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月と太陽  作者: 遠奈 都
14/24

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新入生チームの1番堀田の打席。

初球、サインは待て。石川先輩の様子を見極めたいという水香の考えだった。

一方の俺も少しでも石川先輩にプレッシャーをかけようと大きめにリードを取る。だが、この試合まだ石川先輩は刺す気の牽制を見せていない。絶対にアウトになってはいけない場面。俺にできることは限られていた。


石川先輩がセットポジションから投球モーションに入ったのを見て、俺はスタートの構えだけ見せる。

アウトコース、キャッチャー飯塚先輩の構えたところにボールが来る。


「ボール」


ボール1つ分低い。1球様子を見たともとれるが、そうではなかったことをキャッチャーのジェスチャーが物語っている。


「OK、OK。」


肩を上下させながら言う飯塚先輩。いわゆる楽に楽にのジェスチャーだ。

少し間を開けて飯塚先輩がマウンドの石川先輩にボールを返す。

となると2球目、同じコースのもう少し高いところ、ストライクゾーンにボールが来る可能性が高い事は俺も堀田も分かっていた。それが水香の分析した石川先輩-飯塚先輩バッテリーの配球パターンだからだ。

それは当然分析した本人も意識している。肩、耳、口、帽子、肩と触ってポンと手を叩く水香。水香が2球目に出したサインはエンドランだった。


2球目、石川先輩の投球と同時に1塁ランナーの俺はスタートを切った。

ボールは事前の予想通りのコースに来て、堀田がそれを右方向に上手く運ぶ。この時点で、エンドランの最低限の形、ランナーを2塁に進めるというところまでは保証されたようなものだった。

だが、それ以上の結果が思いもよらない形でもたらされる。1塁線上に飛んだボールは幸運な事に、1塁ベースに当たるとファールグラウンドへ転がっていく。グラウンド内を指してフェアのジェスチャーを見せる1塁塁審。その間に俺は3塁まで進み、堀田も1塁ベースを駆け抜ける。結果、新入生チームはノーアウト1塁3塁の大チャンスを迎えたのだった。

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