第72話:パパをもっとカッコよく! 12対の光翼と神速のパパ
お遊戯会でのリアムの勇姿に、12人の子供たちは完全にノックアウトされていた。
「パパ、せかいいち、かっこいい!」「もっとぴかぴか、して!」
幼稚園から帰った子供たちは、パパへのプレゼントとして、自分たちが持つ「最強の魔力」を一点に集中させ、リアムの背中に叩き込んだ。
「みんな、何をしてるの……わわっ!?」
リアムの背中から、眩いばかりの黄金の光が溢れ出す。それは子供たちの純粋な「パパ大好き」という想いが具現化した、12対の「真理の光翼」だった。
「……マスター。翼、増えすぎ。……でも、すごく神々しい。……もはや、神様を超えて『パパ様』という新ジャンル」
セレスが呆れながらも、その神々しい翼の一枚にそっと触れる。
この12対の翼は、リアムの「ちょっとした願い」をすべて光速で叶えてしまう、親バカ特製・超次元エンジンだった。
「ちょっと喉が渇いたな……」とリアムが思えば、翼が一羽ばたきし、一瞬で隣の銀河から「最高級の湧き水」がグラスに満たされる。
「子供たちが転ばないように……」と思えば、翼の光が地面を覆い、連邦中のすべての道が「最高級のクッション素材」に書き換わる。
「リ、リアム様! 貴方が一歩動くたびに、宇宙の因果律が書き換わっておりますわ!」
エルナが叫ぶ。リアムが翼を羽ばたかせて空へ上がると、その風圧(幸せの微風)だけで、遠くの「死の星」が100個ほど一気に緑豊かな楽園へと進化した。
この「翼を生やして輝くリアム」の姿は、もはや魔法の鏡など使わずとも、宇宙のどこからでも巨大な星座のように見えていた。
「……おい。空にあるあの『12対の翼を持つ巨神』……あれ、リアム王子だろ?」
「我々がかつて『無能の烙印』として背中に焼き付けようとした奴隷の印……。彼はそれを、全宇宙を包み込む光の翼に変えてしまったのか……」
かつてリアムに「お前の背中にふさわしいのは鞭の跡だ」と嘲笑った元拷問官たちは、空を埋め尽くす圧倒的な慈愛の光に当てられ、「ああ……目が、心が洗われる……」と呟きながら、自ら進んで肥溜めの掃除へと志願し、過去の罪を一生かけて償う聖者(奴隷)へと転身した。―
「あはは……。みんな、素敵な翼をありがとう。でも、これだと普通に歩くのも大変だね」
リアムが翼を畳もうとするが、子供たちの愛が強すぎて、翼はパタパタと嬉しそうに自律稼働している。
「……マスター。それ、つけたまま、来週の『運動会』、出るの? ……反則負けじゃなくて、宇宙がゴールしちゃう」
「うーん、加減が難しいなぁ……」
12対の光翼を背負った「パパ大統領」が、ついに幼稚園の運動会という名の「銀河決戦」に挑むことになる。
第72話を終えて:翼を授かったパパ
• 現状: リアム、12対の翼により「パパ」から「全宇宙の守護神」へビジュアル進化。
• ざまぁ: 旧帝国の残党、リアムを視認するだけで精神が「浄化(強制強制)」されるレベルに。




