第91話:ハネムーン第8弾・未開の絶景銀河と、風の冒険家ママ
全次元が統合され、世界が一つになった「リアム・ファミリー」。その平和すぎる日常に、少しだけ退屈していた(?)のが、第8の妻であり、伝説の冒険家として知られるリタだ。
「リアム! 世界が広くなった今こそ、私たちの出番だよ! 統合されたばかりの第8次元にある、誰も見たことがない『浮遊大陸の果て』へ、二人で新婚旅行に行こう!」
リタは冒険服に身を包み、リアムの手をぐいぐいと引っ張る。リアムは苦笑いしながらも、彼女の瞳の輝きに応えることにした。
「あはは、リタらしいね。よし、今日は僕も大統領の肩書きを置いて、一人の冒険者として君に同行するよ」
二人が向かったのは、重力の法則が虹色に変化する『幻影銀河・エデンの風』。
そこには、空に浮かぶ巨大なクジラの背中に乗って移動する大陸や、歌を歌うことで道ができる花畑など、リアムの想像を絶する絶景が広がっていた。
「見て、リアム! あの滝、水じゃなくて『星の雫』が流れてるんだよ!」
リタは子供のようにはしゃぎながら、リアムの腕を組んで風の上を走る。
リアムがリタの髪に、道中で見つけた「永遠に枯れない宝石の花」を飾ってあげると、彼女の幸福エネルギーが風と共鳴。
その瞬間、エデンの風全体が温かな黄金色に染まり、新しく家族(国民)になったばかりの異次元の住人たちに、「パパとママの愛の祝福」が雨となって降り注いだ。
「リタ、君が見せてくれる世界は、いつもキラキラしていて大好きだよ」
「……もう、リアムったら。そんなこと言うなら、もっと遠くまで連れて行っちゃうからね!」
この「次元の果て」の光景を、次元の狭間に隠れて「いつかリアムのいない新世界で独立国家を作ろう」と画策していた、旧帝国の最後の残党である元秘密結社の幹部たちは、震えながら目撃していた。
「……ありえん。我々が命がけで調査しても辿り着けなかった『神の領域』を、彼らはピクニック気分で歩いている……」
かつてリアムを「井の中の蛙(世間知らず)」と馬鹿にしていた彼らは、自分たちが隠れていた次元の狭間さえも、リアムの光翼が放つ輝きによって「ただの明るい物置」に変えられてしまったことに絶望した。
「逃げ場など……最初からなかったのだ。この宇宙すべてが、彼の愛の庭なのだから……」
彼らは自分たちの「秘密の拠点」が、リアムとリタの休憩用の「おしゃれなキャンプ場」に書き換えられていくのを見て、完全に心が折れた。彼らは隠し持っていた兵器をすべて「BBQコンロ」に改造し、通りかかる冒険者たちに美味しい肉を振る舞う「親切なキャンプ場のおじさん」へと転身した。
デートの締めくくりに、二人は巨大なクジラの背中で、流星群を見上げながら眠りについた。
「……リアム。私、世界中で一番幸せな冒険者だよ」
聖王宮に戻ると、そこには「おみやげはー!?」と元気いっぱいの子供たちと、次は私の番だと準備を整えたエルフ族のママ(第9の妻)が待っていた。




