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第5話 救出


「「「「あああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」」」」



意識の違いで見せた隙に史郎達の過大な能力が襲い掛かる。

それにより敵主力の大半が一瞬で肉片と化した。


だがこちらも無傷ではない。


数十名の生徒達が敵の攻撃を受け『致命加護(シュートポート)』を発動させ緊急離脱していた。


だがここからが作戦の本番であり、生徒を離脱させてしまったペア能力者はその場から離脱したりペアを再編したりし、未だ残る敵兵を狩るべく、そしてこの大聖堂区画のどこかにいる姫川アイを探すべく駆け出す。


そうして史郎も駆け出し


「九ノ枝君!」

「行こう雛櫛!!」


この時点で史郎のパートナーはナナからメイに代わり、メイの手を取り血塗られた戦場を駆ける。

そうして姫川を求め大聖堂の内部に


「クソ野郎が!!」

「フッ!!」


襲い掛かる敵をテレキネシスでまき散らしながら進むが、その時無線に作戦指揮官のリツから連絡が入る。


内容は


『姫川アイの場所が分かったぞ!』


というものだった。


「九ノ枝君……!」

「やったな……!」


史郎とメイはようやく見えてきた光明に目を輝かした。


この迅速は姫川発見にも訳がある。


現状、作戦総指揮官のリツはイギリアの港に停泊している商業船に偽装した船で『戦闘万華鏡』と『致命加護(シュートポート)』を発動させ史郎達を先ほどからずっとサポートしている。


そして『戦闘万華鏡』は基本的に特定の戦闘地帯で戦闘を行っている者を映し出す能力だ。


加えて、敵に操られている姫川アイは『能力無効化』で既存能力者の能力を何度も封じている。

それは明確に『戦闘に参加している』と取ることが可能で――


だからこそ『戦闘万華鏡』は早くも姫川や先ほどまで霧を発生させていた敵の居場所を察知していて、


「ぐふ!!」



霧の能力者は即座に無力化され



「姫川の場所が映されたぞ。どこだここは?」

「恐らくこの飾り、第六番室です」


作戦に参加した鈴木と敵対しているイギリア在住の能力者から姫川の監禁場所を聞き出し


『姫川の居場所は大聖堂地下にある第六番部屋だ! 急げ!!』


と指示を飛ばすことも可能なのだ。


「「「了解!!!」」」


無数の味方が無線に入った情報に力強く返答する。


「分かった俺達も向かう!」


メイと言葉を交わした後、史郎も無線に返した。


史郎とメイのタッグは史郎の能力とメイの能力も合わさり、今回参加のペアの中で断トツの性能を有する最強ペアだ。


誰もが史郎のその力強い返答に心を熱くした。


そして史郎初め作戦に参加する者は生徒・既存能力者関わらず全員ケイエス大聖堂の空間は全て頭にインプットしていて、史郎初め複数の能力ペアは様々なルートでその場所を目指す。


そしてまさか敵もこんなにもあっさり姫川の場所を感知されるとは思わず


(移動させてもその度に『敵が姫川を移動! 地下七階だ!』などと無線が入るのだ)


