第84話:うちのパパが世界一! 子供たちの自慢が創る「黄金の連邦」
温泉旅行でパパとの絆をさらに深めた12人の子供たちは、登園するなり幼稚園『リトル・コスモス』で鼻息を荒くしていた。
そこでは、各銀河の王族や神々の子供たちが「うちの父上は星を壊せるんだぞ!」といった、微笑ましくも物騒な自慢話を繰り広げていた。
「ふん! そんなの、パパにくらべたらぜんぜん、だよ!」
リアムの長男が立ち上がり、空を指差した。
「パパはね、笑うだけで宇宙をあったかくできるんだ! それに、パパが『ありがとう』って言うと、壊れた星もピカピカに治るんだよ!」
子供たちの言葉は、リアムの血を引く「言霊」となって銀河連邦全体に伝播した。
子供たちが「パパはとっても優しいんだ!」と言えば、連邦内のすべての空気質が「森の深呼吸」のような爽やかさに変わり、
「パパはとってもかっこいいんだ!」と言えば、連邦中のすべての銅像や看板が、なぜか黄金色に輝くリアムの肖像へと美化された。
さらには、
「パパは、悪いヤツもみんな仲良しにするんだよ!」
という無邪気な一言により、連邦内の刑務所が一瞬で「反省会という名のティーパーティ会場」へと変貌。凶悪犯たちが涙を流しながら「これからはパパ(大統領)のために社会貢献します!」と善人にジョブチェンジしてしまった。
「……マスター。子供たちの自慢、止まらない。……連邦のGDPが、パパの『かっこよさ指数』に連動して爆上がりしてる」
セレスがタブレットを見ながら、経済の概念が崩壊していく様子を報告した。
この「黄金に染まる世界」を、帝国の跡地で細々と自叙伝を書いていた元歴史編纂官たちは、絶望の表情で眺めていた。
「……ダメだ。あの子たちがパパを自慢するたびに、過去の負の歴史が塗り替えられていく……」
「我々がどれほどリアム様を『無能』と記そうとしても、その文字が勝手に『聖人』や『救世主』という文字に書き換わってしまうんだ……!」
かつてリアムを「歴史の汚点」として抹消しようとした彼らは、逆に自分たちの存在こそが「歴史に必要のない落書き」であることを悟り、静かにペンを置いた。彼らの書いた呪いの書物は、リアムへの賛美歌へと姿を変え、焚き火の燃料として暖かく燃え上がった。
「あはは……。みんな、あまりパパを褒めすぎないでよ。恥ずかしいじゃないか」
聖王宮のバルコニーで、リアムは黄金に輝く街並みを見て頬をかく。
しかし、12人のママたちが背後に忍び寄っていた。
「いいえ、リアム様! 子供たちの言うことは100%真実ですわ! さあ、本日の『世界一かっこいいパパ』としての公務(という名のデート)に出発しましょう!」
「……マスター。次は、私の番。……知的なデート、予約済み」




