第64話:不眠不休のパパと、一晩でできた24の別荘
12人のママたちが作ってくれた特製ドリンクの効果により、リアムの「発光」と「活力」はとどまるところを知らなかった。夜になっても、リアムは目が爛々と輝き、体からは黄金のオーラが絶え間なく噴き出している。
「……マスター。夜なのに、宮殿の中が真昼より明るい。……子供たち、眩しくて寝付けないって。……なんとかして」
アイマスクを3枚重ねにしたセレスが、半分眠りながら訴える。
「ごめんね、みんな! なんだかエネルギーが有り余っちゃって……。よし、この光を全部『建設魔法』に変換して、宇宙を少し整理してくるよ!」
リアムは聖王宮を飛び出すと、まだ手つかずだった未開拓の宙域へと向かった。
『古代魔法:【万神創造・突貫工事】』
リアムが指先で宙を撫でるたびに、荒れ果てた岩石惑星が「最高級の温泉が湧き出る保養地」へと作り替えられ、ガス惑星が「ふわふわの雲のベッドが広がる昼寝専用星」へと変貌していく。
• 12のヒロイン専用別荘: エルナには「光輝くクリスタル宮殿」、カリーナには「猛獣(と遊べる)ジャングル惑星」など、一人一人の好みに合わせた星を12個作成。
• 12の子供用プレイルーム: 成長に合わせて使い分けられる「おもちゃの銀河」を12個配置。
さらに、それぞれの星を「虹のハイウェイ」で連結し、一晩のうちに「24惑星連結型・家族専用プライベート銀河」を完成させてしまった。
翌朝。旧帝国の跡地で、朝露を啜ってボランティアに励んでいた元貴族たちは、夜空の配置が完全に変わっていることに気づき、腰を抜かした。
「……おい。昨夜まであんなに暗かった北の宙域に、巨大なリゾート地ができているぞ……」
「星座が……星座がすべて『リアム様の家族の形』に書き換えられている……。宇宙そのものが、あの方のプライベートガーデンになったのか……」
かつてリアムを「土地すら持たぬ放浪者」と罵った元地方領主は、リアムが一晩で「12の銀河規模の領土」を作り上げた事実に、もはや嫉妬する気力すら失い、「私は、ただのプランクトンでした……」と、静かに砂浜へ埋まっていった。
朝日(リアムの光よりは少し暗い)が昇る頃、リアムはすっきりした顔で聖王宮に戻ってきた。
「みんな、おはよう! 眩しくないように、宮殿の外に『遮光用の新しい銀河』を配置しておいたから、もう大丈夫だよ。……あと、お土産に24個の別荘を作っておいたよ!」
「「「「「お、お土産の規模がおかしいですわ!!」」」」」
ママたちのツッコミが響く中、子供たちは新しくできた「おもちゃの星」へ向けて、元・魔龍のヴォルガデス(通園バス)に乗って元気に飛び出していった。




