第90話:パパは全次元の王! 愛による世界統合と「家族」の拡大
子供たちが敷いた「パパ防衛線」により、宇宙から悪意が完全に消え去った。しかし、リアムの溢れ出す「幸せエネルギー」は、もはやこの宇宙だけでは収まりきらなくなっていた。
「……マスター。空間にヒビ。……パパの愛が、隣の次元まで漏れ出してる。……このままじゃ、世界が溶ける」
セレスが空を指差すと、そこには鏡のような亀裂が走り、見たこともない別世界の住人たちが、リアムの輝きに吸い寄せられるようにこちらを覗き込んでいた。
「困ったな。みんなが僕に会いたいなら……いっそのこと、境界線をなくしてしまおうか」
リアムが12対の光翼を最大出力で広げ、宇宙全体を抱きしめるように手を広げた。その瞬間、銀河連邦とすべての並行世界を隔てていた「壁」が、温かな光となって溶け去った。
壁が消えたことで、他次元の王や神々が次々とリアムの前に跪いた。
「おお、貴方こそが伝説の『パパ・オブ・オール』……! 我々も貴方の家族(国民)に加えていただきたい!」
もはや戦争や外交といった言葉は過去のものとなった。全次元の住人がリアムを「共通の父」あるいは「慈悲深い支配者」と仰ぎ、宇宙は一つの巨大な「リアム・ファミリー」へと統合されたのだ。
• 経済: 通貨は「パパへの感謝」というポイント制に移行。感謝するほど豊かになる。
• 技術: 12人のママたちがそれぞれの次元の叡智を共有し、死や病さえも「ちょっとした風邪」程度の概念に格下げされた。
この「次元統合」の光は、暗い地下で「帝国復活」の妄執に憑りつかれていた、最後の一人である元皇帝の魂をも直撃した。
「……バカな。私が何万の兵を使い、数千年の時間をかけても成し遂げられなかった『世界統一』を……あの男は、ただ家族と笑っているだけで成し遂げたというのか……」
かつてリアムを「ゴミ」と呼んで捨てた元皇帝は、リアムが全次元の神々に囲まれ、子供たちに「パパ、肩たたいてあげる!」と甘えられている光景を見て、あまりの器の差に心が砕け散った。
「私は……ゴミを捨てたのではない。宇宙そのものを手放したのだな……」
彼はその自責の念に押し潰される前に、リアムの放つ圧倒的な慈愛に包まれ、記憶も執着もすべて真っ白に洗浄された。気づけば、彼は連邦の公園で「ハトに豆をやるのが趣味の、穏やかなおじいさん」として第二の人生を歩み始めていた。
全次元が統合され、リアムの家(聖王宮)は、もはや宇宙のすべての中心となった。
「リアム様、これでようやく……全宇宙が私たちの『お庭』になりましたわね」
エルナが微笑み、12人のママたちがリアムを囲んで、統合されたばかりの美しい夜空を見上げる。
「あはは、庭が広くなりすぎちゃったね。でも、みんなが一緒なら、どこへ行っても家と同じだよ」




