第86話:全宇宙一斉・パパとお昼寝タイム! 休息もまた大統領の義務
魔法都市での知的なデートを終えたリアム。聖王宮の扉を開けると、そこには12人の子供たちが、お気に入りのパジャマ姿で整列していました。
「パパ、おかえり! 今日はね、ぼくたちが『大統領のおしごと』を代わりにしてあげたよ!」
長男が差し出した黄金の決裁文書。そこには、一生懸命に書かれた拙い文字で、こう記されていました。
『ぜんうちゅう、いっせいにおひるねする法律』
「……マスター。子供たちの言霊、すでに発動済み。……抵抗は無意味。……さあ、寝て」
セレスがリアムの手を引き、巨大な天蓋ベッドへと誘います。
子供たちの純粋な魔力が「大統領命令」として全次元に響き渡った瞬間、銀河連邦のすべての活動が停止しました。
• 工場のラインが止まり、機械たちが「おやすみなさい」とスリープモードへ。
• 激しい議論をしていた神々が、突然の猛烈な眠気に「……続きは……夢の中で……」と椅子に沈み込む。
• 星々の運行さえも、パパの眠りを妨げないように「静音モード」へと移行。
聖王宮のベッドでは、リアムを中心に12人の子供たちがスヤスヤと寝息を立て、12対の光翼がふんわりと家族全員を包み込む「究極の毛布」となりました。
それを見守る12人のママたちも、「……たまには、こういう静かな幸せもいいですわね」と、リアムの腕の中で静かに目を閉じました。
この「強制お昼寝波動」は、旧帝国の最果てにいた、最後のがんこな残党たちにも届きました。
「……ふぁ……。なんだか、怒るのが馬鹿らしくなってきたな……」
「ああ……。リアム王子を憎んでいたはずなのに、今はただ……温かい布団で寝たい……」
かつてリアムを「眠れぬほど後悔させてやる」と豪語していた復讐者たちは、子供たちが放った「究極の安らぎ」に抗えず、泥のように深い眠りに落ちました。
彼らは夢の中で、リアムに優しく頭を撫でられる体験をし、目が覚めた時には、復讐心などカケラも残っていない「ただの早起きが得意なおじいちゃん」に生まれ変わっていたのです。
数時間後。一斉お昼寝タイムが終わり、リアムがゆっくりと目を開けると、そこには幸せそうに笑う家族の顔がありました。
宇宙全体がたった数時間の休息で、これまでの数万年分に匹敵する「活力」を取り戻し、以前よりもずっと輝いて見えました。




