


そしてこのような方法で攻略して来るとは思ってもおらず焦る寺坂に、速攻。

まずは周囲に落ちていた瓦礫にテレキネシス。

操作した瓦礫を当てて、


「おわ!?」


上体が揺らいだ敵に


「フッ!」


肉体を強化し速度の乗った体でそのまま『突き』

場外へ押し出して見せた。


『おおおおおおお!! 勝者は雛櫛メイ選手です!』


『『『『『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』』』』』


メイの勝利に普段以上に観客が沸いた。

主に男が、透けブラしたメイに興奮したのである。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


史郎は歓声を上げた。

こうして雛櫛は第二回戦を勝ち上がって見せ


「ど、どうだった九ノ枝君?」

「そ、そりゃ凄かったよ……」

「化粧落ちちゃった……」

「ま、まあその状態でも十分すぎるほど綺麗だから……」

「九ノ枝君、鼻の下あたり、赤いけど……」


試合後、メイの透けブラに鼻血を流していた史郎とおかしな会話をしながらもメイは三回戦にコマを進めた。


◆◆◆


こうして三回戦に進んだメイだが、三回戦の相手は史郎と因縁のある相手だった。

なぜなら三回戦の相手は奇しくも同じ晴嵐高校。

視点の先に移動する能力『視点移動(アイジャック)』、谷戸剛健。

何を隠そう谷戸組のリーダー格の男だったのだ。


「ひ、雛櫛、棄権したっていいんだぞ……」


流石に心配する史郎。

だがメイは落ち着いたもので


「大丈夫、私に考えがあるの。九ノ枝君は、私を信じて応援していて」


そう言って身を翻して史郎の下を去って行った。

その様子に、大丈夫なんだろうか、と一抹の不安を抱く史郎だが、丁度そこにメールが届く。

史郎が携帯を開くと谷戸からだ。

文面はこうだった。


『自分、やっちゃって良いんすか??』

「……」


どうやら谷戸もメイと戦うことに抵抗があったらしい。

これを見て史郎はフム、と勘案した。

最悪、ここで谷戸を棄権させることも可能だ。

しかしメイの自信に満ちる表情と先ほどのセリフが脳裏をよぎり史郎がした選択は


『スポーツマンシップに則るなら気にしなくて良い』


というもので、こうしてメイと谷戸の戦いが始まった。


『今回は晴嵐高校同士の潰し合いです! 『視線移動(アイジャック)』を持つ谷戸君はいわずもがなこの大会の優勝候補! 1・2回戦とも圧勝して見せました! 対する雛櫛メイさんはどうやら様々な物質を生み出す能力者のようですが果たして勝ち目はあるのかー!?』


『『『『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』』』』


谷戸の戦闘力は生徒の中では非常に高い。

それは既に1・2回戦で見せつけられており、その荒くれ者の優勝候補VS美少女メイのカードに観客は大いに沸いた。


かくして電子音が鳴り響き

『ではスタートです!!』

試合が開始される。


そして谷戸はというと、史郎の言葉を思い出し

――スポーツの祭典で日常の枷を気にしてどうする――


「関係なく潰させてもらうぜ――!!」


即座に能力、『視線移動(アイジャック)』。

視線を結んだ先に肉体を推移移動する移動系能力を起動した。

谷戸は眦を開く。

メイを視認し、その直前まで一気に推移移動しようとする。

だが――


「なに!?」


視線移動(アイジャック)』を起動しようとした瞬間、メイの手前に大きな姿見が発生していることに気が付く。『同行者(アシストパートナー)』で生み出したのだ。

おかげで谷戸の視点はメイではない。鏡を映す場外に結ばれていて――


「クッ!」


谷戸が能力起動を停止する前に能力が起動。

視点移動(アイジャック)』により体が『後方』へとふっ飛ばされる。

谷戸の体が宙を舞った。


マズイ――


即座にそう判断した谷戸はすぐに観客席に視線を向けようとする。

観客席の中段に焦点を結び、その場へ推移移動しリングアウトを回避しようとしたのだ。

だが


「ナッ!?」


目を開くと目の前にあったのは『巨大な姿見』


テレキネシスでメイが自身の目の前まで移動させていたのだ。

おかげで眼前に広がるのは自身の背後の風景のみ。それにより――


(コートに帰還できねぇ……ッ)


