子供は授かり物ですよね?
ようやくリュシオン殿下が全ての側室の元を回られたようです。
思ったより時間がかかりましたね。
どこにも渡られずに休まれる日もありましたし、側室を回られる間にもエレノア様の所へも渡られていたようですから。
妻を大切にするって素敵ですね。私達側室も妻ですけど。
さて、これで殿下は最低限の義理と役目は果たしたことになります。
運が良ければ、いえ悪ければですか? この一回で妊娠した側室がいるかもしれませんし、そうなれば殿下にとっては第一子です。
男児ならばそのまま第一王子の母として実権を握れますし、女児であっても王の子を産んだ女として後宮での地位は確立できます。臣下へ下げ渡される確率も減るでしょう。
もっともそうなればエレノア様に未だ御子がいらっしゃらないことから、リュシオン殿下の次代の王太子を決める際にいらぬ火種を残すことになりますが。
特にルンベンダルク公爵令嬢でしたら、父親はリュシオン殿下の筆頭後見人で国内でも最盛を誇るとも言える家ですから、王子を産めば当然その子は次の王太子への有力候補になります。
エレノア様に王子が産まれていなかった場合は、権力的にはそれでも大きな問題にはならないのですが。
ルンベンダルク公爵令嬢は気位が高く気性の荒いところのある方ですが、エレノア様同様高い教養を備えていらっしゃいますし。
あ、あくまでエレノア様に先に王子が産まれていなかった場合は、ですよ? 後からエレノア様が懐妊しようものならまたややこしくなりますね。
また、ニーゼット侯爵令嬢は別の意味で厄介そうです。
彼女に王子が出来た場合、何を要求されるかわかりません。
自分の子の立太子を望むかもしれませんし、後宮での地位向上を望むのは当然として、王太子妃の地位まで狙うかもしれません。
ルンベンダルク公爵令嬢とは違い自分を律することの出来ない方ですから、際限なく求めるかもしれません。
あ、リューベック伯爵令嬢になら子供が出来ても大丈夫そうです。とても愛情深く育てそうですし、王位を望むようなことはないでしょう。
あったとしても潰されてしまいそうです。
え? 私ですか?
出来ません。薬飲んでますから。
一番いいのはエレノア様に今すぐ御子が出来ることなんですが。立て続けに男の子を二人程産んでいただければ言うことなしです。
それからなら誰が何人産もうととやかく言いません。国庫を圧迫しない程度にお願いします。
エレノア様の御子が王位を継ぐのに相応しく育つ限り、争いも起きません。起こさせません。
今度エレノア様の元へ滋養にいいものをお送りしましょうか。
そんな私の憂いを見計らったかのように、父から手紙が来ました。
誰かに見られてもいいように、一見するとただの家族間でやりとりする文章ではありますが、その実一定の法則で読むと別の情報が読み取れるようになっています。
我が家では、というより我が家独自の暗号でよく使用されますが、とても高度な手法です。
私はこれを父程上手に書き上げられません。元の文章に裏の情報を違和感なく練り込むのには、とても頭を使います。
ええと、なんでしょう、
側室の父親側を抑えたから大丈夫、子供はしばらく出来ないようにしている。心配するな?
………………。
……父は本当に宮廷では何をしているのでしょうか。
それに、出来ないようにしているって………………。
これ以上考えないようにしましょう。
父怖い。手紙書く時もきっと笑顔。




