第81話:パパの夢は宇宙の記憶! 黄金のシアターと涙の連邦
12人の子供たちとの銀河鬼ごっこを終え、心地よい疲労感に包まれたリアムは、聖王宮のテラスにあるソファで、子供たちを光翼の中に抱いたまま「うたた寝」を始めてしまった。
しかし、今のリアムの体は、思念を具現化する12対の光翼と直結している。
彼が深い眠りに落ちた瞬間、その背中の翼がスクリーンとなり、夜空全体に「リアムがこれまでの人生で感じてきた感謝の記憶」が投影され始めた。
「……マスター。寝顔、可愛い。……でも、空が大変なことになってる」
セレスが空を見上げると、そこにはかつてリアムが帝国を追放され、孤独だった時の「絶望」から、12人のママたちや子供たちに出会って救われた「愛の記憶」が、映画以上の迫力で映し出されていた。
連邦中の市民、さらには他銀河の神々までが、空を見上げて足を止めた。
• 第1幕: 追放されたリアムが、初めてエルナの手を取った時の震えるような感謝。
• 第2幕: 影の中から支え続けてくれたセレスへの、言葉にできない深い信頼。
• 第3幕: 12人のママたちが、ボロボロだったリアムの心を一つずつ繋ぎ合わせてくれた日々。
リアムの純粋な「ありがとう」という想いが黄金の魔力となって降り注ぎ、それを観た市民たちは一斉に涙を流した。
「なんてことだ……。あんなに優しくて強い大統領が、こんなに辛い過去を乗り越えていたなんて……!」
「俺たち、もっとリアム様を幸せにしなきゃいけないな……!」
宇宙全体が、リアムへの「逆・親バカ(国民バカ)」状態に突入し、愛のエネルギーで銀河全体の防御力が2万倍に跳ね上がった。
この「記憶の投影」は、当然、リアムを迫害した旧帝国の跡地にも届いていた。
「……あ、あああ……。我々は、これほどまでに清らかな魂を傷つけていたのか……」
かつてリアムに石を投げ、嘲笑った元貴族たちは、巨大なスクリーンに映し出される「当時の自分たちの醜い顔」と、それを恨むことなく「今の幸せに感謝している」リアムの聖人君子ぶりに、精神が耐えきれなくなった。
彼らは自らの悪行を全世界(全宇宙)に晒された羞恥と、リアムの底知れない善意への恐怖で、もはや外を歩くことすらできなくなった。
「許してくれ……許してくれ……!」と叫びながら、彼らは自ら地下室に引きこもり、一生をかけてリアムの健康を祈り続ける「祈祷奴隷」へと自発的に堕ちていった。
「ふぁ……。なんだか、すごく温かい夢を見ていた気がするな」
リアムが目を覚ますと、目の前には12人のママたちが目を真っ赤にして、自分を凝視していた。
「リ、リアム様! 私たち、一生貴方を離しませんわ!!」
「……マスター。抱っこして。……死ぬまで、離さない」
ママたちが一斉にリアムに飛びかかり、聖王宮は幸せな悲鳴に包まれる。
リアムは状況が掴めないまま、それでも愛おしそうに彼女たちを抱きしめ返すのだった。