視点移動(アイジャック)』が起動し谷戸はそのまま地面に突き刺さるように落下。


「グアアアア!」


と押し潰されは獣のような叫びをあげた。

こうして勝ったのは雛櫛メイその人で


「勝者は雛櫛メイ選手だぁぁぁぁぁぁ!!」


「「「「おおおおおおおお!!!」」」」


メイの勝利に観客が沸いた。


「うおおおおおおおおおお!!」


沸く観衆に交じりしきりに拍手する史郎。

その後もメイの快進撃は続く。


第四回戦の相手は『雷雲(ブラックエレクト)


「私の能力は『雷雲(ブラックエレクト)』! 雷雲を生み出す能力よ!」


雷雲を生み出しそこから雷撃を打ち落とす能力者であり今まで数多の能力者を黒焦げにしてきたのだが、


「何!? 避雷針!?」


メイは自身の背丈よりも長い鉄状の棒を出現させると、それで攻撃を逸らしきり


「フン!」


動揺する敵の後頭部に隙をついて瓦礫を叩き込み、ノックアウトして見せた。

そして五回戦の相手は


「俺の能力! 『排熱如意棒(ヒートボーン)』! 俺の能力なら一撃よぉ!!」


伸縮自在な高熱を発する如意棒を具現化するウェポン型能力者・船城。

船城はその超高熱の如意棒で敵をこれまで一撃で敵の『致命加護(シュートポート)』を発動させてきた。


このトーナメント、試合の加速化のために『致命加護(シュートポート)』発動ダメージは浅めに設定されている。


おかげである一定以上のダメージを負わせられる能力者は一撃で敵を離脱させることが可能になっているのだ。

それにより船城はあらゆる敵をその加熱し触れぬ棍棒で一撃してきた。

だからこそメイとの戦いもそのようになるかと思われていた。

のだが――


凄まじい速度で朱色の棍棒が伸びる。

しかし


「何!? オーブンミトンだと!?」


メイは料理の際熱いものを持つ時に使う手袋、『オーブンミトン』を『同行者(アシストパートナー)』で出現させており

それによりメイは


『な! な! 雛櫛選手! 『排熱如意棒(ヒートボーン)』を受け止めました―――!!』


真正面から伸びてきた如意棒を真剣白羽取りの要領で掴み取ったのだ。

そして――史郎が良くやる方法だ――そのまま船城に押し付けるように押し返し


「フグッ!」


相手の顔面を如意棒で一突き。怯む相手の顔面に瓦礫を叩き込み、さらに気絶しかける相手に掌底。

拳を叩き込み、リングアウトさせた。


そうしてメイは順調に勝ち進み六回戦・準決勝に進出。


だが苦戦したのがこの六回戦目の相手だった。

やはり準決勝まで行くとそれなりの能力者が残っていたのである。


そしてその6回戦でメイが相対した者の名は椎名ミント。

林道高校三年に所属し


「行きなさい! 私の『蛇炎(パイロスネーク)』!!」


蛇型の炎を無数に発射する『蛇炎(パイロスネーク)』という能力をもつ少女だった。

だがーーさすがに準決まで駒を進めているのだーーこの炎、ただの炎ではない。


