第62話:パパは発光体? 究極の栄養ドリンクと黄金の休息
最近、12人の分身をフル稼働させて育児と家事を完璧にこなすリアムを見て、12人のママたちの間に「リアム様、頑張りすぎじゃないかしら?」という懸念が広がっていた。
「……マスター。最近、分身の解像度が0.01%落ちた気がする。……疲労の兆候」
「ええ、そうですわ! リアム様に万が一のことがあったら、宇宙が悲しみに包まれてしまいますわ!」
こうして、12人のヒロインたちは全宇宙の秘境から「伝説の薬草」「神の涙」「超新星のエキス」をかき集め、リアムのための超特製・滋養強壮ドリンク『リアム・エナジーEX』を作り上げた。
「さあ、リアム様! ぐいっと召し上がってくださいな!」
「え、あ、ありがとう……。みんなが作ってくれたなら、喜んで!」
リアムがそれを飲み干した瞬間、聖王宮が激しい黄金の光に包まれた。
リアムの体内に、銀河数千個分に匹敵する「純粋な生命エネルギー」が充填された。
結果として、リアムの体からは常に黄金のオーラが溢れ出し、歩くだけで足元に花が咲き、瞬きをすれば空に虹がかかるという、物理的な「生けるパワースポット」と化してしまった。
「……あはは。なんだか、すごく体が軽いよ。……でも、ちょっと眩しすぎないかな?」
リアムが少し照れると、その照れ隠しの魔力で、近くを飛んでいた隕石群がすべて「宝石」に変わった。
「「「「素敵ですわ、リアム様!!」」」」
ママたちは大喜び。一方で、12人の子供たちは「パパ、ぴかぴかー!」と、発光するリアムの周りを惑星のようにぐるぐると回り始めた。
この「発光するリアム」の姿は、もはや中継魔法を使わずとも、空を見上げれば肉眼で見えるようになっていた。
「……見ろ。夜空に太陽が二つあるぞ……。いや、あれはリアム様だ……」
「光を浴びただけで、俺の長年の腰痛が治った……。もう、あの方に逆らおうなんて、太陽を素手で殴ろうとするのと同じくらい愚かなことだったんだ……」
かつてリアムを「光の当たらない地下牢に閉じ込めろ」と命じた元刑罰卿は、その神々しい光を浴びて「私は……私は……」と涙を流し、全財産を孤児院に寄付して聖者へと転身していった。
結局、リアムの発光は三日三晩続き、その間、スローライフ王国周辺の犯罪率は0%になり、農作物の収穫量は平年の1000倍に達したという。
「……マスター。光りすぎて、夜、眠れない。……でも、温かい。……ぎゅっとして」
セレスが発光するリアムに抱きつくと、彼女の魔力も共鳴して、二人の周囲に新しい「小宇宙」が誕生しそうになっていた。
「よしよし、みんな。これからも、この光で家族をずっと照らし続けるよ」
リアムの「親バカ・パパ」としての存在感は、ついに宇宙の物理現象として定義されるまでになったのである。




