第99話:パパ、着せ替え人形になる!尊死(とうとし)の向こう側
「お買い物に行けないのなら、おうちでパパを可愛くすればいいじゃない!」
エルナのその一言で、聖王宮のホールは一瞬にして「パパ専用ランウェイ」へと改造されました。
「ちょっと待って! 僕は全宇宙の王だよ? そんな、耳がついたモコモコのパジャマなんて……」
「いいから黙って着る。……マスター、これは宇宙の総意」
セレスに無表情で服を剥ぎ取られ、リアムは次々とママたちが夜なべして(あるいは魔力で一瞬で)作った「究極の部屋着」に着せ替えられていきます。
まずは第1の衣装、『肉球付き・黄金のライオンパジャマ』。
リアムがそれを着て「……ガオー?」と照れながらポーズをとった瞬間、背後の12対の光翼がパジャマの隙間からふわっと広がり、黄金の粉がキラキラと舞い散りました。
それを見たママたちと子供たちは、あまりの尊さに「ぐはっ!」と胸を押さえて一斉に膝をつき、聖王宮の壁が幸せの衝撃波でハート型に粉砕されました。
「次! 次は人魚のマリン特製、『素肌に透ける真珠のシルクガウン』よ!」
「ちょ、それ、ほとんど透けてる……わ、わああ!」
着せ替えるたびに、リアムの「王としての威厳」は「守ってあげたいパパとしての可愛さ」に上書きされていきます。
ついには、龍族のリュカが持ってきた『龍の尻尾付き・もこもこ着ぐるみ』を着用。リアムが動くたびに尻尾がパタパタと揺れると、その可愛さが臨界点を突破。
全次元のモニターに(勝手に)中継されていたその姿を見た全住人が、あまりの尊さに「尊死……!」と叫びながら一斉に昇天。宇宙全体のバイタルサインが一時的に停止するという、前代未聞の事態に発展しました。
「みんな! しっかりして! 鼻血を出して倒れないで! 誰か、僕に普通のシャツを返してくれー!」
しかし、ママたちは「次はネコ耳ですわ!」と止まりません。
結局、リアムは夜まで着せ替え人形状態。最後には「あまりにも格好良くて可愛いパパ」が完成しすぎてしまい、それを見た宇宙の法則が「この尊さはバグである」と判断。聖王宮の周囲だけ重力が反転し、家具も家族もふわふわと宙に浮きながら、幸せなカオスの中で一日は更けていくのでした。