「この炎、自動追尾するわよ雛櫛さん!!」

「くっ!」


照準した敵を自動追尾する炎なのだ。

コートを駆けて逃げるも蛇型の炎は幽鬼のようにメイを追い、自分を追跡する炎にメイは顔を顰めた。

そして『蛇炎(パイロスネーク)』が有す能力はそれだけではない。

もう1つ厄介な特性を有しており、メイが瓦礫を操作し射線を断とうとした時にそれは牙を剥いた。

そう、「蛇炎パイロスネーク」それが持つ特性とは――


「嘘!?」

「避けるんだよなんせ生きてるんだからな!!」


蛇炎を阻むべく射線を遮っても遮蔽物を避けきり敵にアギトを剥くというものだった。

メイは瓦礫をあっさり避けきり自身に向かう炎に目を剥いた。

おかげでメイは敵の全攻撃をその身に受けていて


『おおおおおおおお! 雛櫛選手! これには防戦一方だぁぁぁぁぁ!!』


片膝をつき浅い息を吐いていた。


この問答無用の攻撃こそが蛇炎の真骨頂なのだ。

メイを見ていなくても、メイと見当違いの方向に射出しても必ずメイに向かうの性能を有する上に、敵の攻撃を避ける、『自動回避』の性能も有するのだ。

つまりこの能力は――


「予測可能、回避不可能って奴だ」


そのような悪魔のような性質を秘めており、メイもテレキネシスで瓦礫を操作し攻撃するが、焦りがあり照準が定まらないのだろう、ミントはひょいひょい躱し請け合わない。


ただただ蛇炎を打ちまくり圧勝を狙う。


そうしてメイは頬から血を流しながら片膝をつき


その光景に観客の全員が試合の終了を悟った。

それを悟ったのはミントも同じだったようで、


「これで終わりね」


メイを見降ろしミントは本気で『蛇炎(パイロスネーク)』を起動。

何十という蛇型の炎がメイに牙を剥く。


だがメイは諦めていなかった。

というより止めを刺す、その相手が余裕をかます瞬間こそを待っていて


相手が全力で能力を使用した瞬間


メイはニヤリとその唇を緩めた。


「ッ!?」


そしてその表情変化に史郎が動揺していることなど当然構わずメイは『同行者(アシストパートナー)』を起動。

それにより


「氷だと!?」


自身を囲うように巨大な氷を生み出した。

ミントが目を見張る。

そしてその光景を見て観客は困惑する。

なぜなら蛇炎(パイロスネーク)、遮蔽物を避けるのだ。


氷の壁など、本来ならまるで意味がない。


だが史郎は


「まさか……ッ」


氷の有用性に気づいておりメイの洞察力に眦を開き、一方でメイは犬歯を剥き出しに苛立ちを露わにするミントに言い放っていた。


「あなたの『蛇炎(パイロスネーク)』は、熱源を自動感知し攻撃する能力なんでしょ……! だから瓦礫には攻撃できなかった! 自動追尾の能力なら私の瓦礫もそれで落とせばいい……! だけど瓦礫には「熱」がない!だからあなたは蛇炎で瓦礫を落としたりせず私の瓦礫を避け続けた! それが良い証拠……! そしてコートから熱源である私は消えた。そうなったらその蛇が次に行くのは――」



