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月と太陽  作者: 遠奈 都
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案内に従って校舎に入ると廊下にはクラス割りが張り出されていた。

俺はA組で、陽太はC組。クラス毎の列に別れて、入学式の行われる体育館へと入る。


「また後でな。」


陽太はそう言うとC組の列へと混じっていった。

今日の予定は午前中が入学式とホームルームで、それが終わると解散。午後は自由参加で、希望者は部活動を見学できるということだった。

陽太の後でという言葉は当然野球部のグラウンドで合流しようという意味である。


入学式が始まると、国歌斉唱、校歌斉唱、学校長の式辞、来賓の祝辞といったお決まりの内容が粛々と取り進められていく。こういったイベント事にはあまり興味のなく、いつもはただボーッとしているだけの俺だがこの日の校長先生の言葉は不思議と耳に残った。


「高校は、義務教育の中学校までとは違い、皆さんが我が校に通うという意思決定をして通う場所です。そして、高校を卒業する時には、ある方は大学に進学し、より専門的な学問の道へと進んでいくことになるでしょう。ある方は就職し、社会へと踏み出していくでしょう。高校の3年間とは、どの道を進むのかを決定し、準備をするための期間です。勉学に励むのもよいでしょう、部活動に打ち込むのもよいでしょう、時には恋愛をするのもよいでしょう。やりたい事を見つけずに何もせずに、3年間を無駄にすることのないように過ごして下さい。」


陽太は甲子園という明確な目標を持ってこの入学式に参列している。他の新入生達も同じようにそれぞれの目標や希望があるだろう。3年間を無駄にすることのないように、それは野球はしいという後ろ向きな決意しか持たない俺に向けて発せられた言葉のように感じられた。俺一人だけがそんな焦りと不安を抱えて、ホームルームの行われる教室へと向かうのだった。


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