天使
【学校】
千夏「ふぅ…お兄ちゃんがトイレ済ませるのに手間取ってたからダッシュで来ないと間に合わなかったよ?」
神「俺のせいかよ…(そんなコトよりさっきからあの女の子のコトが頭から離れないぜ…。あの可愛さはまるで天…)」
ビシィ!
神「はぅっ!?」
巫女「神?何をボーっとしているのですか?…遅刻しますよ?」ヒュンヒュン
神「いって~…学校にまでムチ持ってくんなよぅ?」ヒリヒリ
千夏「じゃあ2人とも、また後でね?」
神「ああ(千夏が羨ましいぜ。残念ながら俺はおっかない巫女姉と同学年だし。ま、クラスが違うのが不幸中の幸いか…)」
巫女「…神?」
神「な、なに?」
巫女「授業をサボる事をしたら…許しませんよ?」
神「大丈夫だって!今日はちゃんと出るさ」
巫女「…今日は?」ピクッ
神「いや…今日『も』でした…」アセアセ
神「(しかし…俺が時々だけど授業サボりたくなる理由がある…それは…)」
【教室】
友人A「なあ神?巫女さんのメアド教えてくれよ?」
神「知らん!自分で聞いてくれ」
友人B「神?巫女さんって彼氏いんのか?」
神「さあな」
友人C「なあ神?巫女さんの穿いてる下着って何色なんだ?今度聞いといてくれ」ハァハァ
神「お、俺が知るか!むしろそんなコト聞いたら俺が巫女姉に抹殺されるわ!」
神「(と…まあこんな感じで授業中や休み時間とかでも、巫女姉に関する質問責めに遭うから困ってる…)」
神「(それは置いといて…今朝トイレで出会ったあの幻の女の子…)」
神「(用を足しているのになんでトイレのドアに鍵をかけてなかったんだ?)」
神「(いや…それ以前にどうやって家のトイレに入ってたんだ?俺の前に入っていく気配もなかったし…巫女姉も千夏もあの女の子の姿は見えてなかったしな。てかそもそもなんで俺の家のトイレに?)」
神「わからん!…謎だ…」
「何が謎なの?」
神「ん?」
神「なぁんだ…ゆかりか」
ゆかり「なぁんだとはなによ?それより今日はなんか上の空だね?」
神「ああ…ちょっと考え事をな…」
ゆかり「ふぅん…あの神が考え事ねぇ」
神「あの神がってなんだよ?俺だって考え事くらいすらぁ」
ゆかり「ちなみにどんな考え事してたの?」
神「…天使様」
ゆかり「…は?」
神「今日さ、俺の前に天使様が舞い降りたんだ…」
ゆかり「へ~…で?その天使様はどこに現れたのかしら?」
神「お前…絶対信じてないだろ?」
ゆかり「当たり前でしょ?何を言い出すかと思えば天使様ってなによ?」
神「ホントなんだって!その天使様は俺んちのトイレに現れたんだ」
ゆかり「クスッ…神?あんた寝ぼけてただけじゃないの?」
神「んな訳あるか!まあ信じないならいいさ…俺はこの目で確かに天使様をみたんだ」
ゆかり「ま、なんにしても今日の神はお疲れのようね?だから私が疲れをとってあげる♪」
神「は?」
ゆかり「神?帰りはあたしの家に来なさい?美味しい物食べさせてあげる」
神「い、いいよ別に…勝手に話し進めんなよ?」
ゆかり「いいわね?ちゃんと来なさいよ?」
神「相変わらず強引なヤツだな…」
【放課後…】
キーンコーンカーンコーン♪
神「ふあぁ…眠たい…今日は授業中も、昼休みも、あの女の子のコトしか考えてなかったぜ…」
千夏「お兄ちゃんお疲れ様~♪」
巫女「神?…帰りますよ?」
神「悪いな。今日はゆかりん家に行く約束してんだ。だから2人とも先に帰っててくれ」
巫女「ふ…私達との帰宅を拒否するのですね?よろしい…では神が家に帰ったら『激しいお仕置き』確定」
神「げげげっ!?アレだけは勘弁してくれ!」
巫女「神?家に帰ったら…覚悟する事です…」キラリ
千夏「(ああ…お兄ちゃん…ご愁傷様です…)」
巫女「千夏…いきましょう…」
千夏「は、はい…じゃあね?お兄ちゃん?」
神「ああ…(くっ…家に帰ったら巫女姉にお仕置きされるという最悪なフラグが立ってしまった…)」
神「…とりあえず今は忘れよう…さて学校出る前にトイレいっとこうかな…」
【男子トイレ】
神「流石に放課後だと誰も入ってないな」
キラキラキラ…
神「ん?なんか音がするな…水の音?」
キラキラキラ…
神「ああ…個室トイレに誰か入ってんのか。まあそんな事はどうでもいいか」
神「さて…早く済ませてゆかりん家にいかなきゃ」
ジャ~…ゴボゴボ…!ガチャ…
「ふぅ…すっきりしたのですぅ」
神「(ははは。何も声に出さなくてもいいのに。よっぽど我慢してたんだな。しかも萌え系の女の子っぽい声だし…)」
神「…は?女の子?あれここ男子トイレ…だよな?」
神「あ、あの…」
女の子「はい?あ…あなたは…」
神「えっと…なんていったらいいのか…ここ男子トイレですよ?」
女の子「……」
神「それと…あなたとはどこかで会ったコトあるような…ないような」
女の子「………」カアァ
神「………!!」
神「あ~~~~!!今朝俺んちのトイレに入っていた女の子か!?」
女の子「………」コクン
神「あなたがあの時の天使様かぁ…」
女の子「………」フルフル
神「え?違う?」
女の子「はい…私は『てん子』と申します…天使様ではありません…」
神「てん粉?…(天ぷら粉を略したみたいな名前だな)」
てん子「あの…あなたのお名前は?」
神「へ?俺?ああ俺の名前は藤木 神。よろしくな」
てん子「藤木 神さま…こ、こちらこそよろしくですぅ」
神「さて…自己紹介が終わったところで、さっそくてん子さんに聞きたい事があるんだ」
てん子「はい?」
神「今朝なんで俺の家のトイレに?」
てん子「その…あまりにも我慢が出来なくて…それで…」カアァ
神「(きゃ…きゃわいい…)」ズッキューン
神「あ、いや…そうじゃなくて…なんでうちのトイレ入っていた?しかも俺の前に入った気配もなかったし」
てん子「…それは…」
神「いや、そもそもなんでドアのカギ閉めてなかったの?」
てん子「それは…我慢の限界だったので…カギを閉めているヒマがなかったのですぅ…」カアァ
神「な、なるほど…(やっぱり可愛い…)」
てん子「…では…私はこれで…」スッ
神「え?ちょっとまって!まだ聞きたいコトが沢山…」
「………」
神「え?消えた…?」
神「あ、あの子は一体何者なんだ?そして俺は…」
神「また用を足し忘れていた」キリッ