第42話:不法入国者への審判と、楽園の入国審査
新国家「スローライフ王国」の国境検問所。そこには、かつて帝都の魔導学園でリアムを「万年魔力0の出来損ない」と呼び、ゴミ箱を投げつけた元同級生、ケビンとその後巻きたちが並んでいた。
「へっ、リアムの野郎、運良く良い土地を見つけたみたいだな。俺たちが『入国してやる』って言えば、あいつも昔の誼で泣いて喜ぶぜ」
彼らは帝国が崩壊し、食べるものに困った末に、リアムの情けに縋ろうとやってきたのだ。
だが、検問所のゲートを守っていたのは、銀河最強の騎士団長アイリスだった。
「次。……不法入国を試みる者は、即座に宇宙の塵(塵芥)にする。入国希望者は、この『真実の魔導鏡』に手を触れよ」
ケビンが鼻で笑いながら鏡に触れた瞬間、鏡が真っ赤に発光し、耳を裂くような警告音が鳴り響いた。
『警告:対象者は主(リアム様)に対し、1,422回の侮辱、32回の暴行を確認。……即座に「強制労働刑(肥料生産)」を推奨します』
「な、なんだこの機械は!? おいリアム! 出てこい! 俺だよ、ケビン様だぞ!」
そこへ、散歩がてらリアムが通りかかった。
左右を固めるのは、冷徹な殺気を隠そうともしないセレスと、笑顔が逆に怖いエルナだ。
「……マスター。あの汚い声、聞き覚えがある。……昔、マスターに石を投げた男。……今すぐ、彼の存在を『概念ごと』消去していい?」
セレスの背後に、巨大な虚無の口が出現する。
「あ、ケビン君じゃないか。懐かしいね」
リアムが平然と声をかけると、ケビンは勝ち誇ったように叫んだ。
「そうだ! 分かればいいんだよ、リアム! さあ、俺をこの国の貴族として迎え入れろ! そうすれば昔のことは水に流して……」
「……リヴィア」
リアムが小さく呼ぶと、空から音もなく最強の剣聖が降り立った。
「……はい、リアム様。……『汚物を消毒しろ』とのことですね?」
「え、いや、消毒というか……。ケビン君、ごめんね。この国は『僕と、僕の大切な人たち』が笑って過ごすための場所なんだ。君みたいな『不純物』が入ると、空気が汚れちゃうから」
リアムが指先で空中に円を描くと、ケビンたちの足元に次元の穴が開いた。
『古代魔法:【強制帰還】』
「あ、あああぁぁぁーっ!?」
ケビンたちが転送された先は、彼らがバカにしていたはずの、今や廃墟と化した「旧帝国のゴミ捨て場」だった。
「……ふぅ。これで空気も綺麗になったね。さあ、みんな、今日のお昼は昨日宇宙で釣った『銀河大マグロ』の解体ショーだよ!」
「「「「おー!!」」」」
12人のヒロインたちが、一人の男のことなど一秒で忘れ、リアムの腕に抱きついた。




