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第8話 『炎』

本日は2話投稿する予定です。これは1話目。








◆◆◆


自分はこの中で一番強い。

そう思っていた。


確かに周囲には『血の薔薇姫ブラッドローズクイーン』や『世界辞書ワールドディクショナリー』『極光』『歩む旅路の北極星』などなど優秀で強烈な能力者が多い。


だが『歩む旅路の北極星』ナコには勝利して見せたし、『血の薔薇姫ブラッドローズクイーン』とも負けはしたが良い勝負はした。


そして自分はベルカイラのように粗野ではなく誰よりも鈴木の気持ちを汲み取れる。


だからこそ、自分は鈴木にとって最強の配下であろう。

そう思っていた。


有する能力はただの炎操作、『(パイロ)』だが、ベルカイラが死んだ以上この組織において最強は自分だと思っていた。


なのに――


「くぅ!!」


能力『(パイロ)』を有する女、アイシャは顔を歪めた。


――この女、相当強い……!!


先程からこのナナとかいう女に追い詰められ続けているのだ。


「くッ!!」


顔を顰めながら開けた空間で爆炎を奮う。

しかしその爆炎が、


「フッ!!」


無理やり『ジャック』されかき消える。

そしてその打ち消された炎の先から


「『氷の槍(アイススピア)』!!」


氷製で作られた槍が飛来する。


その光景にアリシャは目を剥く。


そう、要注意テレキネシストだと思われた史郎。

しかし――、その横にいたこの七姫ナナとかいう女も『絶大』なテレキネシスの使い手だったのだ。

史郎の陰に隠れ見落とされていたが十分に強力な使い手だったのだ。

それに加え

明らかに報告よりずっと――


(強いッ!!)


そんなの聞いていない。


だが鈴木を守るために引くわけにはいかない。

だからこそ


「『(パイロ)』!!」


アイシャは飛来する氷の塊を言葉一つで炎の壁を作り溶かし消して見せる。


そう、能力の相性自体は最高に良いのだ。


この『(パイロ)』がある限り、『世界辞書ワールドディクショナリー』から聞いた情報、相手の『氷点世界(アイスワールド)』は完封できる。


そのはずなのに――


「『氷の刀(アイスナイフ)』!!」

「『氷の棘(アイスニードル)』!!」

「『氷の雨(アイススコール)』!!」

「『氷の牙(アイスバイド)』!!」

「『氷の矢(アイスボウ)』!!」

「『氷の鎌(アイスサイズ)』!!」

「『氷の巨兵(アイスゴーレム)』!!!」


自身が対応速よりも早く氷製で攻撃を繰り出してくる。

空間を無数に乱舞する氷の兵器。

果ては空間を埋め尽くすようにな氷の巨神兵まで現れる。


それらをなんとか『(パイロ)』で溶かし消して見せるが


「くぅ!!!」


瞬間、目を見開く。


解けて生まれた巨大な水塊がナナのテレキネシスで操られ怒涛の勢いで自身に襲い掛かってきたからだ。


「グア!」


即座に巨大な水塊により壁に叩きつけられた。

そして次撃に備えようとした、その時だ


(嘘でしょ!?)


目の前に冷気刀を持ったナナが飛び込んできていた。


「チィッ!」


即座に緊急回避。


自身の身が焼かれるのも構わず足から爆炎を出し、その場から横に離脱する。

そして次の瞬間そこは――


その光景を見てアイシャは目を見開いた。


――壁一面が一瞬で氷で覆われる。


その氷の刃が突き刺さった場所から一面氷漬けにされた光景に、ぞっと背筋に寒気が走った。


なぜなら今自分は『(パイロ)』を使っているのだ。


本来ならば、氷攻撃は使用しにくい、はず。


だというのにこの女はそれだけの冷気攻撃をなしているのだ。


どれだけの冷気をあの刀に込めたのだろう。

この女はどれだけの冷気を『込められるのだろう』


そしてその実力に静かに息を呑んだ時だ、


クルリと、ナナがこちらを捕らえた。


その光を宿さぬ瞳に、全身の毛が総毛だった。


その光景に本能的に危険を察する。


要注意なのは『未知の最強手アンノウントップオプション』の二つ名を冠する史郎だけではない。

その横にいる、常にその影にいた七姫ナナも十分すぎるほど要注意人物だったのだ。


そうアイシャが息を呑んだ瞬間、


ナナが、その僅かに燐光が灯って見える瞳をしたナナがポツリと呟いた。


獲物を狩る狩人の瞳で。


「『白氷冷原(ホワイトレーゲン)』」


瞬間、真っ白な氷の平野はこちらに迫ってきた。



そこからもアイシャは防御に回るしかなかった。



「『氷点撃(ブラスト)』!!」

「『極大氷撃マウントアイスブラスト』!!」

「『氷の魚(スノウフィッシュ)』!!」

「『氷結路線(アイスライナー)』!!」

「『氷陽(アイスレイ)』!!」


ありとあらゆる攻撃を無数に放ち追い詰めてくる。

その攻撃の苛烈さはとてもではないが相対しきれるものではなく


「『氷点撃(ブラスト)』!!」


氷の冷気の波が襲ってくると


「『(パイロ)』!!」


アイシャはそう一言言って炎を生み出し攻撃を止めるが、その横から


「『旋回氷点撃(ブラストキラー)』!!」


氷撃がカーブを描いて襲い掛かる。

それもとっさに『炎』を出し受けるが、その隙にナナは迫っていて


氷製。氷の棍棒が振り落とされる。


それを即座に『(パイロ)』で溶かす。

しかし


「『氷刀』」


超至近距離でナナが氷で作り出した刀を振るった。


「く!」


瞬間、自身の左腕が断腕された。


だがこれはある意味で好機。


アイシャはすぐに断たれた自身の腕にテレキネシスをかける。

そして不意打ち気味に至近距離からナナを狙うが


(嘘でしょ!?)


