第88話:ハネムーン第7弾・歌姫の銀河と、響け!愛のデュエット
子供たちの作った「神のオムライス」を食べた影響で、リアムの輝きはもはや隠しきれないレベルに達していた。歩くたびに足元から極楽浄土のような花が咲き、吐息一つで枯れ木に実がなる。
「リアム様、その輝き……最高にステージ映えしますわ! 今日のデートは、私の主戦場。第7銀河の『響鳴星・シンフォニア』で、全宇宙同時生中継ライブです!」
そう言ってリアムの手を取ったのは、銀河連邦の至宝にして超人気アイドル、第7の妻であるミーナだ。
シンフォニアの特設ステージは、惑星一つを丸ごと使った超巨大なもの。そこへリアムとミーナが並び立つと、12対の光翼がリズムに合わせて七色に明滅し始めた。
「聴いてください! 私たちの愛の結晶――『パパの微笑みはビッグバン』!」
ミーナの突き抜けるような歌声と、リアムが放つ「存在そのものが福音」という黄金のオーラが混ざり合い、全宇宙のスピーカーから、聴くだけで全病を治癒し、借金が完済されるという伝説のメロディが流れ出した。
クライマックスでリアムがミーナの腰を抱き、二人で愛の言葉をハミングした瞬間、銀河中の星々がミラーボールのように回転を始め、観測史上最大の「幸福エネルギー波」が全次元を直撃した。
「……マスター。ミーナの歌、強力。……でも、リアムのコーラス、宇宙を優しく殺しにきてる。……みんな、尊死寸前」
舞台袖でサングラスをかけたセレスが、観客(神々を含む)が次々と幸福のあまり気絶していく様子を冷静に実況する。
この「神のデュエット」は、帝国の跡地で「リアムを呪う歌」を作曲していた元宮廷音楽家たちの耳にも届いた。
「……な、なんだ、この音色は……。我々が作っていたのは、音の形をした泥に過ぎなかったのか……」
かつてリアムを「リズム感のない劣等生」と嘲笑った元音楽教師たちは、リアムが放つ「魂の共鳴」に触れ、自らの楽器をすべて粉砕。
「本物の音楽とは、技術ではなく……愛が奏でるものだったのだ……」
彼らは一斉に断髪し、これからは「リアム様の歌声を後世に残すための、一文字も喋らない沈黙の石像」として生きることを決意し、各地の広場で台座に乗り、静かに固まった。
ライブは大成功。銀河連邦の全市民は、この日を「聖なる音楽の日」として制定し、リアムへの感謝を込めて宇宙中に色とりどりのサイリウム(銀河)を振った。
「リアム様、最高のステージでした! ……次は、二人きりの楽屋(次元)でアンコール、お願いしてもいいですか?」
ミーナに熱い抱擁を交わされ、リアムの光翼はさらに激しく黄金の粒子を撒き散らす。
第7銀河は、このデートの余波で「鼻歌を歌うだけで願いが叶う」という、宇宙一陽気な聖地へと進化したのである。




