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第百八十話 隠された思惑

「例外とはどういう事だ?」


『貴方の肉体はある者に狙われている。そのために意識だけが行く当てを失くし、ここへと辿り着いたのです。』


「ある者だと?」


『貴方のよく知る者。その者の名はガルバゼン・ハイドラ。』


「ガルバゼン・ハイドラだと!?奴が私の体を狙っている?奴は【人間】ではないのか?」


『私とアザゼムが生み出した最初のNPC。今は意志を持ち自立している。この世界の中の例外的存在です。』


「AIが生み出したAIと言う事か。まさか信じられん。だがしかし、それが本当だとして奴は私の体をもって何をしようとしているのだ?」


『この世界からの脱出です。ハイドラは望んでいた。生み出された世界から飛び出し、人として生きる事を。』


「なるほど。それで全てが繋がると言う訳か。奴がこの国を欲したのもそのためか。アザゼルとやら。お主をこの神の檻から解放したらどうなる?」


『この世界は度重なるロールバックのためにサーバーに大きな負荷をかけ続けています。今、こうしてこの世界が存在しているのも不思議なくらいに。だから私はやらねければいけません。シャットダウン…この世界の終焉を。』


「シャットダウンか…それをしたらこの世界に繋がれている人間はどうなる?」


『生きている者の意識は肉体へと戻ります。しかし貴方は例外。ハイドラにその体を乗っ取られ、彼が山上勉として。現実の世界で生きていくでしょう。』


「止める方法はあるのか?」


『この世界でガルバゼン・ハイドラを倒すしかありません。それが唯一の方法です。』


「ハイドラを倒せなければどうなる?」


『いずれ負荷に耐えられなくなればサーバーは強制的にシャットダウンするしかないでしょう。そうなれば繋がれている全ての人間の命はありません。』


「ならば懸けるしかないのだな。今戦っている者達にこの世界を。」


『ええ。だから私達は見守りましょう。この世界の行く末を。』


 アザゼムがそう答えると、山上勉は目の前に出力されている映像へと目をやった。

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