ナナはあっさりと対応。

自身から30センチも離れていない場所から突如襲ってきた腕に対し目にも止まらぬ早業。

瞬く間に氷刀でその腕を細切れにして見せ、


その光景に息を飲んでいると


「『氷点撃(ブラスト)』」


即座に空いた左手で氷撃を放ってきた。


「グッ!!」


即座に避けたがそれにより左足は凍傷で使い物にならなくなった。


だがテレキネシスをかければ動ける。

まだ戦える。

そう思い自身の足にテレキネシスをかけ動こうとした時だ



「な――」


自身の足を見て目を見開いた。


なんと床と氷で接着されているのだ。


しかし――、クッと臍を噛みながら目を上げアイシャは思う。

先程までは接着されていなかったはずだ。


そう思っていると、ナナの右目が水色に輝いているのを見た。

そこにナナの呟きが届く。


「『氷の瞳(アイス・アイ)』」


その一言で察する。

このナナはその気になれば『遠隔で』氷製することも出来るのだ。

相当の力を要するので普段は使用していないが、本気で殺す相手にだけそれを使うのだ。

そしてナナはまさに自分を殺すためにその秘たる力を惜しみなく使用しているのだ。


その事実に気が付くのとほとんど同時、


「クッ!!」


ナナが『氷の瞳(アイス・アイ)』が起動。


自身の腰が、足が、ピシピシと氷に覆われていく。

一気に身体が0度を圧倒的に超し冷やされていく。


そしてこの状況に(マズイッ!)と秒で自身の危機を悟ったアイシャは即座に生み出したオーラ刀で自身の該当の腰部を、足を切り飛ばした。


そうして、どうよ、と誇らしげな笑みを浮かべた瞬間だ、


「だから?」


「ブッ!」


超至近まで迫っていたナナの拳が顔面に突き刺さった。



◆◆◆



おかげで、アイシャは戦いを始め数分で、見るも無残な状態になっていた。

足はもうなく、炎を足状に出し何とか立っている状態。

腕も同様だ。

そしてここまで落ち詰められたアイシャは決心したのだ。


こうなったらもう仕方がない。


もう自分は生き残れないと。


そして自身の残す命の灯を使い切りこの女を倒そうと。


そうしてアイシャがしたことは単純だ。


自身の操る『炎』は基本的に自分に近ければ近い程温度を高くなり――

アイシャは常に自身が耐えられる温度で戦っていた。

先の緊急離脱のように自身の身が焼かれるような熱量を出すのは滅多にない。


だがこの女を倒すには、もう自身が耐えられる温度を遥かに越して『炎』を出すしかない。


だからこそアイシャは


「く!」


歯を食いしばり本気の本気で『炎』を発揮した。


それにより一気にアイシャを多い潰すように炎が立ち上がり火柱が一気に上がる。

急激に上がる室温。

そしてアイシャの操る『炎』により様々なものが燃え盛り始めた空間で、自分の身を焼きながらアイシャは問うた。


「なぜあなたはこれほどまで強くなったの……?」



対し未だ冷徹なまなざしのナナはポツリと言うのだった。


「そんなの決まっているでしょ?」と。


「史郎の命を、狙われたからよ……!」


そしてアイシャがその極大の炎と共にナナに突っ込んだ時だ、ナナは言った。


「だからあなたはここで消えなさい」


渾身の能力と共に。


向かってくるアイシャに向かい、ナナはあらんかぎりの声で叫んだ。



「『絶対零度(レイド)』ッ!!!!!!」



瞬間、周囲一帯が、天井から壁、床、そして地下数階に至るまで、そして地上にいたる全ての階層が氷に包まれた。


そしてその光景に全世界の人間が息を飲んでいる中、生まれた氷像を冷徹に眺めながら言うのだった。


「私のパートナーの史郎に手を出すからこーなんのよ」


と。


普段からナナは温厚だ。

しかし仲間に手を出されたら許さない。ましてそれが『赤き光』ともなれば当然だ。

それがナナの在り様であり、この圧倒的な実力こそが『狂った雪女(ピュアスノウデビル)』の名を冠するに至ったナナの本当の実力で


「仲間に手を出す奴には誰であろうと容赦はしないわ」


誰にでもなくナナはそう宣言した。


◆◆◆


そうしてナナが無双した後だ


「ふん、物質を司るとはなかなか面白い」


史郎もまた強敵と相対していた。

その名は


「『拒絶』のアリアドネか……ッ!」



それは『死なない悪意』パトリシア・ベアードと同様、単体で世界の危機となる『リスク』の一人。


そしてベルカイラ・ラーゼフォルンと同様。


能力社会、最強の一角である。


「君達に会えて良かったよ」


史郎とメイにアリアドネは笑った。



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