表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
側室物語  作者: 日暮
2/11

側室に選ばれました。

 この度我が国の第一王子であられるリュシオン殿下が正式に立太子されました。

 この吉事に、普段あまり王侯貴族階級とは関わりのない一般庶民達も諸手をあげて喜び、お祭り騒ぎが広がっています。



 というのも、長い間第一王子派と第二王子派の間でどちらが次期国王になるかの争いが続き、庶民の間にもピリピリとした空気を肌で感じられるようになってきていたからです。


 上層部の方では両殿下の筆頭後見人同士が顔を合わせても笑顔で嫌味という名の牽制を交わし合う程度で、何も知らない人は一見しても険悪な雰囲気すら感じられないくらいのものでした。

 しかし派閥の末端まで行くと、まだ手に入れてもいない権力を夢見て偉ぶるか、敵対派閥に対して子供かと言いたくなる程幼稚ないさかいを起こすような輩もいた程ですから。


 上は体裁を繕えても、下の引き締めが出来ていない状態では被害を受けるのは一般庶民です。

 庶民にとってはどちらが国王になっても大差はありません。

 内乱が起こる程ではないにしろ、無用な争いは早く終わらせて欲しいという気持ちが一番強かったのは、王族でも中立派でもなく庶民だったのかもしれません。



 ちなみに長らく王の頭を悩ませた王位争いですが、結構あっさりと決着が着きました。


 というのも第二王子であるセシリス殿下の正妃は大国の王族出身で、彼女が嫁いで来た理由は話すと長くなるのでここではやめておきますが、その出身国で政変が起きたそうです。

 ついでに第二王子派に属する官僚の不正が発覚したそうです。

 しかも筆頭後見人である公爵の息子。ちなみにこの公爵とセシリス殿下の母君は兄妹。つまり不正官僚とセシリス殿下は従兄弟同士。


 第二王子派にとってはまさに踏んだり蹴ったりです。


 他国からの後押しは期待できず、身内からは失態を犯す者が出る始末。

 第二王子派は弱体化は免れません。


 粛正や追放を免れる為に選んだ手段は第一王子派に恭順を示すこと。


 国の高官の間では地位の入れ代わりはあったようですが、爵位を取り上げるなどの処置はなかったようです。賢い選択をしましたね。

 表向きはですが、大きな不満もなく国が荒れることもなく王位争いが終わったのは喜ばしいことです。


 ここまで事が滑らかに運ぶと思わず裏を考えてしまいますが、私は難しいことはわからないので知りません。

 そういえば一時期父がいい仕事したぜ的な笑顔を見せていた時期があったような気がしますが、きっと関係ないに違いありません。知らないったら知りません。




 そして不本意ながら私にも関係のある話になりますが、正式に王太子となられたリュシオン殿下は後宮を開かれるそうです。

 王太子妃たる正妃は既にいらっしゃいますが、まだその間に御子はいらっしゃいません。

 お二人の仲が悪いという訳ではないので、せめて一人目が生まれるまで待ってあげろよと思わないでもないですが、まあこれも国の後継ぎの義務です。

 国中の美姫をはべらすとは男の夢ですね。それに伴う苦労を考えると全く羨ましくありませんが。


 そして仮にも侯爵家の娘である私も側室として後宮に入れられるそうです。

 父は私に無理強いをされる方ではありませんが、別に後宮入りが特段嫌というわけではないので断りませんでした。

 いつかは誰かに嫁入りしなければいけませんし、それが次期国王だったというだけです。

 正妃としてだったら別ですが。

 というか父もそれを見越して話を持ってきました。断るつもりならそもそも縁談を会話にあげさせないという素晴らしい話の操り方をされる方ですから。


 今回何故私が選ばれたかというと我が家は王位争いの最中にも中立派の筆頭でしたからね。

 第一王子派出身のめぼしい令嬢達は、数人ですが既に後宮入りしたようですから。権力のバランスを図る為の処置でしょう。


 中立派って日和見のどっちつかずという印象を持たれるかもしれませんが、権勢を損なわず中立を貫くっていうのは実は一番難しいんですよ?

 どちらかの派閥に偏ることなく要求を突っぱね、かつ必要以上に恨みを買わないようにしなければならないのですから。

 我が家は権勢を損なうどころか、王位争いが終結した今では以前にも増して安定した地位を確立したとか。

 その政治的手腕……我が父ながら惚れ惚れします。


 しかし後宮ですか……暗澹とした権力争いが繰り広げられる女の戦場という印象が強いのですが。

 父の顔を立てる為にリュシオン殿下にそこそこ気に入られつつ、妃殿下以下他の側室達から必要以上に恨みを買わないようにしなければなりません。

 ああ、後宮内の派閥の一員と見られないようにも気をつけなればなりません。

 仲良くしておいて損はない、味方ではないが敵ではない、こう思われるのがベストです。



 ハァ、面倒なことに巻き込まれないようにしなければなりませんね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