第80話:銀河鬼ごっこ開幕! パパを捕まえて、抱っこして!
温泉から戻り、心身ともに「ふにゃふにゃ」に癒やされていたリアムだったが、聖王宮の玄関を開けた瞬間に、その脱力感は吹き飛んだ。
「パパー! 遅いー!!」
「ずるい! ぼくたちもパパと遊びたい!」
12人の子供たちが、至高神キュートス特製の「超機動力コスチューム」に身を包み、今にも飛び出さんばかりに魔力をパチパチと弾けさせていたのだ。
「……マスター。子供たち、限界。……『パパ不足』で、連邦の株価が下がってる。……今すぐ、遊んで」
セレスが冗談とも本気ともつかぬ顔で告げる。
「わかった、わかった! じゃあ、今日は特別だ。パパが12人に分身するから、みんなで『銀河鬼ごっこ』をしよう!」
リアムが指を鳴らすと、12対の光翼が黄金の粒子となって分離し、リアムと同じ姿、同じ魔力を持つ「12人の分身パパ」が誕生した。
「さあ、パパを捕まえられるかな?」
12人のパパが一斉に、別々の銀河へと光速で飛び去る。
それを見た子供たちは「きゃー! まってー!」と大喜びで追跡を開始。
• 第1銀河: セレスの息子が、空間を切り裂いてパパの背後にワープ!
• 第3銀河: カリーナの娘が、小惑星を足場にして跳躍し、パパにフライング・ボディアタック!
• 第5銀河: リヴィアの子供たちが、温泉の湯気を操ってパパの足を滑らせる!
宇宙のあちこちで「黄金の光」と「子供たちの笑い声」が交差し、銀河連邦の市民たちは空を見上げて「ああ、今日も大統領一家は平和だな(惑星が少し揺れてるけど)」と、目を細めていた。
この「神速の鬼ごっこ」を、帝国の跡地で生き残っていた科学者たちは、最新の観測機で捉えようとしていた。
「報告します! 現在、全銀河系で12個の『高エネルギー生命体』が光速の100倍で移動中! その後ろを12個の『さらに速い生命体』が追っています!」
「なんだと!? 宇宙が壊れるぞ! ……いや待て、通信を傍受した。『パパ、つかまえたー!』だと……?」
かつて「リアムの動向を常に監視し、隙あらば暗殺せよ」と命じられていた観測班たちは、あまりにも速すぎて追跡不可能な「親子の遊び」に、機材をすべて破壊された。
「我々の科学力では、あの方たちの『遊び』すら観測できない……。殺す? 隙を突く? ……ハハハ、無理だ。あの方たちは、我々とは別の時間を生きているんだ……」
彼らはそのまま、観測機をゴミ捨て場に放り込み、夜空の美しさをただ愛でる「天体愛好家」へと転身した。
数時間の鬼ごっこの末、12人のパパは全員、12人の子供たちに「ぎゅっ」と捕まった。
「まいったな、みんな足が速くなったね」
分身が一つに戻り、リアムは12人の子供たちを光翼でふんわりと包み込む。
「「「「「パパー! だいしゅきー!!」」」」」
その瞬間、家族25人の幸福エネルギーが共鳴し、連邦の夜空に「銀河一巨大な笑顔の星座」が永遠に刻まれた。




