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クリスマスと魔法使  作者: ハイダウェイ
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第1話

「寒いなぁ・・・・」


今日は新しいゲームの発売日だ。ちょっと早めに近所のY電機に自転車で乗りつけ

1番乗りで買う予定だった。

ところが行ってみると既に300人を超す行列が出来ている。

一斉に入店しては危険だと言う事で整理券の順に買えるらしい。

なんとかゲームにはありつけるようだ。さすがに量販店は在庫数が半端じゃないのだろう。

街のゲームショップならアウトだったかもしれない。

それにしてもなかなか進まない。もう開店時間の10時はとっくに過ぎて一般客は入って

いっているというのに・・・せめて中で並ばせろよ!

12月の寒さが堪える・・・近くなので薄着できた俺もバカなのだが。


「鼻水が出てきた・・・」

やっと買えて家に帰った時には、何だか体が重い感じがした。

熱を測ってみると38度ほどある。ゲームどころじゃないはずなのだが、根性で

パッケージを開ける。


「よっしゃ! 俺が狩ってやる! 待ってろ・・・・」

ゲーム機にセットして数秒、朦朧もうろうとしていた意識が完全に飛んでいた。


剛史たけし君 おはよう!・・・オイって・・・聞いてるのかよ!」


「あっ・・・うん・・・誰? 母さん?」


「こっちだって! テーブルの上!」


「あン?・・・・なんだお前・・・」


「見て分らんか? ばか者! わたしは偉大な魔法使いであーる!」


・・・・夢を見ているのだろう。時々この手の夢は見る。


「これは夢ではないぞ! こら! こっちを見なさい!」


「うっさいなぁ・・・」

よく見ると小さな羽が生えたリカちゃん人形ほどの生き物が・・・いや・・

ちゃんと見ると女の子がテーブルの上でジタバタしていた。


「で、その魔法使いが何のようですか?」

どうせ夢なので 適当に話を聞いて早々に退散してもらおう。

熱があるせいか身体が異常に重い・・・・


「今月は特別キャンペーンを実施しておってだな・・・こら!ちゃんと聞け!

 お前を魔法使いにしてやる。どうだ? ありがたい話じゃろ?」


「魔法使いに・・・?何で俺が?」


「あれ? 知らんのか? みんな知ってるはずなんじゃが・・・30歳まで童貞なら

 魔法が使えるようになるんじゃ・・・ホンマに知らんの?」


「あー・・・なんか聞いたことあるけど・・・俺27歳だし・・・」


「そこがキャンペーンなんじゃ。 前倒しで魔法が使えるようになるサービスじゃ」


「そうなんだ・・・ありがとう。ということで寝ます・・」


「こらこら! ちゃんと聞け! 魔法が使えるといっても3回だけじゃ!

 それも自分一人では使う事ができん。わたしと一緒に呪文を唱えるんじゃ」


「何でもいいけど・・・じゃあコーラが飲みたい。チチンプイプイ・・・」


「あほか! そんな呪文があるものか。 しかし3回しか使えない魔法を

そんなショーモナイ事に使ってしまっても良いんじゃな? 普通はもっとデカイ事

言うもんじゃが・・・」


「デカイ事って?」


「パイロットになりたいとか・・・レーサーになりたいとか・・・」


「パイロットになったって働かなきゃいけないんでしょ? だったら今のほ方が

楽ジャン?」


「あーーーー。嘆かわしい!ニートはこれだから嫌いだ・・・

だから人選間違えてるって係長に言ったのにぃ」


「なんすか?係長って・・・」


「こっちの話じゃ!ほら・・・わたしも忙しいんじゃ・・・早いとこ魔法使ってくれよ」


「じゃあ・・・お金持ちになりたい」


「おー・・・やっとまともな願いが出てきたな。それじゃあ わたしと一緒に呪文を

唱えるんじゃ! ちーちんぷいぷいーー」


「・・・・・一緒じゃん!」


「はよー 唱えんか! ちーちんぷいぷいーー」


「ちーちんぷいぷいーー」

その時雷のような音と光が俺を包み込んだ・・・


どれぐらい眠ったのだろう? 汗びっしょりで目が覚め布団をめくってビックリした。

真っ白なシーツにくるまっていたのだ。


いつものチェック柄のシーツじゃない?

手触りは滑らかでまるでシルクのようだ・・・ん?部屋が違ってる・・・

広い。とんでもなく広い・・・教室ぐらいある。


「なんだ?? まだ夢見てるんか・・・俺・・・」

とりあえずほっぺたを抓ってみた・・・

「痛てっ・・・」


「おやおや・・・やっと目が覚めたようじゃな。どうじゃ?金持ちのお目覚めは」

さっきのリカちゃん人形がベッドの上でジャンプしながらこっちを見ていた。

やっぱまだ夢を見てるのか。

熱っぽさはもう無いのに不思議な感じだ・・・


コンコン!

部屋のドアを誰かがノックしている。


「誰?・・・」


「剛史さん、お食事のご用意が出来ましたが・・・・入ってもよろしいでしょうか?」


「あっ・・・はい。どうぞ・・・」

メイド服を着た女の子達が 銀色のワゴン何台もの朝食を運んできた。


「あの・・・そんなに食べれませんけど・・・」


「お好きなものをお好きなだけ、お召し上がりくださいませ」


メイド服たちが出て行くと、さっきのリカちゃん人形がわがもの顔で料理を食べている。


「お前も食わんのか? 美味しいぞー」


「よくそんなに食えるなぁ・・・小さいくせに・・・」


「わたしの実態はもっと大きいのじゃ。 お前とそう変わらん」


「よくわからないけど・・・母ちゃんとかはどこに居るの?」


「うん?・・・えっと・・・説明書だと・・・お前の両親はニューヨークじゃな」


「なにそれ・・・」


「まー・・・細かい事は気にせず・・・次の魔法を言ってみるのじゃ」

俺はその時いい事を思いついた。これはどうせ夢なんだし・・・

長年の夢を叶えるチャンスだ。


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