第96話:パパ、朝から過労死(幸せ)確定コース
「パパー!お腹と背中がくっついて銀河が滅びそうだよー!」
「リアム様、私は今すぐ『パパのぬくもり味のパン』を食べないと、この次元ごと不貞寝しますわ!」
朝6時、聖王宮のキッチンは、12人の子供たちの空腹の合唱と、12人のママたちの無茶振りオーダーで、すでに物理法則が崩壊しかかっていた。
「わ、わかったから!並んで!セレス、コンロの火を魔力で強めないで、フライパンがプラズマ化しちゃうから!」
リアムはエプロンを締めると、12対の光翼を「調理アーム」に変形させ、24個のフライパンを同時回転。残像どころか、調理の衝撃波でキッチンの換気扇から「黄金の煙」が噴き出し、それを見た街の住人たちが「あ、パパがオムレツ作ってる。尊い」と拝み始める始末。
「リュカ!トーストを焼くのに火を吹くのはやめて!黒焦げの炭になっちゃう!エルナ、紅茶に『若返りの秘薬』を混ぜないで、飲み終わる頃に僕が赤ん坊に戻っちゃうでしょ!」
なんとか完成した「山のようなオムレツ」がテーブルに並ぶやいなや、子供たちは「パパ大好きー!」と絶叫しながら飛びつき、美味しさのあまり背中から小さな翼を生やして食堂内をドッグファイト。
「コラ!食べながら飛ばない!……って、セレス!炊飯器ごと飲み込もうとするのはやめてってば!」
ママたちはママたちで、「リアム様の愛情が……、口の中でビッグバンを起こしてますわ……!」とオムレツを一口食べるごとに幸せの衝撃波を放射。その余波で聖王宮の窓ガラスが全部ハート型に割れ、空からは「お祝いのキャンディ」が降り注ぐという、わけのわからないお祭り騒ぎに発展した。
「ふぅ……、やっとみんな落ち着いた……かな?」
ボロボロのエプロンで汗を拭うリアムだったが、休む暇はない。今度は子供たちが「パパ、将来パパと結婚するにはどうすればいいの!?」という、答えに詰まる進路相談の列を作り始め、ママたちは「あら、それは私が許しませんわよ」と背後に魔王のようなオーラを背負って立ち上がる。
「……誰か、僕に『大統領の仕事』をさせてくれ……。そっちの方が100倍楽なんだ……!」
全次元を救った英雄の叫びは、今日も幸せな家族の笑い声にかき消されていくのでした。




