第92話:ハネムーン第9弾・悠久の翠銀河と、エルフの妻の甘い独占欲
冒険の銀河から戻ったリアムを待っていたのは、長く透き通るような銀髪と、尖った耳が特徴的なエルフ族の妻、第9のママ・セレスティアラ(通称ティア)だった。
「リアム様……。リタさんとの冒険、お疲れ様でした。次は、私の故郷……時の流れが止まったような静寂の世界、第9次元の『悠久の翠銀河・アルヴヘイム』へ参りましょう」
ティアは、エルフ特有の優雅な仕草でリアムの手を取り、自身の銀髪を彼の光翼に絡ませた。
「ここは、愛し合う二人の時間だけが永遠になる場所。……誰にも邪魔させませんわ」
アルヴヘイムは、銀河全体が巨大な「世界樹」の枝葉のように繋がっており、星々は光り輝く果実のように実っている。
二人が世界樹の最上層にある『静寂の湖』に辿り着くと、ティアはリアムに寄り添い、秘められた想いを吐露した。
「エルフにとっての千年は、人間にとっての一瞬。……でも、貴方と出会ってからの毎日は、あまりにも濃密で、私は初めて『時間が足りない』と感じました」
リアムが彼女の腰を引き、その耳元で「これからも、ずっと一緒にいよう」と囁くと、彼の12対の光翼から放たれる黄金の粉が森全体に降り注いだ。
その瞬間、アルヴヘイムの全ての植物が一斉に開花し、次元全体の「寿命」という概念が消滅。住人たちは「あ、これでもう老いも死も気にせず、ずっと推し(リアム)を拝めるわ」と、究極の安らぎに到達した。
この「永遠の美」を、かつて不老不死を求めて非道な実験を繰り返していた旧帝国の元宮廷魔術師たちは、震える手でモニター越しに見ていた。
「……我々が数万人の犠牲を払って求めた『不老不死』が、リアム様の一言で、次元ごと実現してしまったというのか……」
かつてリアムを「すぐに死に絶える脆弱な人間」と見下していた彼らは、自らのシワだらけの顔と、リアムに抱かれて永遠の若さを得たティアの輝きを比べ、その絶対的な敗北に打ちひしがれた。
「……若さとは、薬で作るものではなく、愛されている実感が生み出すものだったのか」
彼らは若返りの秘薬をすべて下水に流し、今日からは「リアム様の家族の健康を祈りながら、森の苔を育てる隠者」として生きることを決意。執着から解放された彼らの心は、不思議と何百年ぶりかの軽やかさに包まれていた。
アルヴヘイムの夜は、エルフの魔力とリアムの光が混ざり合い、オーロラのような幻想的な輝きに包まれていた。
「リアム様……今夜は、時の流れを止めてしまいました。……朝は、当分来ませんわよ?」
ティアの妖艶な微笑みに、リアムは赤くなりつつも、その深い愛をしっかりと受け止めるのだった。




