第82話:パパは僕たちが守る! 邪神パトロールと黄金の親孝行
リアムの「過去の記憶」が全宇宙に公開された翌朝。
聖王宮の廊下を歩くリアムは、いつになく熱い視線を感じていた。
「あ、パパ! おはよー! 今日はパパ、なにもしなくていいよ!」
「ぼくたちが、パパの代わりに『あくどいヤツ』をぜんぶやっつけてくるから!」
12人の子供たちが、至高神キュートス製の最新「戦隊ヒーロー風コスチューム」に身を包み、気合十分で宣言した。
彼らの足元には、すっかり懐いて「忠犬」のようになった『終焉の邪神(遊具モード)』が、重火器ならぬ「重魔導砲」を装備してスタンバイしている。
「……マスター。子供たち、やる気。……パパに『苦労』をさせないのが、今の連邦のトレンド」
セレスも、今日はリアムの肩を揉むことに専念し、一切の政務を遠ざけていた。
子供たちは邪神(滑り台形態)にまたがり、銀河連邦のパトロールへと出発した。
「パパをいじめるヤツはどこだー!」
彼らが銀河を一周するだけで、その圧倒的な「純真な魔力」が、宇宙に残っていた微かな「悪意」や「不運」を感知。
• 暗黒街の崩壊: 連邦の隅っこでコソコソしていた宇宙海賊たちが、子供たちの「めっ!だよ!」という一喝で、強制的に「ボランティア精神溢れる清掃員」に書き換えられる。
• 因果律の修正: 過去にリアムを苦しめた「不運の概念」そのものを、子供たちがパンチで粉砕。連邦内のガチャや宝くじの当選率が跳ね上がり、全員が幸福になるバグが発生。
「「「「パパ、お仕事おわったよー!」」」」
わずか1時間で、全宇宙から「争い」という概念が物理的に消滅してしまった。
この様子を、帝国の地下シェルターで息を潜めて見ていた「最後の過激派」たちは、もはや声を出すことすら忘れていた。
「……ありえない。あの子たちが遊んでいるだけで、我々の核兵器が『お花』に変わっていく……」
「リアム様に謝罪する権利すら、もう残っていないのか……。我々はもう、無視されることすらなく、この世から『いなかったこと』にされようとしている……」
かつてリアムに「お前の未来は絶望だ」と予言した元宮廷占星術師は、子供たちが未来を「パパの好きな色」で塗り替えていく光景を見て、自分の水晶玉を叩き割り、「未来とは……計算するものではなく、愛で作るものだったのか……」と呟き、隠居して一生ひまわりを育てる老人へと成り果てた。
夕暮れ時、パトロール(遊び)を終えた子供たちが、リアムの元へ帰ってくる。
「パパ、おみやげ! 宇宙で一番きれいな星、とってきたよ!」
差し出されたのは、あまりの美しさに次元が歪んでいる「超新星の欠片」。
リアムは苦笑いしながら、12人の小さな英雄たちを抱きしめた。
「ありがとう。でも、パパにとって一番のプレゼントは、みんなが元気で笑っていることだよ」
その言葉を聞いたママたちが、背後で「……やっぱりリアム様は尊すぎますわ!」と再び号泣し、聖王宮は今日も温かな(少し騒がしい)光に包まれるのだった。




