第60話:開園! 絶叫の銀河遊園地と、パパの「魔改造」
リアム一家の黄金像を中心に、半径一光年に及ぶ超巨大テーマパーク『リアム・ファンタジア』が完成した。
入場門をくぐれば、土星の環をそのまま利用した「大観覧車」や、超新星爆発のエネルギーで加速する「デッドオアアライブ・コースター」が並ぶ。
「さあ、みんな! 今日はパパが貸し切りにしたから、思いっきり遊んでいいよ!」
「「「「わーい! ぱぱ、だいしゅき!」」」」
12人の子供たちが一斉に駆け出した。……が、ここからが「普通」ではなかった。
まず、セレスの息子が「光速ジェットコースター」に乗り込んだ。
時速数万キロで駆け抜ける設計だったが、赤ん坊が「おそいー!」と不満げに地団駄を踏んだ瞬間、コースターの車両が赤ん坊の魔力に耐えきれず、分子レベルで分解。
赤ん坊はそのまま生身で、コースを無視して宇宙空間を直進し、隣の銀河を一周して帰ってきた。
「……ぱぱ、もっと……びゅーん、して?」
「あ、あはは。やっぱり普通の鉄で作ったんじゃダメか……」
リアムは慌てて指を鳴らし、全ての乗り物に『古代魔法:【不壊の概念付与】』と『【時空加速エンジン】』を同時展開。
その結果、メリーゴーランドは「宇宙の誕生から終焉までを1秒で体験する精神修養マシン」へと進化し、コーヒーカップは「多次元を同時に旋回する因果律ミキサー」へと変貌を遂げた。
この遊園地の一部は、リアムの慈悲(と人手不足解消)により、旧帝国の民にも「労働条件付き」で開放されていた。
かつてリアムを「遊び呆ける無能」と笑った元大臣たちは、今や「迷子センター」の受付として、赤ん坊が吐き出す「次元の余波」に震えながら働いていた。
「……信じられん。あの子が食べている『宇宙わたあめ』……あれ、数千年に一度しか現れない希少な星雲じゃないか。それを一口で……」
「我々が一生かけても辿り着けなかった『神の領域』が、ここでは単なる『アトラクションの一部』だ……」
彼らは、自分たちがかつて「ゴミ」だと思っていたリアムが、今や「宇宙の幸福の基準」そのものであることを、楽しそうな家族の笑い声と共に思い知らされるのだった。
夕暮れ時。12人のママたちも、パパが作った「疲れを100%癒やす特製温泉(超次元スパ)」でツヤツヤになり、家族全員で黄金像の頂上に集まった。
「リアム様。……本当に、毎日が夢のようですわ」
エルナがリアムの腕に寄り添い、幸せそうに目を細める。
「……マスター。子供たち、まだ遊び足りないって。……次は、お星様をボールにして、サッカーしたいって」
「あはは、それはまた明日ね。……さあ、お家に帰ろうか」
リアムがキャンピングカーを呼び寄せると、12人の子供たちはパパの膝の上で、遊び疲れてスヤスヤと眠りについた。