そう、確かにミントの能力は覚醒した生徒の中では優秀な能力だった。自動照準、自動追尾、自動回避の特性すら有すのだ。

むしろ優秀過ぎるほど優秀だ。

だが実は対象を照準する際、生物熱源をその照準対象にするという特性を有しており、熱源を失うと次の熱源に向かうというピーキーな特徴を有していたのだ。

だから実はミントは服の中に氷を仕込むなど涙ぐましい努力をしていたのだが、「蛇型」という能力特長からメイは彼女の能力のカラクリに気がついたのだ。


そしてメイの体が氷の壁で冷やされた以上、次に照準されるのは生きた熱源であるミント自身であり


「く――!!?」


次の瞬間、無数の蛇型の炎がミントに襲い掛かった。


こうしてミントが『致命加護(シュートポート)』を起動し離脱。

メイは勝利し


『『『『おおおおおお! すげぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』』』』


観衆は手のひらを返しメイを讃えた。


こうしてメイは決勝戦にコマを進めたのだった。


◆◆◆


そうして決勝戦が始まる。


「頑張れー!」

「あと一つで優勝だよ雛櫛さぁーん!」


否が応にメイを応援する声が高まった。

だがこの段となりメイの能力の弱点も把握され始められており、試合開始と共に即座にそれを利用し相手はメイを追い立てた。


決勝戦の相手は覚醒者の中でも強力なテレキネシスを有する日比野という青柳高校の女子で


『プッシュプッシュプッシュゥゥゥ!! 日比野さん徹底的に押し続けます!!』


日比野はありとあらゆる瓦礫を操作しメイをリングの隅まで追い詰めたのだ。

対するメイもテレキネシスで対抗するが、相手は個別能力が『テレキネシス』の相手。


所謂能力世界で『ダブリ』と呼ばれる外れ能力なのだが、基礎能力の一つであるテレキネシスをようやく習得し戦闘利用するメイとは一日の長がある。

出力もそこそこでメイとは比べ物にならない量の物体を操作しメイを追い詰める。


メイが瓦礫一つ操作するのに対し、日比野は十は操作する。

そして物量差で押し切ろうとする日比野は戦闘の中勝利を目前に叫んだ。

アドレナリンが大量に出て彼女を得意にする。


「雛櫛さん! あなたの能力、確かに凄いね! 何でも生み出せるってチートでしょ!! でもね! 私はあなたの能力の弱点が分かったの!!」


『なに!?』『なんだあの能力に弱点なんかあるのか!?』


日比野の声を万華鏡が拾い会場がざわつく。


そして会場の興味が一気にメイの能力の弱点に向いた時だ、日比野は声高に叫んだ。


「雛櫛さん、あなたの能力は一見万能だけど、そうじゃない! 出力もさほど高くないから超体積なものは生み出せないし、長続きもしない! それに連発も出来ない! そうでしょ! だからあなたの攻略法とはつまり――」


言い放つ。


「物量で一気に押し切ること! 押して押して押し切ること!! そんなズルい能力持っていても物量差には敵わないわ! だから、これで終わり!!」


トドメだと言わんばかりに日比野の背後に何十という瓦礫が浮き上がった。

瓦礫の雨が生成し会場の誰もがメイの敗北を覚悟した。


一方でリングの端に追い詰められたメイは、やはり負けを意識しておらず、


「…………」


どころか史郎と一緒に苦労し発現させた能力を『ズルい能力』と一蹴されたことにカチンと来ており、開いた瞳孔で敵を見定め言い返していた。


「甘いわ……、このくらいじゃ私は負けない……! そして、あなたに言わせればズルくて弱いこの能力でどうやってここまで来たかあなたに教えてあげる……!」


「――ッ」


メイの剥き出しの敵意を受け、日比野の目が見開かれる。

対しメイは意表を突かれた相手にさらに言い放っていた。

これまでの自分の努力を蔑ろにする相手に言わずにはいられなかったのだ。

熱い吐息がメイから漏れる。


「私の隣にはいつも、とある()()()()()()がいる……! 強くて、とてもカッコいい、私の憧れ……! だから私はずっとあの人の隣にいたい……! だから私はその人の戦う映像を穴を開くほど見直したの……! 強くなるために……! だから私はここにいる……! そしてその人に比べればあなたのテレキネシスは残念ながら遠く及ばない……! だからあなたのテレキネシスはもう――」


メイの瞳に闘志が灯る。


「――見切ったわ……!」

「なに!?」


メイの宣言に日比野が目を剥く。

同時に


「なら証明してみなさい!!」


青筋を立たせる日比野の無数の瓦礫がメイに襲い掛かる。

だがメイは本当に『見切っていた』


『『『『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』』』』


観客が沸く中メイはスイスイ瓦礫を躱していき


「なっ――ッ!!」


息を呑む相手に超接近。そして――


「だからこれで、――おしまいッ!」


日比野を勢いそのままにコートの外に弾き出した。


『おおおおおおおおおお!!!! 男女混合バトルトーナメント! 優勝者は雛櫛メイ選手だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』


『『『『『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!』』』』』


そうしてメイは強者が集う男女混合バトルトーナメント、そこで優勝した。

優勝してしまったのだ。


「すげぇ……」


その結果にメイの才能の煌きに『ある人』であるところの史郎は唖然とし


「そ、その……、あの、決勝戦での日比野さんとの会話だけど……深い意味じゃないから……!」


優勝者インタビューもそこそこに観客席に帰ってきて史郎を前にしモジモジするメイに対し


「雛櫛、俺と今度遊びに行かないか……!」

「え!?」


メイをデートに誘っていた。




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