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第3話 期末能力試験大会

晴嵐高校は能力に覚醒した。

それにより学校内外ではいくつかの大きな変化があった。


校内校外では能力を使用した犯罪がしばらく横行し(校外では心霊沙汰となった)、それらを取り締まる組織が誕生した。

事件の解決にはやはり優秀な能力者が重宝され、校内カーストの上位に上り詰めた。


また今までの学校内カーストに『能力』という項目も加わった。


 正直、能力誕生により新たな秩序の誕生は能力社会も十分想定していたことであった。


『能力』を保有するとその能力の良し悪しによりその人間の価値が決まるのだ。


「で、今晴嵐高校のルールを勝手に決めてる集団って何ていうんだっけ?」

「『権力会』だよ。生徒会のパクリ」

「うわぁドストレート☆ 悪趣味ぃ~」


 史郎の前にいるのは青い髪色の少女だ。

 青髪の少女は緑色の作業着を着て草を毟っていた。

 何を隠そうこの女こそ七姫ナナだ。

 大きな眼。筋の通った鼻。誰もが振り向く美少女。

 そんな彼女がなぜ野暮ったい作業着を着ているかと言えば


「いや~にしても今回の任務は堪えるわ。まさか公園の草毟りだなんて」

「仮にも能力組織なのにな」


 史郎とナナは夕暮れの公園にいた。

 『赤き光』のボスから指令なのだ。

 『赤き光』は要人暗殺からこのような慈善活動まで幅広くこなす。


「くぅ~~!!」


 ナナが大きく伸びをするとその大きな胸のふくらみが余計に強調された。


「……」


 これで性格が良ければ文句ないのにとジト眼で眺めていると、史郎の視線に気が付いたナナがニタリと頬を緩めた。


「あら、史郎ちゃん、今私の胸見てた? 触りたいんでちゅか~史郎ちゃん??」

「イラ☆」


 怒りを擬音で表現。ついでにこめかみに血管を浮かばせて怒りをアピール。

 史郎の剣幕にたじろぎ「嘘よ嘘、全く冗談通じないんだから」などとブツブツ言いながらナナは話を戻す。


「全く『権力会』だなんて、井の中の蛙。よく言ったもんだわ。能力覚醒に他人の介添えが必要な奴なんて自然発現した奴に比べりゃセンスに雲泥の差があるのに」


「言ってやるなよ。彼らも知らないんだから」


「で、そんな彼らはやるって言い出したんでしょ? 権力会の比較的強力な能力を発現した人たちは」


「あぁ、『期末能力試験大会』をな」


「それってみんなの前で良い格好したいだけでしょ。カァーもう全く気持ち悪いわねぇカエルの癖に下半身は立派なことで」


「で、その時に『内通者』を探し出せってことか。今日の電話で言ってただろ?」


 時はお昼にナナから連絡を受けた日の夕方であった。


「そうよ。監視員が試験大会の話を掴んだらしくてね。そこで丁度史郎が通っているから私達『赤き光』にお鉢が回ってきたってわけよ。『覚醒犯』を高校の敷地内に入れたのは十中八九、能力者の手引きがあった。そしてその能力者はまず間違いなく空間転移能力者」


「だから大会で空間転移能力者を探せってわけね」


「そういうわけ☆」


 なるほどそういうことか。

 史郎は膝を打ち、思い出していた。

『期末能力試験大会』

 それを聞いたつい先日のことを

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