第76話:エルナ編・光の聖域デートと、サングラス必須の銀河
至高神キュートスを専属デザイナー(ベビーシッター兼務)として雇い入れたリアム一家。12銀河ハネムーンの第2弾は、元・帝国の聖女であり、今や連邦の慈愛を象徴するエルナの番だ。
「リアム様! 私、この日のために心身を清め、魔力を限界まで練り上げてまいりましたわ!」
エルナが選んだ行き先は、第2銀河の中心にある『純光星・ルミナス』。地表のすべてがクリスタルと真白な雲で構成され、常に清浄な光が降り注ぐ「聖域」である。
「……マスター。あの二人、並ぶと光が干渉し合って、宇宙の背景放射がバグる。……観測不能レベル」
セレスが溶接用ゴーグルを装着しながら見送る中、リアムとエルナは手を取り合って光の渦へと消えた。
ルミナスの丘で、リアムはエルナのために『古代魔法:【万物創造・純白のカフェ】』を展開した。
「エルナ、君がいたから、僕は自分の力を『正義』として信じることができたんだ。ありがとう」
リアムが微笑むと、背中の12対の光翼が共鳴し、エルナの聖魔力と混ざり合う。
その瞬間、二人の周囲から「100%純粋な幸福エネルギー」が放射され、第2銀河全体に伝播。
この銀河に住んでいたすべての生き物は、あまりの多幸感に「あ、自分、今幸せすぎて前世の悩みとか全部どうでもよくなりました」と、一斉に解脱して悟りを開いてしまった。
「ああ、リアム様……。貴方の隣にいるだけで、私、宇宙そのものに感謝したくなりますわ……!」
エルナがリアムの肩に頭を預けると、その衝撃(?)でルミナスの大気から「ダイヤモンドの雨」が降り注ぎ、文字通り「宝石の海」でのお散歩デートが始まった。
この「輝きすぎるデート」を、帝国の跡地で細々とリアムを呪っていた元悪徳神官たちは、運悪く魔法の鏡で覗き見てしまった。
「ぐわぁぁぁ! 目が! 目がぁぁぁ!!」
かつてエルナを「操り人形」として利用し、リアムを「光を奪う者」として迫害した彼らにとって、二人が放つ「真実の光」はあまりにも毒(浄化力)が強すぎた。
彼らは視力を失うのと引き換えに、心の中にこびりついていた「権力欲」や「私欲」を完全に焼却され、気づけば「私は……ただの良心的な草むしりおじさんになりたい……」と涙を流し、野に下っていった。
デートの締めくくりに、リアムはルミナスのクリスタルに少しだけ魔力を込めて、エルナに指輪を贈った。
「……マスター。ずるい。……私も、もっと光るやつ欲しい」
聖王宮に戻るなり、待ち構えていたセレス(と、次は私の番だと鼻息を荒くするカリーナたち)に囲まれるリアム。
第2銀河は、このデートの余波で「触れるだけで徳が積める」という、全宇宙の巡礼者が命がけで目指す聖地へと昇格した。