史郎達は一気に姫川へと迫った。


だがその後も複数の能力者が史郎達に襲い掛かる。



「行かせねーぜ!!」


ある時、史郎がメイの手を引き地下三階の廊下を駆けている時だ


ワッと複数の能力者が廊下の先から現れた。

同時に史郎はメイと繋いでいない空いている左手を前に。


瞬間、廊下の壁面が一気に横方向に炸裂し


「「「グアアアアアアアアアア!!!」」」


敵三人を生き埋めにした。


またある時は


「殺った」


獣人変化型能力でカメレオンに変態する能力者が史郎とメイの目前まで迫りメイを一閃しようとしたが


「何がだ」


その存在をとっくに把握していた史郎の拳が女の頭部に横なぎに突き刺さった。


そしてある時は


「挟み撃ちにすりゃぁ!!」

「いくら何でも死ぬだろうよぉ!!」


と複数の能力者が廊下を走る史郎とメイを廊下の前後から挟み撃ちにし襲い掛かり


「九ノ枝君ッ!!」


戦闘慣れしていないメイは俄かに緊迫するが


「任せろ!!」


即座に史郎が動いた。


前から炎の奔流が、背後からは光線が飛来する。

それを史郎は


「うわッ!?」と瞠目するメイをそのまま腕を引き腰を落とさせ、まず光線を回避。

同時に前面から襲ってくる炎流は『ジャック』し軌道を操作。

そのまま背後まで駆け巡らせ


「アアアアアアアアア!!」


光線を打ち出す敵を相打ちに。

そして


「このッ!!」


と自身の炎を利用され青筋を立て襲い掛かる男には一撃。

地面から石畳を破裂させ顎を撃ち抜き無力化する。

その後立て続けに襲い掛かって来る相手には


「フッ!!」


無数の瓦礫を高速で放ち、廊下という逃げ場のない空間を『神の見えざる巨大な手(フロムヘヴン)』の名を冠する史郎の強力なテレキネシスを宿した瓦礫が隅々まで縦断し敵を思いっきり打ち抜き


何とか史郎に迫った敵には


「――死んどけ」


史郎の容赦の無いオーラ刀が牙を剥いた。

こうして敵はあえなく二分割され


「行くぞ……」

「うん……!」


史郎とメイは深奥へと向かい、その後も史郎の攻勢は続く。


なにせメイを守っているのだ。

普段より超強化されることなどもはや自明の理であり


「ぐふ!?」

「なんだこいつこんなにつえーのか!?!?」


敵の多くはその信じがたい戦闘性能に目を剥いていた。

そんな史郎の拳を喰らい血を吐く彼にも数瞬後には史郎の蹴りが飛び、彼の意識はそこで途絶えた。


そうでなくとも実はメイから作戦前に


『あの……お願いがあるの。『致命加護(シュートポート)』があるのも分かるんだけど、あの……』


言い淀んだ後


『いざって時は私を守って欲しいの……』


と頼まれているのだ。

そのどこか決意の覗く硬い表情を見ればメイの願いが心からの物であることなど容易く把握でき――そんなこと言われて守らない訳がないじゃないか。


「おおおおおおおおお!! ぶっ潰せぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」


廊下の先から複数の敵が駆けてくると史郎の本気のテレキネシスが炸裂した。

彼らはあえなく土砂の生き埋めとなった。


こうして史郎とメイはどのペアよりも最速で最奥へ向かって行く。


それは史郎とメイの息がほかのどのペアよりも合っていたという理由もある。

他のどのペアよりもお互いを深く信頼していたというのもある。


だが二人が最速で来れたのには他の要因もある。


実は最初の会敵以降、姫川アイの『能力無効化』が発動する機会が少ないのだ。


それは恐らく会敵の際、史郎達に通じなかったことや、生徒達の練度が異様に高い事(『致命加護(シュートポート)』により徹底的に準備できたため)や大量に敵を倒したことで史郎達も大量の銃器の獲得に成功しアドバンテージがだいぶ少なくなったなどの要因がある。


それにより史郎達は当初の予定『通り』、敵の『想像以上』の速度で最奥へ最速で向かっているのだが、


史郎達がほかのペアより抜きんでて早いのは、時折不意を突いて襲ってくる姫川の『能力無効化空間』に


「九ノ枝君!!」

「おう任せたぞ!」


メイが迅速に対応しているからだろう。



そのような理由で史郎とメイは敵の想像を遥かに超えて、誰よりも早く敵の本部の最奥、姫川アイの監禁部屋に辿り着き


「クソッ! アンタ達早すぎんぜ!!」

「でもここで終わりよ!!」


手術着のような貫頭衣を着せられ拘束椅子に縛り付けられる姫川。

虚ろな目をし俯く姫川の前に立ちはだかる『第二世界侵攻』の幹部。


対象に過大な生命力を送り込み対象を睡眠を解除したり、能力の持続運転を可能にする


超癒(ハイエンドヒール)』の名を冠する、ラベンダー姉妹が襲い掛かるが


「「キャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」」


彼女たちが何かし出すよりも早く史郎のテレキネシスが起動。

彼女たちを地面のシミに変え



「リツ、姫川アイの回収に成功した!!!」


姫川アイを抱え無線にそう告げる。

そして『戦闘万華鏡』でも映像を確認し、それが間違いなく無効化能力を有する姫川だと確認したリツは



『では作戦を開始する!! 皆の者、衝撃に備えろ!!』



そう叫んだ。



そして史郎の知るところではないが、リツの無線を聞き、大聖堂にいた生徒の多くがホッと胸をなでおろす。


なぜなら――



姫川アイを救出した以上、もはや能力無効化が使われることは無い。

だからこそ人工(アンナチュラル)能力者がこの場にいる必要が無くなったのだ。

だからこそ――



『『帰還(リターン)』発動!』



リツがそう宣言すると『致命加護(シュートポート)』のミサンガを巻く生徒達の体が仄かに光り始めた。


姫川を救出し無効化能力の発動が不可になった以上、この後は既存能力者同士の激しい交戦のみとなる。


となればメイを始めとする人工(アンナチュラル)能力者は耐えられない。


だから史郎達は当初より、この段階でメイを始めとする人工(アンナチュラル)能力者は『致命加護(シュートポート)』を能動発動することで帰還することを予定していたのだ。


七校対抗体育祭で鬼の形相で襲い掛かる史郎に女子中学生が能動的に『致命加護(シュートポート)』を発動させたように、別に攻撃を喰らわずとも帰還することは可能である。


リツの無線が入った直後、大聖堂にいる生徒達の体が青白く光り出す。

そしてその光景を順当なものとしてペアを組んでいた多くの既存能力者は眺め


中には


「お疲れ」

「ありがとうございます。ミーシャさん! ミーシャさんも早く帰ってきてくださいね!!」

「あぁすぐに私達も向かう。あとで会おう!」


と朗らかな笑みで送り出したり、


「じゃぁねカンナちゃん!!」

「おいおい怪我すんじゃねーぞナナ!!」

「任せて!!」


と笑みが零れたりもするのだが


「え……」


そんな中、史郎だけは目の前に広がる光景に愕然としていた。


史郎だけ『異様な』自体が進行しているのだ。


そして史郎の懸念は的中し、大聖堂にいた人工(アンナチュラル)能力者が『致命加護(シュートポート)』を発動させ安全な船舶に帰還した後だ


息も絶え絶え史郎は言った。


「な、なぜ……」


信じられない。息も出来なかった。


だが何とか言葉を振り絞った。

そして史郎が息を詰めるその理由は――


「なぜまだ雛櫛がここにいるんだ……?」


雛櫛メイが未だここに残っているという事実に対してである。


そうメイはなぜか『致命加護(シュートポート)』が発動しなかったのだ。


致命加護(シュートポート)』用のミサンガを付けているというのに、メイは転移せず、この『既存(オリジナル)』能力者が跋扈するただ一人『人工(アンナチュラル)』能力者として残っていたのだ。



その危険すぎる事態に史郎は



「なぜ……」


そう言葉を吐き出すのが精いっぱいで、


「……」


そんな史郎の前に、気まずそうなメイが立っていた。




しかし史郎は知る由も無いがこれもまた『作戦の一部』で


時は遡り11月某日。

木枯らしが吹く一段を寒さが濃くなる頃合いに――


◆◆◆


「とは言っても、現状、我々は完全に敗北していると言える……」


新平和組織の隊長室で鷲崎は唸っていた。


そんな鷲崎の前には、


「「……」」


一ノ瀬とリツがいる。


史郎がメイの作戦参加を知る、少し前のことである。



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